4球団が絡む大型トレード 前田健太はツインズへ
32年ぶりのワールドチャンピオンを目指すドジャースが大型トレードに乗り出した。レッドソックスから2018年にア・リーグMVPとなったムーキー・ベッツと、サイ・ヤング賞投手であるデビット・プライスを獲得したのだ。
このトレードはドジャースとレッドソックスのほかに、ツインズとエンゼルスも絡む規模の大きいものだった。そして、2016年からドジャースで活躍していた前田健太も駒の一つとなっている。現時点でMLB公式サイトが伝えている今回のトレードの概要は以下の通り。
・ドジャース:ムーキー・ベッツ(BOS)、デビッド・プライス(BOS)、ルイス・レンヒフォ(LAA)を獲得
・レッドソックス:アレックス・ベルドゥーゴ(LAD)、ブラスダー・グラテロル(MIN)を獲得
・ツインズ:前田健太(LAD)を獲得
・エンゼルス:ジョク・ピーダーソン(LAD)を獲得
ドジャースの思惑
今オフ、ドジャースはFA市場において負け組だった。獲得を目指していたゲリット・コールは投手史上最高額でヤンキースへの入団を決め、アンソニー・レンドーンからは「ドジャースのハリウッド的なライフスタイルは自分に合わない」ということで同じロサンゼルスにあるエンゼルスが契約合意に至った。ドジャースが補強する術はトレード市場に限られていたのだ。
一方、レッドソックスは贅沢税への対策が急務だった。贅沢税とは選手年俸の総額が規定金額を超えた場合に支払う課徴金であり、レッドソックスは2019年、1340万ドル(約14億7000万円)の贅沢税が課されていた。ベッツの2020年の年俸は2700万ドル(約29億5000万円)。2021年にはフリーエージェントとなるため、チームに留めておくためには莫大な資金が必要となる。また、レッドソックスは昨シーズン、ア・リーグ東地区3位と低迷しており、再建の機運が高まっていたことも主力を放出することへの動機付けとなった。
つまり、今回のトレードは、チームを補強するためにはトレード市場しか残されていなかったドジャースと、節約のために主力の放出を模索していたレッドソックスの思惑が一致した形となった。
ベッツの獲得はもちろんだが、プライスの獲得もドジャースにとっては大きい。ドジャースは今オフ、柳賢振とリッチ・ヒルという二人のサウスポーを失っていた。とくに柳は昨シーズン、14勝を挙げ、防御率は30球団トップである2.32をマーク。同じく左腕であるプライスにはその穴を埋める活躍が期待されている。
前田健太が移籍するツインズとは
前田健太のトレード先、ツインズは強打のチームとして知られている。メジャー通算401本塁打を放っているネルソン・クルーズを筆頭に、ラインナップにはエディー・ロサリオやマックス・ケプラー、ホルヘ・ポランコといった強打者が並ぶ。昨シーズンはチームで合計307本もの本塁打を放ち、MLBのシーズン記録を更新した。また、今オフには2015年のア・リーグMVP、ジョシュ・ドナルドソンと4年契約を結んでいる。
攻撃陣が強力な一方で、ツインズの投手陣は手薄である。計算できる先発はホセ・バルオスとジェイク・オドリッジのみ。今オフはホーマー・ベイリーとリッチ・ヒルの二人を獲得したが、このベテラン二人がシーズンを通してどれだけ活躍できるかは予想が難しい。また、リリーフに関しても決して十分とは言えず、先発とリリーフの両方で投げられる前田健太の存在は貴重な戦力となるだろう。