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圧倒的打力で世界一⁉MLBワールドシリーズ総括

2017 12/6 14:12Mimu
野球場
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さまざまなポイントから注目が集まっていたワールドシリーズ

2017年MLBワールドシリーズ、ドジャース対アストロズの顔合わせとなったこのシリーズは、4勝3敗でアストロズが栄光をつかんだ。ドジャースには前田健太や、7月にレンジャースから移籍してきたダルビッシュ有らがおり、日本でも非常に注目が高かったが、アストロズ選手たちの勝負強さが勝った形だ。

昔からのMLBファンにとっては、違った見方ができるシリーズともなった。実はこの2チームは、かつて同地区に所属していたのだ。
1994年までは2チームともナリーグ西地区に所属。95年からはアストロズが中地区へ移動したのだが、この当時はレギュラーシーズンで何度も試合をしていた2チームだった。だが2014年、アストロズがアリーグへと移動し、ワールドシリーズでしか対戦できなくなった。

チームカラーが対照的な2チーム!ドジャースは投手力で勝負

今回の2チーム、チームカラーが非常に対称的なのも面白い。今シーズンのドジャースは30球団でもNo.1を誇る投手力を持ち、そしてアストロズは30球団No.1の強力打線を持つ。
ドジャース投手陣vsアストロズ野手陣、シンプルな構図ながらまったく真逆のカラーを持つ2チームの激突に、注目が集まった。戦力を比較してみよう。

ドジャース投手陣は、クレイトン・カーショウを中心として、2桁勝利が5人。ダルビッシュ・前田の日本人選手2人も揃ってフル回転のシーズンであった。
チーム防御率3.38はナリーグトップ。後ろも盤石で、僅差のゲームをものにしてきた。

クレイトン・カーショウ 27試合 18勝4敗 202奪三振 防御率2.31
※最多勝、最優秀防御率
【リッチ・ヒル】25試合 12勝8敗 166奪三振 防御率3.32
【アレックス・ウッド】27試合 16勝3敗 151奪三振 防御率2.72
【ダルビッシュ有】31試合 10勝12敗 209奪三振 防御率3.86
【前田健太】29試合 13勝6敗 140奪三振 防御率4.22
【ジョシュ・フィールズ】57試合 5勝0敗2セーブ 60奪三振 防御率2.84
【ルイス・アビラン 】61試合 2勝3敗 52奪三振 防御率2.93
【トニー・ワトソン】71試合 7勝4敗10セーブ 53奪三振 防御率3.38
【ペドロ・バイエズ】66試合 3勝6敗 64奪三振 防御率2.95
【ケンリー・ジャンセン】65合 5勝0敗41セーブ 109奪三振 防御率1.32

圧倒的な打撃陣を有したアストロズ

一方でアストロズの野手陣は、167cmの小さな安打製造器ホセ・アルトゥーベを3番においた超強力打線が売りだ。チーム打率.282はナリーグトップであり、本塁打数238本も2位の数字。
元DeNAベイスターズのユリエスキ・グリエルも5番打者として定着している。

【ホセ・アルトゥーベ】.346(590-204) 24本塁打 81点 32盗塁
※首位打者、最多安打
【ジョージ・スプリンガー】.283(548-155) 34本塁打 85打点
【アレックス・ブレグマン】.284(556-158) 19本塁打 71打点
【カルロス・コレア】.315(422-133) 24本塁打 84打点
【ユリエスキ・グリエル】.299(529ー158) 18本塁打 75打点
【マーウィン・ゴンザレス】.303(455-138) 23本塁打 90打点
【ジョシュ・レディック】.314(477-150) 13本塁打 82打点

シーズンの打高がそのまま表れたシーズン

このドジャース投手陣vsアストロズ野手陣は、4勝3敗でアストロズに軍配が上がった。やはり今シーズンMLB全体の打高の流れが、このシリーズでもアストロズの追い風となった形だ。
今シーズンは、とにかく打者有利の年であった。特にホームランが例年以上に多く、シーズン総本塁打数は6105本。これは過去最高だった2000年の5693本をさらに上回る数字である。
ダルビッシュや前田、田中将大ら日本人投手の試合が日本で報道されたときも、ホームランを浴びているシーンが多かったように思う。

このシリーズでも、両チームの合計本塁打数は25本。7試合まで行われたため、1試合当たり3.5本ほどの本塁打が出ていたことになる。特にこのシリーズを象徴した試合が第2戦と第5戦だろう。
いずれも延長に突入した試合とはいえ、第2戦では両チーム合わせて8本、第5戦でも7本のホームランが飛び出した。

【第2戦】アストロズの強力打線が目覚める

第1戦、ドジャースはカーショウの好投によって3-1と快勝し、勢いにのって迎えた第2戦目であった。先制点こそアストロズに入るものの、6番ジョク・ペダーソンのソロ、2番コリー・シーガーのツーランで3点を入れて逆転。
そしてここからドジャース自慢の中継ぎ陣が登場し、ドジャースの2連勝、シーズン中ならこんな流れになっていただろう。

