制限のないトレード期限は7月31日
メジャーリーグのトレード期限は7月31日に設定されている(※)。トレード・デッドライン(trade deadline)と呼ばれ、その間際には毎年多くのトレードが成立する。昨シーズンはダルビッシュ有がレンジャーズからカブスへと、青木宣親がアストロズからブルージェイズへと移籍している。
ダルビッシュは期限10分前に、移籍前に所属していたレンジャーズのロッカールームから自身のTwitter更新を行っていた。期限終了間際の数分間で移籍が決まるとは、まさにこういう事を言うのだろう。
※8月31日まではウエーバー公示(どの球団も獲得できる状態)の後であればトレードは可能
主力と引き替えに有望株を手に入れる
期限間際にトレードを行う理由は、優勝を狙えるチームの戦力補強と再建したいチームの主力選手放出のふたつに大きく分かれる。今シーズンのワールドシリーズ制覇に賭けるチームが、来シーズン以降に再建を目指すチームの主力選手と若手選手を引き替え、獲得するのだ。両者の思惑が一致するためトレードが成立しやすい。
また、今シーズン終了後にFAとなる選手がトレードされることが多い。それはFAでチームを去られるより、トレードで放出することの方が有望な若手を獲得できるという見返りがあるからである。
そのため、シーズン終了後にFAとなる選手、そしてその所属チームの動向には開幕時から注目が集まることとなる。今シーズンではクレイトン・カーショー(ドジャース)、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)、マニー・マチャド(オリオールズ)、ダラス・カイケル(アストロズ)といった選手らだ。
そのなかでもとくに注目を集めているのがオリオールズの遊撃手であるマチャドだ。
注目されるマチャドはどこへ?
2012年に19歳でメジャーデビューを果たしたマチャドは、打撃タイトルの獲得こそないが、2015年から3年連続で30本塁打以上を放ち強打の三塁手としてチームを支えてきた。また、2013年、2015年と2度のゴールドグラブ賞を獲得しており守備にも定評がある。
今シーズンも打撃面では打率.312、21本塁打、60打点とキャリアハイのペースで成績を残しており好調だ。しかし、守備面をみるとメジャーで初めて遊撃手としてフルシーズン起用されており、それが影響しているためかUZR(※)は-7.8とメジャー全体でワーストの数値となっている。
※UZR…アルティメット・ゾーン・レーティング(Ultimate Zone Rating)と呼ばれ同じ守備位置の平均的な選手と比べどれだけ失点を防いだかを表す指標。大きければ大きいほどよい。
今シーズン終了後にFAとなるマチャドは開幕前からトレードの噂が絶えず、アメリカでも日々報道されている。チーム状況を見てもオリオールズは勝率2割台と大きく離され、アメリカンリーグ東地区では最下位だ。優勝を狙える位置にいるとは言えず、放出することは間違いないと考えられる。
現地メディア(THE BALTIMORE SUN)によると、現時点でドジャース、ダイヤモンドバックス、ブリュワーズ、フィリーズ、ブレーブス、インディアンス、カブスの7球団が興味を示している。各チームともに地区優勝を争っており、マチャドは大きな補強となるはず。もちろん、水面下でその他球団とも交渉が進んでいる可能性も十二分にある。
はたして、マチャドはワールドシリーズ制覇へのラストピースになるのだろうか。7月31日まで目が離せない。
※数字は2018年7月10日終了時点(現地時間)