インフォグラフィックで見るダルビッシュとアリエッタの成績分析
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2011年オフにポスティング制度を利用し日本ハムからテキサス・レンジャーズへと移籍したダルビッシュ有。1年目(2012年)から先発ローテーションに定着すると16勝(9敗)、防御率3.90の好成績をマーク。2年目(2013年)には277三振を奪い最多奪三振のタイトルを獲得し、順調なメジャーリーグキャリアを歩み始めた。しかし、3年目(2014年)は故障もありシーズン終盤を欠場することになってしまう。そして4年目(2015年)はスプリングトレーニングで再び故障。トミー・ジョン手術を受けることとなり、シーズン全休となってしまった。
復帰はおよそ1年後の2016年5月。この年は17試合の登板で7勝(5敗)と長期故障明けのシーズンとしては上々の滑り出しをみせる。そして、昨シーズン(2017年)はトレード期限直前にレンジャーズからロサンゼルス・ドジャースへと移籍。2球団にまたがり3年ぶりの2桁勝利(10勝)をマークし、チームのリーグ優勝に大きく貢献し、オフにFAとなった。
一方のジェイク・アリエッタは2010年にボルチモア・オリオールズでメジャーデビュー。2013年途中まで主に先発としてプレーし20勝25敗の成績を残したのち、シカゴ・カブスへとトレードされる。それまでは先発ローテーションの柱という存在ではなかったアリエッタ。しかし、カブスへの移籍で成績が大きく向上する。
2014年は156.2回と規定投球回へわずかに届かなかったものの10勝(5敗)、防御率2.53と結果を残すと、翌2015年には22勝6敗、防御率1.77と圧倒的な成績を残し最多勝、サイ・ヤング賞を受賞。一躍、リーグを代表する投手へと成長した。2016年も18勝(8敗)をマークすると同時にシルバースラッガー賞を受賞し、ワールドチャンピオンの立役者となった。また、昨シーズンも14勝10敗と4年連続2桁勝利を達成。満を持してFA市場へと飛び出した格好だ。
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ふたりの成績をダルビッシュが移籍した2012年からの6年間で比較してみると勝ち星、防御率、投球回、1イニングあたりの平均球数、WHIP(1投球回あたりに何人の走者を出したかを示す指標)でアリエッタに軍配が上がる。とくに差が目に付く、16個ある勝ち星に関しては2015年の全休が、大きく響いているといえるだろう。
そのなかで、ダルビッシュが大きく上回っているのが奪三振に関する数字だ。ダルビッシュは1年の空白期間がありながらも、アリエッタの対し96個の差をつけている。また、1試合あたりの奪三振数を表す指標である奪三振率を見ても、アリエッタの8.84に対しダルビッシュは11.04と2以上の差がある。奪三振率(投球回数1000回以上)の現役選手におけるトップはクリス・セールの10.54となっており、その数字が際立っていることがわかる。(ダルビッシュは832.1回のためランキング外)
一方のアリエッタはシンカー(ツーシームと表現されることが多い)主体の打たせて取る投球がうりだ。そのため、球数も少なくすんでいるといえるだろう。
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ダルビッシュはレンジャーズ入団時に結んだ6年総額6000万ドル(インセンティブ込)に基づいており、ほぼ安定した年俸推移となっている。
一方のアリエッタは2014年までメジャー最低年俸でプレー。調停権を獲得した4年目のシーズンから年俸が跳ね上がった。とくに2015年は1070万ドルの契約となり、調停2年目の選手としては史上最高額でサイン。結果を残した2016年はさらに年俸がアップし約1560万ドルでの契約となっている。
※調停権…メジャー在籍3年目以降の選手に与えられる権利。(スーパー2という例外はあり)球団の提示する額に不満があれば、第三者による調停を申し立てできる。
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最後にファストボールにおける球速の比較を見てみよう。2012年から2015年まではアリエッタがダルビッシュを上回っていた。 ダルビッシュが全休していた2015年はアリエッタがキャリア最高となる95.3マイル(約153.3キロ)をマークしている。
しかし、ダルビッシュはトミー・ジョン手術明けとなる2016年から、球速がアップする。2016年はアリエッタの94.5マイル(約152.0キロ)、ダルビッシュは94.3マイル(約151.7キロ)とほぼ同じとなった。そして、昨シーズンはダルビッシュが前年と同じ94.3マイルに対し、アリエッタは92.2マイル(約148.3キロ)と初めて上回っている。
球速の変化は成績にも影響を与える要素のひとつでもある。今シーズン以降、どのような推移が見られるのか注目だ。
ダルビッシュとアリエッタ。シーズンオフの目玉ふたりが今シーズンからどのような成績を残してくれるのか、大型契約の答え合わせは数年後まで楽しみに待っていたい。なお、ダルビッシュは6年契約を結んでいるが、2年目終了後にオプトアウトできる契約条項が盛り込まれていると報道されている(日本経済新聞から引用)。ダルビッシュ自身の希望はドジャース残留だと言われていたことからも、2年後にどのような決断を下すのか注目したい。
(本文作成:mono)