開幕戦サヨナラ打を放ったソフトバンクの「新顔」
異例のシーズンを迎えている2020年のプロ野球。開幕直後から活躍を見せる新入団選手・新外国人選手や、新たに一軍の舞台へ登場してチャンスを掴もうとしている今季の「新顔」に注目したい。今回は、開幕からソフトバンク打線の中で存在感を放つ、栗原陵矢を取り上げる。
2014年ドラフトで、捕手として2位指名され入団した左打者。プロ入りから5年、球界随一の選手層を誇るソフトバンクではなかなか一軍で活躍の場を見出せなかったものの、昨季は二軍で打率.323、9本塁打の好成績をマーク。一軍でもプロ初本塁打を達成し、有望株として評価を高めていた。
今季は練習試合やオープン戦で猛アピールに成功し、「2番・一塁手」として開幕スタメン入りを果たす。すると、その開幕戦(対ロッテ)の延長10回に劇的なサヨナラ打を放ちヒーローに。その勢いのまま6月28日までの9試合中、猛打賞2回を含む8試合で安打を放ち、チームトップの打率.359・出塁率.419をマーク。1番か2番の打順ながら9打点もチームトップと、打線の「柱」と呼べるほどの活躍を見せている。
数字でここまでの活躍ぶりは理解できるが、打席での雰囲気でも「新顔」らしからぬものを感じる。どっしりとした構え、ゆったりとしたタイミングの取り方から広角に鋭いライナーを飛ばす姿は、すでに一軍で何年もレギュラーを張っている打者のような風格が漂う。
対戦投手ごとの成績を見ても、まだ打席数が少ない中で西武・ニール、ロッテ・種市篤暉、美馬学といった一線級の投手からしっかり安打を放っており、実力は本物と判断していいのではないだろうか。