エンゼルス、タイガースと好相性も防御率は?
2012年にレンジャーズに加入したダルビッシュ。レギュラーシーズンではここまで56勝(42敗)、防御率3.42の成績を残している。その56勝の内訳を見てみよう。もっとも勝ち星を多く挙げているのはエンゼルスの8勝(3敗)だ。しかし、貯金を多く作っているのは7個(7勝0敗)のタイガースとなる。一方で相性が悪いのはアスレチックスの3勝11敗とじつに8個の借金を作ってしまっているのだ。
防御率を見るとジャイアンツ、ナショナルズ相手には無失点だがともに1試合ずつの登板となっており、サンプル数としては少ない。3試合以上の登板に限定するとレイズ(1.54/41回)、ヤンキース(1.64/38.1回)、ツインズ(1.77/20.1回)と3チームに対し防御率1点台を記録していることがわかる。勝ち星を多く挙げているエンゼルスに対しては防御率3.38(101.1回)、貯金を多く作っているタイガースに対しては防御率3.47(46.2回)と通算防御率3.42(832.1回)と同等の成績だ。
【ダルビッシュ球団別対戦成績】
対戦相手 |
所属 |
試合数 |
勝 |
負 |
防御率 |
投球回 |
エンゼルス |
ア・西 |
16 |
9 |
3 |
3.38 |
101.1 |
タイガース |
ア・中 |
7 |
7 |
0 |
3.47 |
46.2 |
アストロズ |
ア・西 |
14 |
5 |
5 |
3.44 |
89 |
マリナーズ |
ア・西 |
12 |
5 |
4 |
4.46 |
74.2 |
レイズ |
ア・東 |
6 |
4 |
0 |
1.54 |
41 |
ヤンキース |
ア・東 |
6 |
3 |
1 |
1.64 |
38.1 |
アスレチックス |
ア・西 |
16 |
3 |
11 |
4.56 |
94.2 |
ブルージェイズ |
ア・東 |
8 |
3 |
3 |
2.68 |
53.2 |
ダイヤモンドバックス |
ナ・西 |
3 |
2 |
0 |
2.75 |
19.2 |
ロイヤルズ |
ア・中 |
5 |
2 |
1 |
2.34 |
34.2 |
パドレス |
ナ・西 |
4 |
2 |
1 |
4.13 |
24 |
レッドソックス |
ア・東 |
4 |
1 |
2 |
5.4 |
26.2 |
ホワイトソックス |
ア・中 |
4 |
1 |
1 |
4.97 |
25.1 |
レッズ |
ナ・中 |
2 |
1 |
0 |
2.13 |
12.2 |
インディアンス |
ア・中 |
6 |
1 |
3 |
3.52 |
38.1 |
マーリンズ |
ナ・東 |
2 |
1 |
1 |
7.11 |
12.2 |
ツインズ |
ア・中 |
3 |
1 |
1 |
1.77 |
20.1 |
メッツ |
ナ・東 |
3 |
1 |
0 |
3.26 |
19.1 |
フィリーズ |
ナ・東 |
2 |
1 |
0 |
0.73 |
12.1 |
パイレーツ |
ナ・中 |
2 |
1 |
1 |
1.5 |
12 |
ジャイアンツ |
ナ・西 |
1 |
1 |
0 |
0 |
7 |
ナショナルズ |
ナ・東 |
1 |
1 |
0 |
0 |
8 |
オリオールズ |
ア・東 |
1 |
0 |
1 |
4.26 |
6.1 |
カブス |
ナ・中 |
1 |
0 |
1 |
4.15 |
4.1 |
ロッキーズ |
ナ・西 |
1 |
0 |
1 |
10.38 |
4.1 |
ブリュワーズ |
ナ・中 |
1 |
0 |
1 |
5.4 |
5 |
通算 |
|
131 |
56 |
42 |
3.42 |
832.1 |
※2017年終了時点
被本塁打も奪三振も最多はトラウト
各打者との対戦成績はどのようになっているのだろうか。10打席以上の対戦がある選手で調べてみた。最も対戦回数が多いのはマイク・トラウトだ。これまでに49回の対戦があり、打率.317(41打数13安打)、4本塁打、7打点、14三振と好相性とはいえない。エンゼルス相手に最多の8勝を挙げているものの、トラウトには打ち込まれていたことがわかる。
