昨季はヤンキースが103勝
昨シーズンのア・リーグ東地区を制したのはヤンキースだった。意外に思えるかもしれないが、この名門球団が地区優勝を果たしたのは2012年以来、7年ぶりのことだった。2013年に海を渡った田中将大にとっては初めての栄冠だった。
今シーズンもヤンキースが優勝候補の筆頭に挙げられるのは間違いない。ただ、筒香嘉智が加入したレイズも目が離せないチームだ。そんなア・リーグ東地区について、各チームの戦力分析とともに今季の順位予想を行っていく。
昨シーズンのア・リーグ東地区を制したのはヤンキースだった。意外に思えるかもしれないが、この名門球団が地区優勝を果たしたのは2012年以来、7年ぶりのことだった。2013年に海を渡った田中将大にとっては初めての栄冠だった。
今シーズンもヤンキースが優勝候補の筆頭に挙げられるのは間違いない。ただ、筒香嘉智が加入したレイズも目が離せないチームだ。そんなア・リーグ東地区について、各チームの戦力分析とともに今季の順位予想を行っていく。
昨シーズンのヤンキースは確かに強かったが、ベストメンバーと言うには程遠かった。打線の中心として期待されていたアーロン・ジャッジはシーズンの3分の1を欠場し、ジャンカルロ・スタントンに至っては18試合しか出られなかった。投手陣に関しても、エースのルイス・セベリーノがマウンドに上がることはほとんどなかった。
それでも103勝できたのは新しい戦力のおかげである。D.J.ルメイヒューのMVP級の活躍、シーズン前は誰も注目していなかったジオ・ウルシュラやマイク・トークマンの爆発など、2019年は伝統球団に新風が吹き込まれたシーズンだった。
ヤンキースは今オフに投手史上最高額でゲリット・コールと契約。これで2020年は盤石かと思われたが、雲行きが怪しくなってきた。どうやら今年も選手のケガがヤンキースを悩ませそうなのだ。
左のエースとして期待されていたジェームズ・パクストンが腰を手術し、開幕は絶望的となった。また、セベリーノも右腕の痛みが再発。ジャッジは右肩の痛みのため、キャンプイン後も屋外でのスイングを控えており、2月29日には精密検査を受けることが明らかになった。2009年以来のワールドチャンピオンとなるには、身内の健康問題が最大の壁になるかもしれない。
筒香嘉智が入団したレイズ。昨シーズンは96勝66敗で2位につけ、ポストシーズンにも進出した。際立っていたのは投手力だ。エースであるブレイク・スネルが不調だったにもかかわらず、チーム防御率はア・リーグ1位の3.65だった。
スネルの復活に加えて注目なのが「誰がクローザーを任されるか」ということである。昨季20セーブをあげたエミリオ・パガンをトレードで放出し、守護神の座は空位となっている。筆頭候補はディエゴ・カスティーヨ。ファストボールの速さがMLBのなかでも上位1%に入る豪腕である。
レイズは若いチームであり、今年29歳になる筒香嘉智は、チーム内ではベテランの域に入る年齢だ。筒香が加入したことにより、日本のファンにオースティン・メドウズやブランドン・ロウ、ウィーリー・アダメスなどのチームメイトが注目される機会も増えるだろう。MLBを代表する選手になるであろう彼らを、今から覚えておくのもいいかもしれない。
今オフはレッドソックスファンにとって悲しい出来事が続いたかもしれない。ただでさえ昨季はア・リーグ東地区3位に終わっていながら、アレックス・コーラがサイン盗み問題で監督を解任。ムーキー・ベッツとデビッド・プライスは、ドジャースへとトレードとなった。
ショッキングだったのは、ドジャースとのトレードで獲得したアレックス・ベルドゥーゴに疲労骨折が判明し、開幕に間に合わない見通しだということだ。ベルドゥーゴは昨季、打率.294/出塁率.342/長打率.475という成績を残した若手で、ベッツの穴を埋める存在として期待されている。
ベルドゥーゴが復帰するまで、ライトはキャンプ直前に獲得したケビン・ピラーが守るのが大方の予想だ。ピラーは“スーパーマン”と評されるほどの守備の名手で、攻撃面でも昨季はキャリアハイとなる21本塁打を放っている。もちろん、ベッツが抜けた穴はそれよりもはるかに大きいわけだが。
ここ数年は低迷気味のブルージェイズだが、このチームの将来は明るい。ブラディミール・ゲレーロ.Jr、ボー・ビシェット、キャバン・ビジオの「二世プロスペクト」をはじめとした若手たちが活躍すれば上位を狙えるかもしれない。
楽しみなのは若手だけではない。今オフは積極的にFA市場にも参入し、昨季サイ・ヤング賞投票で2位に入った柳賢振やタナー・ロアーク、山口俊などを獲得。近い将来、地区優勝を狙えるチーム作りをおこなっている姿勢をうかがわせた。
おそらくオリオールズファンが今季に期待しているのは地区優勝よりも有望株がどれだけ活躍してくれるかだろう。昨季21試合の出場ながらも打率.309/出塁率.373/長打率.574という成績を残したオースティン・ヘイズ、最速99.8マイル(160.6キロ)の剛腕、ハンター・ハービーらに注目が集まる。
また、もう一人忘れてはならないのはオリオールズのトップ有望株、アドリー・ラッチマンだ。メジャー昇格は2021年の予定だが、招待選手としてメジャーの春季キャンプに参加。ブランドン・ハイド監督も「まったく萎縮していない」と将来を担う若者の大器ぶりを称賛した。