「田澤問題」翌年に菊池雄星選手がメジャー志望
この年、一番の目玉であった花巻東高の菊池雄星選手が、前年、大騒動を起こし【田澤ルール】まで制定させた、田澤選手と同じくメジャーへの志望を表明した。菊池選手はドラフト前に、日米合計20球団と面談を行うなどを行っているが、田澤選手とは違い菊池選手は日本でのプレーを決断する。涙ながらのインタビューを行い人々の胸を打った。
その次にメジャー志望を打ち出したのは菊池の後輩に当たる大谷翔平選手(日本ハム)というのも興味深い。
※田澤ルール:日本プロ野球のドラフト指名を拒否し海外でプレーを行った場合、高卒3年、大卒・社会人2年は日本でプレーできない。
広島は甲子園優勝経験者を1位、2位で両取り
マツダスタジアムが開場し、1998年から続いていた12年連続Bクラスからの巻き返しを図りたい広島。借金10の5位に終わった2009年は即戦力候補ではなく、将来への投資として高校生を上位指名した。
1位に指名したのは、この年の目玉であった菊池選手に2009年春のセンバツ決勝で投げ勝った清峰高の今村猛選手だ。センバツ優勝投手に加え150キロを超えるストレートでねじ伏せる姿が印象的でもあった。菊池選手に競合したこともあり広島は一本釣りに成功。ルーキーイヤーは2試合のみの登板となったが、2年目からは主に中継ぎとして活躍。2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表にも選ばれている。2016年シーズンは67試合に登板、日本シリーズでもジャクソン選手と共に6試合に登板するなど、大車輪の働きを見せている。
2位でも広島は中京大中京高の堂林翔太選手を指名。堂林選手は夏の甲子園決勝で歴史に残る名勝負でもある、日本文理高との一戦に登板。最後まで投げきることはできなかったものの、チームを優勝に導いていた。2012年に一軍デビューを果たすと、全試合に出場するなど主力候補として期待されてきた。期待に比べると伸び悩んでる感はあるものの、2017年シーズンは代打として一軍に定着し、切り札の一人としてチームに貢献している。
未来の大砲として筒香嘉智を指名した横浜
2009年シーズンは2年連続での最下位に沈んでいた横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)。1位で指名したのは、地元横浜高校の筒香嘉智選手だった。
最下位が続いていたこともあり、即戦力となりにくい高校生を指名することに疑問を持っていたファンや評論家もいたが、2017年までの結果をみれば大正解と言える。いまや、球界を代表する選手になった筒香選手は実力、人気共に兼ね備えており彼不在のチームは魅力も半減しているだろう。
2位指名では社会人の住友金属鹿島から加賀繁選手を指名。ルーキーイヤーから中継ぎとして活躍し2017年シーズンも筒香選手とともにチームを支えている。
下位指名から主力へと羽ばたいた選手達
注目となっていた菊池選手、筒香選手の他にも下位指名から実力で這い上がってきた選手達も多く存在している。
2017年シーズン絶好調の大島洋平選手(日本生命)は中日ドラゴンズから5位指名され1年目から104試合に出場し、2012年には盗塁王を獲得。リードオフマンとしてチームを引っ張っている。
阪神タイガースは4位指名で秋山拓己選手(西条高)、6位指名で原口文仁選手(帝京高)を指名。秋山選手は伸び悩んだものの2017年シーズンは開幕からローテーションに入る活躍を見せている。また、原口選手は育成落ちを経験するも、2016年シーズンに支配下へ復帰するとレギュラーに定着し、2017年シーズンは捕手から一塁手へとポジションを変え奮闘中。
北海道日本ハムファイターズが5位で指名した増井浩俊選手(東芝)は、2年目から中継ぎに転向。2012年に最優秀中継ぎのタイトルを獲得。2014年からはクローザーに抜擢され守護神としてチームに貢献する。2016年シーズンは序盤から不振に陥ると栗山英樹監督の英断によりシーズン途中でありながら、先発へ再転向し自身初の二桁勝利を達成し、日本一への原動力となった。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表として活躍し、準決勝進出へ貢献している。
2009年ドラフト指名選手は2017年シーズンが8年目となり、そろそろ結果が出てくるころだ。1年でも長く現役を続けるためにも、より一層の活躍を期待したい。