このトラウトに対する被本塁打4はダルビッシュにとってワーストタイでもある。加えて、その他2選手がダルビッシュから4本塁打を放っている選手がいる。それはブランドン・モス(ロイヤルズ)とブレット・ガードナー(ヤンキース)である。2012年から2014年までの3年間をアスレチックスで過ごしたモスは、打率.241(29打数7安打)、4本塁打、6打点、9三振の成績。低打率だったものの本塁打を多く放っていたのだ。2017年シーズンはロイヤルズに在籍していたが、6打数ノーヒットとダルビッシュに軍配があがっている。一方でガードナーは打率.429(14打数6安打)、4本塁打、4打点、4奪三振と6安打中4本が本塁打と相性が悪い。しかし、2014年に3本塁打を浴びて以降、ここ3年は対戦が少ないこともあるが被本塁打は0となっている。
一方で、カモにしているのはどういった打者がいるのだろうか。奪三振の数で比べてみると、もっとも三振を奪っている選手は、トラウトの14個である。トラウトには本塁打を打たれているものの、三振も多く奪っているのだ。その次に名前が挙がるのが、2016年アメリカンリーグ本塁打王でもあるマーク・トランボ(オリオールズ)だ。打率.143(28打数4安打)、0本塁打、3打点、12三振と完全に封じ込めているといっていいだろう。その他にはケンドリス・モラレス(ブルージェイズ)、ヨエニス・セスペデス(メッツ)から11三振を奪っている。
4本:マイク・トラウト(エンゼルス/ア西)
4本:ブランドン・モス(ロイヤルズ/ア中)
4本:ブレット・ガードナー(ヤンキース/ア東)
3本:アルバート・プホルス(エンゼルス/ア西)
3本:エドウィン・エンカーナシオン(インディアンス/ア中)
3本:マット・ドミンゲス(ロッテ/日本)
3本:ジョージ・スプリンガー(アストロズ/ア西)
【ダルビッシュ奪三振数・ベスト5】
14個:マイク・トラウト(エンゼルス/ア西)
12個:マーク・トランボ(オリオールズ/ア東)
11個:ケンドリス・モラレス(ブルージェイズ/ア東)
11個:ヨエニス・セスペデス(メッツ/ナ西)
10個:アルバート・プホルス(エンゼルス/ア西)
10個:エリック・アイバー(パドレスFA)
10個:ジョン・ジェイソ(パイレーツFA)
10個:ジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ/ア東)
アメリカンリーグ中地区のツインズがオススメ!?
ダルビッシュの移籍先の候補として、ニューヨーク・ヤンキース、テキサス・レンジャーズ、シカゴ・カブス、ヒューストン・アストロズ、ミネソタ・ツインズ、ロサンゼルス・ドジャースの6球団が挙げられている。レンジャーズ、ドジャースは所属していた球団ということもあり、これまでに登板機会はない。また、キャリアの大半をアメリカンリーグ所属のレンジャーズで過ごしており、ナショナルリーグのチームとの対戦は少ない。
そのなかでオススメチームを探ると、アメリカンリーグ・西地区のアストロズだろう。通算成績が5勝5敗だということ、またワールドシリーズで2敗を喫するなど、相性がよいとはいえなかったチームであり、3本塁打を浴びているジョージ・スプリンガーも在籍している。レンジャーズと同地区でもあり、その他のチームに関しての情報が頭の中に入っていることも心強い。しかしアストロズは、パイレーツとのトレードでエース格のゲリット・コールを補強した。現時点で先発投手はそろっており、トレードなどを行わなければ、ダルビッシュを獲得する線は薄い。
そのうえでオススメの次点を挙げるのであれば、ツインズではないだろうか。同地区のライバルチームとの対戦成績は、タイガース(7勝0敗)、ロイヤルズ(2勝1敗)、ホワイトソックス(1勝1敗)、インディアンス(1勝3敗)で11勝5敗、防御率3.48。インディアンス相手には負け越しているものの防御率3.52と通算防御率と同等程度と極端に悪いわけではない。苦手としているアスレチックス(3勝11敗)との対戦も減る。また、中地区に所属していることもあり、移動距離が両海岸のチームに比べると短くなることも身体の負担は減るだろう。
もちろん、各球団のGMをはじめとした編成に携わる人間はもっと詳細なデータを研究し、ダルビッシュを分析しているだろう。また、年俸を含めた諸条件も異なってくる。そのため、ダルビッシュがどこの球団を選択するかはわからない。ただ、こういった見方もできるという、ひとつの参考となれば幸いだ。