最近3年は勝率.329 西武との相性の悪さ
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
そこで、苦手チームとの対戦データから天敵攻略の鍵を探っていきたい。今回は昨季4位に終わり、3年連続Bクラスとなったロッテを取り上げる。
昨季のロッテが苦手としたのは西武だ。8勝16敗1分けで借金8つ。チーム得点リーグトップの西武に対し、昨季本塁打を激増させたロッテの得点はリーグ2位。「打」のチーム同士の戦いは西武の圧勝となった。
ロッテは西武に対して2018年、2017年もそれぞれ8勝ずつ。この3シーズン通算の勝率は.329(24勝49敗2分)となり、相性の悪さはAクラス入りへの障壁となっている。
新加入レアードが西武投手陣に好相性
昨季のロッテの主な選手の対西武戦データを振り返り、天敵攻略のキーマンを探っていきたい。
攻撃面のデータを見ると、最も当たっていたのは新加入のレアードだ。打率.356・5本塁打・15打点・OPS.966を残した。シーズン全体では決して高くなかった打率(.248)も、西武投手陣に対してはハイアベレージをマーク。日本ハムから移籍した昨季はチームトップの32本塁打を放ち、ロッテの貧打脱却に大きく貢献したが、西武戦で特にその打棒が際立った。チームが以前から苦手とした相手に対して、相性の良さを見せてくれたのは好材料だ。
そのほかの打者も主力クラスはシーズン成績とあまり変わらない数字が出ており、打線に関しては苦戦した痕跡が見られない。しかし、今季は鈴木大地が楽天へのFA移籍によりチームを去る。昨季の鈴木は西武に対して打率.302を残しており、“打倒西武”という観点からもその穴は大きい。ただ、主に一塁、三塁を守った鈴木が抜けることで、安田尚憲ら若手有望株にもレギュラー獲りのチャンスが訪れる。そこで出場機会を掴む選手の打席が重要になるだろう。
西武投手陣に目を向けると、ロッテ打線が苦戦したのは本田圭佑とニール。本田は昨季シーズン全体でマークした6勝のうち、4勝がロッテから稼いだもの。防御率も5試合で3.06と安定していた。ニールは4試合を防御率2.49に抑え3勝をマーク。この先発右腕2人の攻略が鍵となってきそうだ。
若手右腕の二木、岩下がキーマンに
投手は石川歩、種市篤暉、西野勇士、
チェン・グァンユウ、益田直也らが強力打線相手に好投。昨季終盤に先発転向した西野は今季も先発としてシーズンを戦う見込みで、石川、種市と合わせて開幕ローテーション入りが有力。この右腕3枚を軸に勝ちを重ねていきたいところだ。
一方、西武戦で苦しんだ先発候補は二木康太と岩下大輝。二木は5試合で1勝3敗、防御率6.41。過去のシーズンを見ても先発ローテーションに定着した2016年以降、毎年西武に対しては防御率4点台以上と相性は良くない。
岩下はプロ5年目の昨季、シーズン全体で21試合に登板。8月6日のソフトバンク戦でベースカバーの際に足を怪我して離脱するまでは先発ローテーションに定着し、防御率3.64を残す飛躍のシーズンだった。しかし6試合に登板した西武戦では1勝1敗、防御率5.85と結果を残せていない。
投手に関しては、将来のロッテを担う若手先発右腕として期待される2人が天敵攻略のキーマンとなりそうだ。
2020年プロ野球・千葉ロッテマリーンズ記事まとめ