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本塁打が激増した2017年 MLB のボールに変化はあったのか?

2018 4/3 14:27mono
アーロン・ジャッジ
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Ⓒゲッティイメージズ

史上最多の6105本塁打が生まれた2017年

昨シーズンの6105本塁打はそれまでの記録である5693本(2000年)を412本、また前年の5610本を495本上回っている。近年、本塁打数にはバラツキがあったものの4000本台で推移していたが、2年連続で5000本を上回っている。

初めて本塁打数が5000本の大台に乗ったのは1998年(5064本)のことだ。これはこの年、従来の28球団に2球団加え、リーグ運営が30球団で行なわれるようになったことが起因すると言える。そして、その2年後となる2000年に5693本を記録したのだ。

2年間で112%増となったのは、球団数の増加によるレベルの一時的な低下もあったと予測されるが、それだけではない。禁止薬物使用の影響も少なからずあったであろう。

1998年にはサミー・ソーサ(カブス/66本塁打)、マーク・マグワイア(カージナルス/70本塁打)による熾烈な本塁打王争いが行われ、1961年にロジャー・マリス(ヤンキース)が記録した61本塁打を37年ぶりに更新。2001年にはバリー・ボンズ(ジャイアンツ)が史上最多となる73本塁打を放っている。

近年は薬物に関する取り締まりも厳しくなり、投手陣のレベルアップがあったことで全体としての本塁打数は一時期より落ち着いていた。それが、ここ2年で急激に増加したのだ。

【メジャーリーグ本塁打数推移】

  • 1997年:4640本※28球団
  • 1998年:5064本※30球団制となる
  • 1999年:5528本
  • 2000年:5693本※史上最多
  • 2001本:5458本※ボンズが73本塁打

  • 2010年:4613本
  • 2011年:4552本
  • 2012年:4934本
  • 2013年:4661本
  • 2014年:4186本
  • 2015年:4909本
  • 2016年:5610本
  • 2017年:6105本

公式球に変化が見られるもコミッショナーはノーコメント

『フライボール革命』と言われるように、各打者が本塁打を狙う姿勢を強く出してきたことが報道されている。釣り鐘型のティーバッティング用装置である『釣り鐘ティー』を複数の球団が導入するなど、日本でも話題になった理論のひとつだ。このように常に打撃理論(もちろん投球理論も)は進化しており、その結果が本塁打数の増加に結びついているとも言えるだろう。

それだけではなく今度は、メジャーリーグ公式球に変化が見られたのだ。アメリカのファイブサーティエイト(FiveThirtyEight)によると、MLB公式球は2015年のオールスターゲーム前のものと現在のものでは「違い」があると報じている。従来のボールに比べ中心部が0.5g軽く密度が40%低くなっており、その結果約2.6メートル遠くへ飛ばすことができるという。

現時点でこのボールの変化に関して、ロブ・マンフレッドコミッショナーはコメントしていないが、本塁打数の増加と何らかの関係はありそうだ。

このように本塁打が多くでるようになったこともあり、ダイヤモンドバックスはひとつの対策を施した。本拠地チェース・フィールドのボール保管室に加湿装置を導入したのだ。アリゾナは乾燥地帯ということもあり、2017年の本塁打パークファクター(※)も1.222と4番目に高かった。(※本塁打パークファクターは1より大きい場合、他の球場と比べて本塁打が出やすくなる)
様々な要因が絡みあっているなか、今シーズンも本塁打数は増加するのだろうか。それとも減少していくのだろうか。野球の花でもある本塁打数の推移に注目していきたい。

※情報は2018年3月24日時点