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時代を彩ったライバル選手たち【セ・リーグ編】(1)

2017 7/10 10:25cut
野球ボール
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Photo by Daniel Padavona/Shutterstock.com

セ・リーグのライバルと言えば誰が思い浮かぶだろうか。 古くは王貞治選手と江夏豊選手、長嶋茂雄選手と村山実選手などが挙げられる。 そして、ON時代の後にライバルとして戦った江川卓選手と掛布雅之選手も忘れてはいけない。 今回は江川卓選手、掛布雅之選手のライバル対決を紹介する。

「怪物」江川卓選手のプロ入り前

作新学院高校時代の江川選手は「怪物」と称され、野球ファンの記憶に刻み込まれている。1年生夏の甲子園栃木県予選で完全試合、秋季大会でもノーヒットノーランを達成し、甲子園に出場はできなかったものの、全国的な知名度となった。
さらに2年生の秋季大会で圧巻の成績を残す。栃木県大会、関東大会の7試合で53回を投げ無失点、防御率0.00という記録を残したのだ。関東大会を制したことにより、翌年の選抜甲子園出場も当確として、いよいよ全国デビューを果たす。
順調に勝ち進んだ江川選手だが、準決勝で達川光男選手(現ソフトバンクコーチ)率いる広島商業に破れる。そして、最後の夏も甲子園に進んだ江川選手は、延長11回、雨の中サヨナラ四球で2回戦敗退となってしまった。
その後、法政大学で東京六大学2位の47勝を挙げ、ドラフトでの騒動もありながら巨人に入団する。

ミスタータイガース前夜の掛布雅之選手

掛布雅之選手はドラフト6位で阪神へ入団したことから、期待を大きく掛けられていた選手ではなかった。しかし、高卒1年目から83試合に出場して3本塁打を放つなど、存在感を見せていた。2年目には11本塁打を放ち、3年目には初めての3割となる打率.325をマーク。順調に成長して江川選手の入団してくる1979年を迎える。
後に掛布選手は「ミスタータイガース」と呼ばれることになるが、この当時は打撃タイトルの獲得もなく、まだ「ミスタータイガース」ではなかった。江川選手と初対決初ホームランを放った1979年に、48本塁打で本塁打王を獲得。徐々に「ミスタータイガース」が浸透していくのだ。

2人の持ち味とは?

江川選手は豪速球が持ち味で、高めのストレートが決め球となっていた。カウントを取る球としてカーブも使っているが、ストレートで勝負をすることが多く見られた。
掛布選手の持ち味はプロ野球選手としては小柄な175センチの体格ながら、独特のフォロースルーでホームランを量産する圧倒的な長打力だ。
豪速球投手と抜群の長打力を誇る長距離砲の同学年対決となれば、本人、ファンも熱くならずにいられない。お互いに現役時代「怖かった」ということを語っており、並々ならぬ思いが感じられる。

七夕の夜に初対戦

江川選手と掛布選手の初対戦は、1979年7月7日だった。同じ1955年生まれの両選手だが、掛布選手は習志野高校から1973年にドラフト6位でプロ入りを果たしており、1979年は6年目のシーズンだった。そして、1977年から打率3割を3年連続でマークしており、阪神の中心選手となっていた。
対する江川選手は、作新学院高校から法政大学へと進学して浪人期間を経てプロ入り。1979年がルーキーイヤーだったのだ。掛布選手にはプロで6年戦ってきた意地とプライドがあり、江川選手に敗れるわけにはいかない。
そんな2人の対決は、江川選手がカーブから入る。この瞬間に掛布選手は「勝ったと思った」ということを、さまざまなインタビューで話している。江川選手の得意なストレートではなかったからだ。結果はライトスタンドへのホームランだった。七夕の日に放たれた掛布選手のホームランから、2人のライバル対決は始まったのだ。

2人の対戦成績

江川選手が1987年に引退、掛布選手が1988年に引退しており、2人が同時にプロとして対戦したのは1979年から1987年の9年間だ。その間の対戦成績は、打率.287(167打数48安打)、14本塁打、21三振と甲乙つけがたいものになっている。
投手、野手一方の圧勝で終わっていないこの対戦成績からも、互角の対戦だったことがわかるのではないだろうか。2人はマウンドとホームベースまでの18.44メートルの距離感で全力勝負を楽しみ、9年間を戦い抜いた。
現在、掛布選手は二軍監督として現場で阪神の若手を育て、江川選手は解説者としてテレビで野球を語っている。江川解説者が掛布二軍監督をインタビューすることもあり、まさに「昨日の敵は今日の友」といった関係だ。

まとめ

1980年代を象徴する二人の対決は、野球ファンに大きな感動を与えた。 引退後はまさに盟友といった形での交流をしており、見ているものを改めて感動させてくれる。 今後も、このような美しいライバル対決が生まれることを期待したい。

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