山積みとなっている楽天の課題
昨シーズンは5位に終わってしまった東北楽天ゴールデンイーグルスですが、課題は山積みです。シーズン終了後にFAで岸孝之選手、そして自由契約となっていた細川亨選手を獲得。経験豊富なバッテリーを獲得して大幅な戦力強化となりました。
しかし、それでもまだ戦力が揃っているとは言いがたい状況です。新戦力だけでなく、もともといる選手たちの底上げも、上へ行くためには必要不可欠なのです。そのため、2017年キャンプでは選手たちが昨年に比べてどれだけ力をつけているかに注目が集まっていました。選手たちはどのような成果を得られたのでしょうか。
成長の跡を見せた2年目、茂木栄五郎
2017年キャンプ中にしっかりとアピールができていたのが、2年目の茂木栄五郎選手です。2016年はルーキーイヤーながらショートとして113試合に出場。規定打席に到達して.278(424-118) 7本塁打、40打点、11盗塁という成績を残しました。シーズン中から成長を見せており、特に後半は長打を打つシーンが目立っていました。実際に7本塁打のうち5本は9月に放っています。
キャンプ中にもその磨き上げた長打力をしっかりと披露。紅白戦では2安打を放ち、1本はセンターオーバーのツーベース、もう1本は右中間へのスリーベースという結果を残します。ショートというポジションにこれだけ打撃が安定している選手がいると、非常に心強いですよね。まだ楽天には生え抜き日本人野手として2ケタ本塁打を放った選手がいないのですが、茂木選手が初めて達成してくれることを期待したいですね。
投手陣では安樂智大に期待!
投手陣で大きな成長を見せたのが、3年目の安樂智大選手です。2016年シーズンは15試合に登板して3勝5敗と負け越しながら防御率は3.42を記録。シーズン最終戦でも好投を見せ、今後が楽しみなところを見せてくれました。
2017年キャンプでの安楽選手は、投球の幅広さが増していました。安樂選手といえば、高校時代から最速157km/hを記録していたように、剛速球を武器にしていた選手です。しかし、17日のハンファ(韓国リーグ)との練習試合、そして22日の巨人との試合では、モデルチェンジしたピッチングを披露していたのです。最速は140km台後半ながら、スライダーやカーブ、スプリットを織り交ぜ、2試合で7回を無失点、6奪三振という素晴らしい内容でした。
キャンプ後の3月2日に行われたハンファ戦でも、再び4回無失点の好投。これで実戦での成績は11イニングで無失点となりました。開幕ローテーションは濃厚でしょう。シーズンが楽しみですね。
まさに生きた教科書!岸孝之の存在感
FAで獲得した岸孝之選手の存在は、キャンプでも本当に光っていました。単純に戦力がアップしただけでなく、後輩たちにも好影響を与えているようです。キャンプ5日目には岸選手のブルペンでの投球を、ルーキーの藤平尚真選手(横浜高校)や池田隆英選手(創価大)らが見学していました。しかし、ルーキーの2人が自信を失ってしまうほど見事な投球を見せていたのです。
何球投げてもまったくぶれないフォーム、きれいな回転のかかったストレート。まるで機械のように正確に投げ込んでいくその姿に、ルーキーたちもプロの凄さ・厳しさを感じたようです。岸選手はこれまでも西武ライオンズの中心選手として活躍してきましたし、これからも後輩にお手本のような姿を見せてくれることでしょう。
オコエ瑠偉はここからの巻き返しなるか
首脳陣の期待を裏切る結果になってしまったのが、2年目のオコエ瑠偉選手です。
シーズンオフはウエイトトレーニングを行い、体を大きくしてきたそうですが、いざ練習が始まると、まったくキレのない動きをしていたのです。さらに、キャンプイン直前に胃腸炎になったあげく、キャンプ2日目には右手の怪我で2軍落ちとなってしまいました。まったくの調整不足に、あの温厚な梨田昌孝監督ですら激怒したほどだったとか。
身体能力は抜群ですし、追い込まれてからはノーステップ打法を取り入れるなど、野球に対してはクレバーな1面もあります。ウエイトトレーニングも決して間違っていたとは言い切れません。しかし、やはりプロ野球選手としての意識が欠けていたのでしょう。このキャンプをきっかけに、もう1度生まれ変わることができるでしょうか。
まとめ
楽天が上位へ食い込んでいくためにも、山積みとなった課題を1つずつクリアしていかなければなりません。
そんな中でも、やはり岸選手や細川選手といった経験豊富な選手たちの加入は非常に大きいでしょう。
もちろん、若手選手たちの成長も大事ですが、彼らの存在がそれをさらに加速させてくれる要素になるかもしれません。