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各球団でエース級の働き!岸孝之選手

2017 8/3 12:07cut
野球ボール,グローブ
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1年目から新人王に迫る勢い

2006年のドラフト会議で希望入団枠を利用し、西武ライオンズへ入団を果たした岸孝之選手。ルーキーイヤーとなった2007年は開幕ローテーションを確保。開幕5戦目となる北海道日本ハムファイターズ戦でプロ初先発。日本ハムの先発はエース・ダルビッシュ有選手だった。
岸選手は7回無失点、奪三振7と好投。2-0と2点リードと勝利投手の権利を持ってマウンドを降りた。しかし、小野寺力選手が9回裏に2点を失い勝利投手の権利が消滅。デビュー戦を白星で飾ることはできなかった。
2戦目の登板となった4月6日のオリックス・バファローズ戦で8回2死2失点と好投し初勝利をマーク。以降も、先発ローテーションを守り前半戦を6勝5敗の成績で折り返す。後半戦は3連勝スタートを飾るなど5勝2敗とし、シーズン通算で11勝7敗、防御率3.40、142奪三振の成績を残している。
例年であれば新人王でもおかしくない成績だったが、惜しくも受賞はならなかった。この年は東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大選手が新人王を受賞したのだ。田中選手は11勝7敗、防御率3.82、196奪三振の成績という成績だけでなく、高卒ということが評価されたのだ。
岸選手は新人王を獲得できなかったものの、特別表彰である「優秀新人賞」を受賞している。

2年目のジンクスを振り払う

入団2年目の岸選手は初登板で完封勝利を挙げ、2戦目も7回1失点で開幕2連勝を飾る。プロ野球の世界ではしばしば「2年目のジンクス」と言われ、2年目に活躍できない現象が見受けられるが、岸選手には関係がないように見えた。
しかし、ここから岸選手の苦難が始まる。3戦目をプロ入り後ワーストの5回途中8失点でノックアウトされ、シーズン初黒星を喫してしまう。続く4戦目は7回3失点と結果を残したが、5戦目は5回4失点と思うような投球ができなくなった。
5月に入り完封勝利、7回無失点と2戦続けて好投を見せるが、3連勝を狙った試合で2回6失点。安定感を欠いた投球が続く。6月には2試合連続6失点で連敗を喫するなど背信の投球となった。
だが、7月に入ると本来の調子を取り戻したのか、黒星が付くことはなく5連勝でシーズンを締めくくり12勝4敗、防御率3.42、138奪三振と昨年と同等の成績を残し優勝に貢献した。

2008年の日本シリーズでMVPに

岸選手の活躍もあり西武は2004年以来4年ぶりのリーグ優勝を達成。渡辺久信監督就任初年度を優勝で飾ることに成功した。迎えた読売ジャイアンツとの日本シリーズで岸選手は、チームが1勝2敗の第4戦に登板。3回終了まで無安打投球。4回先頭の脇谷亮太選手に安打を許すものの得点は与えず、0をスコアボードに並べていく。
6回までに5点の援護を貰った岸選手は気負うことなく快投を続け、終わってみれば9回完封、被安打4、奪三振10と対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。
第5戦は巨人が勝利し、後がなくなった西武は第6戦の4回途中から中2日で期し選手が中継ぎ登板。5.2回を投げ無失点、被安打4、奪三振6と巨人打線を封じ込め勝利投手となった。
第7戦で西武が勝利し日本一になり、岸選手はMVPに輝いている。また、この日本シリーズで岸選手のカーブが全国区になり代名詞ともなった。カーブを軸とした投球で巨人打線を翻弄したからだ。

【2008年日本シリーズ成績】
2試合/2勝0敗/14.2回/奪三振16/与四2/防御率0.00

西武のエースとして103勝をマーク

2007年のプロ1年目から二ケタ勝利を挙げ、2年目には日本シリーズでMVPを獲得するなど、順調にキャリアを積み上げた岸選手。3年目となる2009年も13勝5敗、防御率3.26の成績を残すものの、被本塁打が前年の12本から倍増し25本とリーグワーストとなった。
4年目(2010年)は故障がありシーズンを通して働くことはできず、プロ入り後初めて規定投球回を割り込み113.2回の登板に終わる。しかし、登板が少ない中でも結果を残し10勝をマークし4年連続二ケタ勝利を達成。名実ともにエースへと成長を続けていた。
2011年はプロ入り後初めて二ケタ勝利に届かず8勝(9敗)に終わるが、2012年(11勝)、2013年(11勝)、2014年(13勝)と3年連続で二ケタ勝利を達成。2014年には最高勝率のタイトルを獲得した。プロ入り後、7度目の二ケタ勝利となった岸選手ではあったが、意外にもこれが初めてのタイトルとなった。
2015年(5勝)、2016年(9勝)は故障もあり勝利数が減少。しかし、それぞれ3.02、2.49と防御率は悪くなく、最低限の成績を残している。ここまで、西武での10年間で通算103勝(65敗)をマークした岸選手は2016年オフにFA権を行使。楽天への移籍を決意する。

新天地でもエース級の働きを求められる!

2016年シーズンオフにFA宣言で西武から楽天へと移籍した岸選手。その期待は大きく、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)において、侍ジャパンの主力でもあった則本昂大選手と共にダブルエースとして注目を浴びていた。ファンだけでなく、梨田昌孝監督もことあるごとに「則本と岸がダブルエース」という趣旨の発言を行い開幕投手にも指名したほどだ。
岸選手も開幕投手の重みを感じ万全の状態で調整を行っていた。しかし、開幕直前にインフルエンザを発症。無念の登板回避となってしまう。開幕戦を回避した岸選手の初登板は開幕3カード目の最終戦だった。この試合で6回1失点と好投を見せ、移籍後初登板初勝利を飾っている。
自身2戦目は白星こそ付かなかったものの6回3失点と先発の役割を果たし、順風満帆でシーズンを送っていた。しかし、続く3戦目、岸選手は予告先発投手と発表されていたものの、急遽、腰の違和感を発症し登板を回避。西武時代も故障が多かったことで心配されたが、翌週の登板では7回1失点と好投し周囲を安心させた。
チームが変わってもエース級の投球を続ける岸選手の働きは大きく、楽天躍進の原動力となっている。
FA後に楽天と交わした契約は4年総額16億円(推定)とも言われており、首脳陣、ファンから掛かる期待、そしてプレッシャーは大きい。その思いを肩に乗せシーズンでの快投を期待したい。