「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

MLB特有の制度「セプテンバーコールアップ」とは

2018 9/18 10:32勝田聡
田澤純一,Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

メジャーリーグ選手枠の基本

日本のプロ野球同様にメジャーリーグも優勝争い、ワイルドカード争いがより一層激しくなってきた。と同時に、今シーズンのポストシーズンが絶望的なチームは、若手有望株をはじめとしたマイナーリーグの選手をメジャーに呼び寄せ試合で経験を積ませている。

俗に言う「セプテンバーコールアップ」だ。

このセプテンバーコールアップは日本では同義の制度がなく、メジャーリーグ特有のものだ。この時期のメジャーリーグ中継では、よく聞かれる言葉の一つである。

メジャーリーグでは、出場できる選手枠「25人枠」がある。これはアクティブロースターと呼ばれ、日本のプロ野球における28人の一軍登録と同じ意味合いだ。この25人枠に登録されていないと、通常メジャーリーグの試合に出場することはできない。

その次に「40人枠」と呼ばれる支配下選手枠がある。プロ野球における支配下選手登録とほぼ同じである。もちろん25人枠の選手は全員、40人枠に入っている。

通常、25人枠に入っていなければメジャーリーグの試合に出場することはできないが、ダブルヘッダーに関しては40人枠の中から1人を当日に限り、補充することが可能となっている。この制度の恩恵を受け、2015年に当時インディアンスの村田透(現・日本ハム)がメジャー初登板を果たしたことで知っているファンもいるだろう。

セプテンバーコールアップとは?

前項で説明したとおり、メジャーリーグの試合には25人枠のアクティブロースターに入っていないと出場することができない。しかし、9月に入るとアクティブロースターが最大40人まで拡大される。それによって40人枠に入っていれば、コールアップ(メジャー昇格)を経てメジャーの試合に出場できるのである。

メジャー昇格のことをコールアップ(call-up)と呼ぶことから、セプテンバーコールアップ(September call-up)と名付けられている。

日本のプロ野球で例えると、9月に入りベンチ枠が40人に増え、支配下登録されていれば一軍昇格を経て試合出場のチャンスが与えられる。といったところだろうか。

近年だと2016年のナショナル・リーグでルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)に輝いたコーリー・シーガー(ドジャース)がセプテンバーコールアップによる昇格で躍動した。2015年の9月にメジャー昇格を果たしたシーガーは、27試合の出場で打率.337、4本塁打、17打点と1ヶ月間で結果を残す。そして翌年は遊撃でレギュラーを掴むと打率.308、26本塁打、72打点の成績を残し新人王、シルバースラッガー賞を受賞したのだ。

今シーズンは田澤もコールアップ

セプテンバーコールアップは主にポストシーズンが絶望的となったチームが積極的に使用していく。シーズン終了間際の1ヶ月間で来シーズンに向け、若い有望株の選手をメジャーで通用するのかを見極めるのである。

また若手ではないが、メジャー当落選上の選手もしばしば、マイナーから呼び寄せられ、来シーズンの戦力となるのかを首脳陣からチェックされるのだ。

今シーズンだと田澤純一(エンゼルス)がセプテンバーコールアップに伴い、メジャー昇格を果たしている。田澤の契約は今シーズンまでとなっており、オフにはFAとなる。この9月にどれだけの投球ができるかで、来シーズンの契約が変わってくることになりそうだ。