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「田澤問題」に揺れた2008年ドラフトを振り返る

2017 6/30 12:56cut
野球
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無風に近いドラフト1位指名

前年(2007年)の高校生ドラフトでは中田翔選手(大阪桐蔭高→日本ハム)、唐川侑己選手(成田高→ロッテ)、佐藤由規選手(仙台育英高→ヤクルト)と「高校ビッグ3」が注目を浴びていた。同様に大学生・社会人ドラフトでも大場翔太選手(東洋大→ソフトバンク)、長谷部康平選手(愛知工業大→楽天)、加藤幹典選手(慶応大→ヤクルト)が人気を集め高校生、大学生共にビッグ3へ指名が集中。6選手で1位入札を独占する状況だった。
2008年は高校生、大学生・社会人の分離ドラフトが終了し統合され指名は分散。重複したのは6球団が指名した3選手だった。

松本啓二朗選手(早稲田大):横浜、阪神
大田泰示選手(東海大相模高):ソフトバンク、巨人
野本圭選手(日本通運):楽天、中日

抽選の結果松本選手は横浜、大田選手は巨人、野本選手は中日が交渉権を獲得している。

その他の6球団は一本釣りに成功

中崎雄太選手(日南学園高):西武
甲斐拓哉選手(東海大三高):オリックス
大野奨太選手(東洋大):日本ハム
木村雄太選手(東京ガス):ロッテ
岩本貴裕選手(大阪ガス):広島
赤川克典選手(宮崎商高):ヤクルト

抽選に外した3球団による再入札でも楽天と阪神が藤原紘通選手へ入札となり、再びの抽選で楽天が交渉権を獲得。阪神は2度の抽選を外す結果となり最終的に奈良産業大学の蕭一傑(しょう いっけつ)選手を指名した。

藤原紘通選手(NTT西日本):楽天
巽真悟選手(近畿大):ソフトバンク
蕭一傑選手(奈良産業大):阪神

話題を独占するような大きな目玉はおらず、1位入札において波乱も起きなかった。いや、波乱はドラフトの前に起きていたと言えるかも知れない。

社会人No.1投手・田澤選手の不在

この年、ドラフト1位として目玉候補でもあったのが田澤純一選手(新日本石油ENEOS)である。田澤選手は横浜商大高校から社会人野球の強豪・新日本石油ENEOSに進み、都市対抗野球で橋戸賞(MVP)を獲得。社会人No.1右腕として注目を浴び複数球団からの1位指名が予想されていた。
しかし、田澤選手はドラフト前の9月に記者会見を開き日本の球団を介さずに直接メジャーリーグへ挑戦する意思を表明。NPB、12球団へも指名見送りを要請する文書を送付し議論を巻き起こした。
この一件が発端となり後に「田澤ルール」と呼ばれる制度ができることにもなる。
田澤選手の意思は固いと見られ強行指名に乗り出す球団は無く、ドラフト終了から1ヶ月ほど過ぎた12月にボストン・レッドソックスと契約。セットアッパーとして実績を残し2017年シーズンからマイアミ・マーリンズへとFAへ移籍しイチロー選手と共にワールドチャンピオンを目指して戦っている。2017年の年俸は500万ドル(約5億7,000万円※1ドル114円換算)となり日本球界の中継投手では手にすることがきわめて難しい額を手にしている。

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