【埼玉西武ライオンズ】守備の向上が上位浮上の鍵
2017年シーズンの開幕に向け、各チームがキャンプ・オープン戦で調整を行っています。今回は12球団の中でも、パリーグBクラスだった3チームのキャンプ・オープン戦の様子を紹介しましょう。まずは2016年シーズン4位だった埼玉西武ライオンズからです。
新たに辻発彦(つじはつひこ)監督が就任したライオンズですが、とにもかくにも守備力の向上が課題です。チーム失策数84というのは、パリーグで最も悪い数字です。
とりわけショートがここ数年固定できていないというのが非常に大きいでしょう。キャッチャーの炭谷銀仁朗(すみたにぎんじろう)選手、セカンドの浅村栄斗(あさむらひでと)選手、センターの秋山翔吾(あきやましょうご)選手といった他のセンターラインは安定していますし、打線の破壊力は12球団の中でもかなりのレベルです。それだけに、何とかしてショートのポジションを固定したいところなのですが……。
【埼玉西武ライオンズ】ショート争いはルーキーが勝利か?
2016年シーズンは、序盤は外崎修汰(とのさきしゅうた)選手や鬼崎裕司(おにざきゆうじ)選手、金子侑司(かねこゆうじ)選手らがつとめ、中盤は永江恭平(ながえきょうへい)選手と鬼崎選手が、そして後半には呉念庭(ウー・ネンティン)選手が起用されるなど、まったく安定しないポジションでした。
金子選手はライトにコンバートされてブレイクしたものの、どの選手も守備でミスが多すぎる・打撃が全く期待できないなど、レギュラーとして固定するには大きすぎる課題を持っていたのです。
今キャンプでも、ショート候補が熾烈な争いを繰り広げる中、ある選手が彗星のごとく現れてきました。ドラフト3位ルーキー、源田壮亮(げんだそうすけ)選手です。守備力は即戦力クラスという評価で入ってきた源田選手ですが、意外なことに、アピールしたのは打撃の方でした。
実は守備の方は足さばきに課題があり、プロレベルでは苦労するといわれていたのですが、一方で打撃は非常に好調で、キャンプ・オープン戦では結果を残し続けています。足さばきも辻監督の直接指導の元、短時間でかなり改善されたそうで、このままいけば開幕スタメンとのこと。非常に楽しみですね。
【東北楽天ゴールデンイーグルス】補強選手が期待以上の活躍
続いてはパリーグ5位に終わった東北楽天ゴールデンイーグルスのキャンプ・オープン戦を振り返っていきましょう。上位に上がるためには課題は山積みですが、今キャンプではどちらかといえば明るい話題の方が多いでしょうか。
特に大きいのは、西武ライオンズから移籍してきた岸孝之(きしたかゆき)選手の存在です。数年間西武の先発ローテーションを守り、10年間で積み重ねた勝利数は103個。非常に安定感のある投手を獲得することができたのです。さらに西武時代にバッテリーを組んでいた細川亨(ほそかわとおる)選手も獲得。バッテリーの大幅強化となりました。
岸選手の存在は、もちろん戦力アップという意味でも非常に大きいのですが、今キャンプでは生きる教科書となって若手選手たちに刺激を与えていたというのも大きいですね。キャンプ5日目には、ドラフト1位の藤平尚真(ふじひらしょうま)選手や、同2位の池田隆英(いけだたかひで)選手が岸投手のブルペンでの投球練習を見学していたのですが、その姿に圧倒されていました。
何球投げようとそのフォームが全く崩れず、スピンのかかったきれいなストレートを投げ込み続けるのです。あまりにもの見事な投球を続けるその姿に、ルーキーたちは自信を失ってしまうほどだったとか。ブルペンでの練習ながら、これぞプロという姿を見せてくれたみたいです。
【東北楽天ゴールデンイーグルス】若手選手たちのアピールも続く
一方で若手選手たちも、今キャンプでもしっかりとアピールしています。楽しみなのは、野手では茂木栄五郎(もぎえいごろう)選手、投手では安樂智大(あんらくともひろ)選手です。茂木選手は今キャンプで打撃にパワフルさが増したシーンが目立っています。昨年は7本塁打を放っているのですが、そのほとんどを9月以降にはなっており、シーズン後半にかけて取り組んできたことが、今キャンプでさらに磨きがかかっているようです。打線の中心として、1年間活躍してくれることでしょう。
安樂選手も要注目です。安樂選手といえば最速157km/hを誇る速球が武器の選手だったのですが、今キャンプではその投球をモデルチェンジし、140km/h後半の速球に、スライダーやスプリットを多投していました。力ではなく、技で勝負するようになったのです。
しかし要所では力強いストレートで押していくピッチングも披露しており、今まで以上に幅広いピッチングを見せてくれています。シーズンでもこのピッチングが続けられれば、2桁勝利も確実かと思います。
【オリックス・バファローズ】若きスラッガーが大爆発
最後は残念ながらパリーグ最下位となってしまったオリックス・バファローズのキャンプ・オープン戦での様子を紹介していきましょう。今キャンプは福良(ふくら)監督の非常に厳しい一面が目立っており、たくさんの若手選手がキャンプ中に2軍送りにされてしまいました。普段は温厚な福良監督ですが、それだけ選手たちの意識を変えていきたいのでしょう。
そんな中、このキャンプで目立っていたのは2年目の吉田正尚(よしだまさたか)選手です。昨年はルーキーながら10本のホームランを放った若きスラッガーですが、このキャンプでは紅白戦・練習試合といった実践機会で6試合3本塁打を記録しました。
常にフルスイングゆえ、体への負担が大きくケガも心配になってしまいますが、これだけの打棒を見せられたら期待は高まっていく一方です。T-岡田選手も調子が良く、生え抜き和製大砲コンビに注目です。
【オリックス・バファローズ】ドラフト8位ルーキーが見事な投球
投手ではドラフト8位のルーキーに面白い選手がいました、立教大学から入団した澤田圭佑(さわだけいすけ)です。がっしりとした体格ながら、多くの球種を操る技巧派で、紅白戦や練習試合でしっかりと結果を残し、1軍に食らいついています。
そして、澤田選手の活躍が印象的だったのは、WBC日本代表チームとの壮行試合です。3番手として登板して、2イニングを無失点。ドラフト8位ルーキーの球を、日本を代表するバッターたちが打ちあぐねていたのです。
大阪桐蔭高校時代は、日本代表にも選出された藤浪晋太郎(ふじなみしんたろう)選手(阪神)の2番手として、甲子園春夏連覇も経験しました。この試合の前にも、大阪桐蔭の先輩にあたる中田翔(なかたしょう)選手や平田良介(ひらたりょうすけ)選手らに挨拶をする姿も見られました。本人としても、胸を借りるつもりでの登板だったことでしょう。しかし、終わって見れば、日本代表チームをほぼ完ぺきに抑えたのです。シーズンではどのような投球を披露してくれるのでしょうか。
ここまで、パリーグBクラス3チームのキャンプ・オープン戦を見てきました。昨シーズンは苦しい戦いが続いた3チームですが、今回紹介した若手の力で、上位チームを脅かしていけるでしょうか。