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軟式出身、医師の卵、名門から転校…ドラフト指名を待つ異色の選手たち

2023 10/17 06:00内田勝治
同志社大の真野凜風,Ⓒ産経新聞社
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同志社大の真野凜風,Ⓒ産経新聞社

10月26日にプロ野球ドラフト会議

プロ野球ドラフト会議は10月26日に行われる。高校通算140本塁打を誇る佐々木麟太郎内野手(ささき・りんたろう、18=岩手・花巻東)は米国への大学留学を表明したが、大学屈指の左腕で最速158キロを投じる細野晴希投手(ほその・はるき、21=東洋大)ら高校生139人、大学生177人(準硬式5人含む)がプロ志望届を提出した。

その中でも、異色の球歴を辿ってプロ入りを夢見る選手たちにスポットを当ててみたい。

高校では軟式野球部 大学で硬式に転向して最速152キロまでアップ

真野凜風(まの・りんか、21=同志社大)

奈良・天理高では所属した進学コースの授業との兼ね合いで、名門の硬式野球部入部を断念し、軟式野球部に所属。2年夏には中堅手兼投手で全国大会に出場し、ベスト4まで勝ち上がった。

最速135キロの直球を持ち味に、同志社大のスポーツ推薦に合格し、硬式野球部へ入部。ボールに慣れるのに苦労したが、2年春にリーグ戦初登板を果たすと、主にリリーフとして活躍。187センチの長身から投げ下ろす直球の最速は152キロまでアップした。

4年春はエースとして2勝2敗、防御率2.88で初の規定投球回到達も、終盤に右肘を痛め戦線離脱。ケガも癒え、秋のリーグ戦で最後のアピールを続けている。

医師の夢は一時封印 医学部、準硬式から“もう一つの夢”目指す

竹内奎人(たけうち・けいと、24=群馬大)

静岡・伊東リトルシニア時代は「WBSC U-15ワールドカップ」日本代表に選出。静岡高では左腕の池谷蒼大(元DeNA)らとともに2017年センバツに出場した。

当時の最速は141キロ。プロから注目されるも、整形外科医になることを夢見て、群馬大医学部の一般公募推薦試験を受験し、現役合格。準硬式野球部に入部後は、最速も147キロまで伸びた。

自身のSNSにてプロ志望届を提出したことを明らかにし、「卒後は初期研修に進まず、野球を続けていきます。医師不足が問題となる中、賛否のご意見はあるかもしれませんが、自分の納得いくまで挑戦します」と決意表明した。

昨年ドラフトでは京都大の水口(みなくち)創太投手がソフトバンクから育成7位で指名され、医学部から初のプロ野球選手となった。竹内が続くことができるか。

一浪して大学入学 九州共立大では3年生から主将としても活躍

梁瀬慶次郎(やなせ・けいじろう=23、九州共立大)

石川の金沢大附属小時代から硬式野球を始め、高校は両親の故郷にある長崎日大に進学。3年夏の長崎大会では準々決勝で敗退するなど、甲子園出場はなし。関東の名門大進学を目指して一浪し、猛勉強するもかなわず、福岡の九州共立大に進学した。

2年春から主軸を務め、一塁手で初のベストナインに輝くと、3年春からは主将を務め、40打数18安打12打点、打率.450で福岡六大学リーグ最優秀選手賞と2度目のベストナインを受賞した。

主に4番としてリーグ戦通算8本塁打を放つなど、左打席から長打が狙えるのも魅力。上原忠監督もそのキャプテンシーには絶大な信頼を置いている。

東海大相模から東海大熊本星翔に編入し甲子園出場 高校通算39発スラッガー

百崎蒼生(ももさき・あおい、18=東海大熊本星翔高)

熊本泗水ボーイズ時代から強肩強打の遊撃手として注目され、神奈川の東海大相模高に進学。1年秋からレギュラーの座をつかみ、関東大会8強進出に貢献も、チーム内の雰囲気になじめず退学した。

地元に戻り、東海大熊本星翔に2年春から転入。高野連の規定で、転入先の学校では公式戦に1年間出場できず、3年夏の県大会からデビューすると、主軸としてチームの5年ぶり甲子園出場に貢献した。

甲子園では静岡・浜松開誠館との初戦に「1番・遊撃」で出場し、2安打1得点と活躍。東海大相模時代と合わせ、高校通算39発を誇る長打力と、50メートル5秒8の俊足は、プロのスカウトも高い評価を与えている。

横浜から花咲徳栄に編入 父と同じプロの舞台を目指す

小野勝利(おの・しょうり、18=埼玉・花咲徳栄高)

元巨人投手の小野剛氏を父に持ち、神奈川・横浜高では1年夏に背番号18を背負い甲子園に出場。2回戦の奈良・智弁学園戦では代打として聖地の土も踏んだ(結果は三振)。

名門の主軸へと成長することを期待されたが、2年春に同校を退学。その後、花咲徳栄に編入した。

3年夏の埼玉県大会から「4番・三塁」で起用され、大会10打点を挙げるも、決勝で浦和学院に2-7で敗れ、異例となる2校での甲子園出場は夢と終わった。180センチ、86キロの恵まれた体格から高校通算16発を放っている。

上記5名の他にも注目すべき選手は数多い。誰がどの球団に指名されるのか。運命の日が待ち遠しい。

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