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プロ野球選手の移籍の自由を認めたフリーエージェント制度の意味を解説

2017 2/21 19:13
野球
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出典: Aspen Photo/shutterstock.com

1993年のオフに導入され、2000年代に2度改正が行われたフリーエージェント制度(通称FA制度)は、ある選手が所属球団で一定の条件を満たした後に取得できる権利だ。 いずれの球団とも契約を締結する自由が認められる画期的なシステムついて、詳しく見ていく。

FA制度導入の理由とその背景

FA制度は、球団に選手の拘束権があり自由な移籍を認められなかった、それまでのプロ野球界の封建的な制度の見直しをきっかけに1993年誕生した。
年俸が高騰して経営が悪化するという理由で、当初は球団側からの反発にも根強いものがあったが、1993年にサッカーがプロ化し、移籍を自由に認めるなど選手側に大幅な権限を与えていることが判明し、サッカーに押されて人気が低下してしまうのでは、と危機感を抱いた球団側も渋々了承する形で発足となったのだ。
それ以降、約20年以上が経過し、何度かの制度改定を経てより移籍しやすい環境が整ってきた。

FA制度の基本ルールを紹介

初期のFA制度のルールを紹介しよう。基本的に1軍登録された日数が145日になるとそれを1年と換算し、累計9年間になると権利が取得できる。2007年には、グラウンド上でケガをして登録抹消をした場合の救済措置もルール化された。
移籍元の球団が人材流出の損害を被らないよう、制約ルールも存在する。移籍先の球団は当該選手の年俸の何割かを支払う金銭補償、並びにプロテクトした選手を除く1名の人的補償を移籍元の球団に行う義務があり、金銭のみか、そこに人的補償もつけるかは、移籍元の球団の自由となる。

FA制度改定の歴史

1993年から始まったFA制度だが、2度の改正を経験している。特に大幅な改正となったのが2008年のものであり、FA市場の活性化と移籍元の球団の損失を軽減させることを目的に行われた。
まずはメジャーリーグへの移籍が活発化したことを背景に、最短8年で取得できる海外FA権が誕生した。そして、国内FAにおいても権利取得までの年数短縮化が行われ、原則7?8年で取得できるようになったのだ。さらに、移籍元球団への補償として、FA選手の前年度の年俸を基準にA?Cランクに分けられ、上位ランクの選手ほどより手厚い補償を受けられるようになった。

日本初のFA移籍となった松永浩美氏

FA制度導入から約20年以上が経過し、2016年までに100人を超える主力級の選手がFAを宣言した。最初にこの権利を使ったのが、当時阪神タイガースに在籍していた松永浩美氏だ。
前年の1992年にオリックスブルーウェーブからトレードで阪神タイガースに移籍した松永氏は、打って走れる3番打者として期待されていた。しかし、開幕2戦目で故障し、その後も不振続きで結局80試合の出場にとどまる。オフの契約更改も不調に終わり、地元である福岡でもう一花咲かせるべく、FAの権利を行使して福岡ダイエーホークスに移籍した。
これを皮切りに、次々と大物選手がFA権利を行使し、ファンを驚かせる移籍劇が展開されたのだ。

FA制度のメリットとデメリット

FA制度は、文字通り、一定の条件付きながら選手に移籍の自由を認めたことに大きなメリットを見出せる。新人選手として所属球団にて数年間一生懸命プレーすれば、その実績が認められて憧れの球団へ移籍でき、高額の年俸も手にできるという夢を持てるようになったのだ。
一方、デメリットとしては、選手流出による球団の戦力低下、年俸の高騰化と、それに伴い資金力のある特定球団に選手が集まってしまい、戦力の均衡化が危うくなることだ。何度かの改定により、それを防ぐ努力はなされているものの、解消しきれていないのが現状である。

まとめ

FA制度はまだ改善の余地を残すものの、選手の夢が実現するものであることに変わりはない。 さらに、球団を応援するファンにとっても、あの選手がウチにいてくれたらという夢が実現する可能性も高まり、より応援に熱が入るきっかけとなり、ひいてはそれが日本のプロ野球熱の高まりにもつながるポテンシャルを秘めている。 今後、各方面がより納得する制度の確立が待たれる。

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