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オリックスのドラフト補強ポイント 1位指名で狙うは山本由伸の後釜か、次世代の大砲候補か

2023 10/20 06:00SPAIA編集部
オリックスの中嶋聡監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

先発陣は多士済々も2人流出危機

中嶋聡監督の下、リーグ3連覇を成し遂げたオリックス。山本由伸を中心とした強力な投手陣に加え、西武からFA移籍で加入した森友哉や首位打者を獲得した頓宮裕真ら野手陣も躍進を遂げ、攻守に安定感のある戦いを見せた。

現在、2年連続日本一を目指してロッテとのCSファイナルステージを戦っているが、10月26日に開催されるドラフト会議は、来季に向けてチームの戦力を強化する最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めオリックスのドラフト補強ポイントを考えていく。

【過去のドラフト指名選手一覧はこちら】

先発投手,ⒸSPAIA


リーグトップのチーム防御率2.73をマークした投手陣。特に先発防御率はダントツの2.61だった。エースの山本は前人未到の3年連続投手4冠に輝き、宮城大弥、山﨑福也と合わせて3人が2桁勝利を達成。さらに、高卒3年目の山下舜平大、育成出身の東晃平と2人の新星も加わり、分厚い陣容を誇った。

ただ、山本が今オフにメジャー挑戦の可能性が高く、国内FA権を取得した山﨑福が他球団へ移籍する可能性も否定できない。上記のほかにも6年目左腕の田嶋大樹、今季途中リリーフへ転向した山岡泰輔ら実績ある投手も控えているが、2人同時流出となれば戦力低下は必至。即戦力期待の先発投手を1位指名する可能性も十分に考えられる。

リリーフ投手,ⒸSPAIA


一方のリリーフ陣は防御率が2.93でリーグ3位と、先発と比べるとそこまで突出した成績ではなかった。抑えの平野佳寿は防御率1.13、29セーブをマークと今季も健在。山﨑颯一郎、阿部翔太、宇田川優希の3人は好不調の波こそあったが、40試合以上に登板し、ブルペンを支えた。

41歳の比嘉幹貴に、左腕の山田修義らベテラン勢も奮闘したが、昨年と比べると若手の台頭は乏しかった。消耗が激しいポジションで、守護神の平野も39歳とそろそろ世代交代の時期にきているだけに、今年のドラフトでもしっかり補強しておきたいところだろう。

クリーンアップ候補と未来の正捕手指名か

捕手,ⒸSPAIA


捕手は打の森友哉、守の若月健矢に加え、トレード加入した石川亮が3番手に控える盤石の布陣。国内FA権を取得した若月が早々に残留を宣言し、来季も扇の要は安泰と言える。今年のドラフトでは将来に備えて、次世代の正捕手候補となる有望な高校生の指名を検討する形になるだろう。

内野手,ⒸSPAIA


続いて内野手。一塁は今季ブレイクした頓宮裕真がレギュラーを獲得。三塁も宗佑磨がレギュラーを務めており、即戦力は必要ない。昨年ドラフト2位で内藤鵬を獲得したが、長距離砲と言えるのはその1人だけ。今年も有望株がいれば次世代のクリーンアップ候補を指名しておきたい。

二遊間ではショートの紅林弘太郎が昨年から攻守ともに成長を遂げ、欠かせない戦力に。その一方で、セカンドは今年もレギュラーが定まらなかった。宜保翔、太田椋とレギュラー候補はいるが、なかなか突き抜けるものが見せられていない。今年、この2人に刺激を与える選手を指名しておくのもありだろう。

外野手,ⒸSPAIA


外野手はレフト・杉本裕太郎とセンター中川圭太がほぼレギュラー格。ライトで茶野篤政、野口智哉ら若手が起用されていた。20代前半に成長待ちの若手が多数おり、指名の優先度は低い。杉本のような一発長打が持ち味の高校生の候補がいれば、検討するくらいだろう。

1位指名は若手に少ない大砲候補

以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。

1.将来の4番候補
将来30発以上を狙えそうな若手が内藤鵬1人という現状を鑑みて、長距離砲の獲得を最優先としたい。筆頭候補は広陵高・真鍋慧。高校通算62本塁打を誇る左のスラッガーで、T-岡田のように本塁打王を目指せる逸材だ。他の候補では、鹿児島城西高・明瀬諒介、慶應大・廣瀬隆太が大砲候補として上位指名が予想されている。

2.伸びしろある先発投手
山本由伸が抜ける可能性大の先発陣だが、質の高い投手も控えていることから、2位以降で指名を考えたい。将来性重視の高校生なら滝川二高・坂井陽翔が筆頭候補。186センチの長身から最速149キロの直球と鋭く落ちるフォークを繰り出す本格派右腕だ。大学生なら抜群のスタミナと安定感誇る亜細亜大・草加勝、今年頭角を現し高いポテンシャル秘める明治大・石原勇輝らが候補となるだろう。

3.将来の正捕手候補
現状、大きな強みとなっている捕手は次世代の正捕手候補の獲得を狙う。その候補となるのは報徳学園高・堀柊那、常葉大菊川高・鈴木叶の2人。どちらも守備に定評のある選手で、ファームで鍛えれば、現正捕手の若月のような安定感あるキャッチャーへの成長が見込める。

投手、野手ともに新星が躍動し、三連覇に貢献していたオリックス。好素材を見つけてくるスカウティングと、その選手たちを一人前に育て上げる育成環境の両輪がうまく機能している結果と言える。今年のドラフトでもどのような選手を指名するのか注目だ。

※表の年齢は2023年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月13日時点)

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