2001年からはじまった日本人野手のメジャー挑戦
平成の30年間にあった野球界の変化といえば、日本人選手のメジャー進出がある。野手としては2001年にイチローと新庄剛志が初めてメジャーデビュー。2人に続き、以降は次々と日本人野手が海を渡っている。
イチローは2019年シーズンの開幕カードでメジャー19年の現役生活に別れを告げた。これを機に、日本人野手がメジャーで残してきた功績を各記録のランキングと照らし合わせながら、振り返ってみたい。(イチローは2019年シーズンまで、他の打者は2018年シーズン終了までを対象)
安打はイチロー、本塁打は松井秀
安打のトップはもちろんイチロー。16年目の2016年にメジャー史上30人目、アジア人として初の3000本安打を達成し、通算3089安打として今季開幕カードでバットを置いた。
2位の松井秀喜は1000本超えの1253安打、日本でデビューから5年連続100安打以上の青木宣親は、774安打で3位。
4位の松井稼頭央は、2007年ロッキーズ時代にワールドシリーズに出場し、4シーズンでレギュラー格として100安打以上を達成。内野手にメジャー挑戦の道を切り開き、井口資仁、岩村明憲らの成功につながった。
松井秀とイチローの2人だけが100本塁打を超えた。渡米前年度に巨人で50本塁打を放った松井秀は、メジャー初年度16本塁打にとどまったものの、2年目には31本塁打を放つなどスラッガーとして成功。
イチローは、シーズン262安打の記録をつくった翌年の2005年に自身最高の15本塁打を放つなど、3度のシーズン2桁本塁打を記録している。
ほかに城島健司、福留孝介、井口とホームランバッターだった選手も活躍したが、NPB時代に比べるとやはり本数は少なかった。だが、昨季は大谷翔平が日本人メジャー1年目として最多の22本を放ち、打者一本でプレーする今季に期待が高まっている。
打点でもイチローがトップだ。1年目に自身最高の69打点を挙げ、マリナーズ時代は60打点以上を5度記録している。10年のプレーでイチローに迫った松井秀は、シーズン100打点以上を4回。
他に中軸打者として長年プレーした選手がおらず、3位はリードオフマンタイプの青木の219打点となっている。
松井稼がイチローに次いで通算盗塁数2位
敬遠四球の数を見ると、イチローのすごさを改めて感じることになる。通常の四球は647個と、松井秀の547個より100個多いだけだが、敬遠四球は146個多い181個。
シーズン最高では、2年目に27個ものリーグ最多の27敬遠を記録。メジャー通算の得点圏打率は.308を記録するなどチャンスに強く、勝負を避けられることが多かった。
メジャー史上38人目となる500盗塁を達成したイチロー。2位は、シーズン最高で32盗塁を決めた松井稼。この2人の成功率はイチローが.813、松井稼が.850と、8割を超える失敗の少なさだった。
3位は1年目に30盗塁した青木。NPB通算13盗塁の大谷はあまり打席が多くない中、1年目から10盗塁を決めており、これから打者としては足も武器になっていきそうだ。
イチローが唯一の通算打率3割、松井秀が唯一の通算OPS.800超え
打率.311で引退したイチローは、日本人打者で唯一の3割超えとなっている。2位は青木宣親の.285。
日本で首位打者3度、通算打率歴代1位の青木が3割に届かなかったことが、メジャーのレベルの高さを感じさせられてしまうところだ。4位は松井秀で、次に控えとして出場が多かった田口壮が打率.279をマークしている。
出塁率は.360で松井秀がトップで、2位に福留が入る。福留は、IsoD(出塁率から打率を引いた選球眼の良さを表す指標)が.101となり、NPB通算よりも高い。
3位のイチローに続いて青木が4位。シーズン打率3割を達成できなかった青木だが、毎シーズン3割5分程度の出塁率を維持し、1・2番打者として何年もレギュラーで活躍することができた。
長打率は、やはり松井秀がトップ。長打率と出塁率を足したOPSは.822となり、日本人唯一の通算OPS.800以上となっている。OPSは長打の多い打者が高くなりやすい指標だが、ここでもイチローは通算.757で日本人2位だ。
※成績は3月31日時点。打率、出塁率、長打率、OPSは1000打数以上を対象