「完全試合」の成立条件その1:「無安打」「無得点」であること
完全試合が成立するための絶対条件の一つといえるのが「無安打」、「無得点」で投手が試合に勝利を収めることだ。つまり「完封」ではなく「ノーヒットノーラン」が必須の成立条件となる。
「完封」とは投手がヒットを何本打たれようとも、ファアボールをどれだけ出そうとも、相手を0点に抑えて勝利すれば成立するが、完全試合は相手を0点に抑えるだけではダメなのだ。
「無安打」とある通り、ヒットを1本でも許したらその時点で完全試合ではなくなる。
「完全試合」の成立条件その2:どのような理由でも出塁は許されない
完全試合が成立するもう一つの大切な条件が「どんな理由であっても走者の出塁を許さないこと」だ。
「ノーヒットノーラン」との決定的な違いと言えるが、「ノーヒットノーラン」の場合は「ヒット」での出塁がなければ成立する。つまりフォアボール、デッドボール、ボーク、振り逃げ、あるいは味方守備陣のエラーによって走者が塁に出た場合でも、ヒットさえ打たれずに無得点で勝利できれば「ノーヒットノーラン」は成立する。
ところが「完全試合」はフォアボールやエラーといったヒット以外のいかなる理由であっても走者が出塁してしまえば、その時点で成立しなくなるのだ。
つまり理由に一切関係なく、走者を絶対に出塁させないことも完全試合が成立する上で大切な要件なのだ。
「完全試合」の成立条件その3:「引き分け」はダメ「勝利」のみ
では、完全試合の成立条件である「無安打「無得点」に加えて、ファアボールや味方のエラー等も含めて一切走者を出塁させずに延長戦となったが、それでも勝敗がつかず引き分けとなった場合はどうなるのだろうか。
完全試合は「投手が勝利を収めること」も大事な成立条件となっているので、「引き分け」の場合は完全試合とは認められない。
ちなみにこの場合は「参考記録」となるだけだ。つまり記録としては残るものの、完全試合を達成した実績にはならない。
「完全試合」の成立条件その4:投手一人で達成すること
完全試合として忘れてならない条件が「一人の投手で勝利をおさめること」だ。
仮に9回を投げ抜き、その間エラー等も含めて一切一人の走者も許さなかったとする。その後、延長戦に入ってからリリーフを仰ぎ、他の投手が継投した場合、仮にその試合で勝利を収めたとしても先発投手、リリーフ投手共に完全試合を果たしたとは認められないのだ。
この場合もプロ野球では参考記録になるだけだ。先発した投手が「一人」で投げ抜いた上で、一切の走者出塁を許さずに勝利を収めることが完全試合成立に不可欠なのだ。
言うまでもなく完全試合は容易なことではない。日本のプロ野球界では1994年に巨人の槙原投手が達成して以来、達成者は一人も出ていない。