しかし、ここからアストロズ打撃陣がお目覚めする。8回表、4番・コレアのタイムリーで2-3、さらに9回にも7番・ゴンザレスのホームランが飛び出し、3-3の同点となった。
すでに両チーム合わせて3本のホームランが飛び出したこの試合であるが、延長戦からはさらにすさまじい展開となる。

【第2戦】9回までのスコア・本塁打
ドジャース 3-3 アストロズ
・ア:ゴンザレス(9回表ソロ)
・ド:ペダーソン(5回裏ソロ)、シーガー(6回裏ツーラン)

【第2戦】延長の2イニングだけで5本のホームランが飛び出す

延長戦、10回表のアストロズの攻撃では、3番・アルトゥーベ、4番・コレアの連続ホームランで一気に2点を入れ、すぐさまリードを奪う。だがその直後の10回裏、ドジャースは5番ヤシエル・プイグのソロに途中出場のエンリケ・ヘルナンデスもタイムリーを放ち、5-5の同点に追いついた。

しかし11回表、アストロズは1番・スプリンガーがツーランを放ち7-5と再び2点リード。その裏のドジャースも途中出場のチャーリー・カルバーソンがホームランを放つものの、この1点しか入れることが出来ず、そのまま6-7でアストロズが勝利。
延長戦の2イニングだけで5本塁打が飛び出した乱打戦も、アストロズの強力打線にとっては得意な展開だったようだ。

【第2戦】延長イニング(10回・11回)のスコア・本塁打
ドジャース 6-7 アストロズ
・ア:アルトゥーベ(10回表ソロ)、コレア(10回表ソロ)、スプリンガー(11回表ツーラン)
・ド:プイグ(10回裏ソロ)、カルバーソン(11回裏ソロ)

【第5戦】第2戦を超える乱打戦

第3戦、第4戦はお互いが1つずつとり、2勝2敗で迎えた第5戦。この試合は、第2戦以上の乱打戦となった。
初回からドジャースが6番ローガン・フォーサイスのタイムリーなどで3点を先制。だが4回から両軍の打ち合いが活発になる。

まずはドジャースが8番オースティン・バーンズのタイムリーで追加点を奪い0-4とするも、その裏のアストロズの攻撃、1死1・2塁のチャンスに4番・コレアがタイムリーで1-4、さらに5番・グリエルがスリーランを放ち、あっという間に4-4の同点に追いついた。

しかし、試合はまだ落ち着かない。5回表、ドジャースは2つの四球から1・2塁のチャンスを作ると、5番コディ・ベリンジャーがスリーラン。4-7と再びリードを奪った。
だが直後の5回裏、アストロズも2つの四球からチャンスを作ると、3番・アルトゥーベがスリーラン。またも7-7の同点。息つく間もない怒濤の展開が続く。

【第5戦】5回までのスコア・本塁打
アストロズ 7-7 ドジャース
・ド:ベリンジャー(5回裏スリーラン)
・ア;グリエル(4回裏スリーラン)、アルトゥーベ(5回裏スリーラン)

【第5戦】ドジャースも粘りを見せるもアストロズが打ち勝つ

7回表、ドジャースの攻撃は5番・ベリンジャーのタイムリースリーベースで1点を入れ、7-8と勝ち越す。だがその直後の7回裏、1番・スプリンガーがソロを放ち8-8の同点。
さらに3番・アルトゥーベのタイムリーに4番・コレアもツーランで続き11-8。この試合、アストロズが初めてリードを奪った。

ドジャースも譲らない。8回表、2番・シーガーのタイムリーで1点を返し11-9。その裏にアストロズが9番・マキャンのソロで12-9と点差を戻すものの、9回表、7番・プイグがツーランを放ち12-11と1点差、さらに1番クリス・テイラーがタイムリーを放ち、とうとう12-12の同点に追いついた。

【第5戦】6~9回までのスコア・本塁打
アストロズ 12-12 ドジャース
・ド:プイグ(9回表ツーラン)
・ア:スプリンガー(7回裏ソロ)、コレア(7回裏ツーラン)、マキャン(8回裏ソロ)
だがやはり打ち合いではアストロズだった。10回裏、アストロズの2番・プレグマンがタイムリーを放ち13-12。合計7本塁打の乱打戦を、劇的なサヨナラ勝ちで制した。
どれだけ取られても取り返す、単純な破壊力だけではない、ここ一番での集中力こそが、アストロズ打線の本当の恐ろしさなのだろう。

打高の流れと選手たちの潜在能力がマッチ

このシリーズの7試合のスコアをまとめてみると
第1戦:ドジャース 3-1 アストロズ
第2戦:ドジャース 6-7 アストロズ
第3戦:アストロズ 5-3 ドジャース
第4戦:アストロズ 2-6 ドジャース
第5戦:アストロズ 13-12 ドジャース
第6戦:ドジャース 3-1 アストロズ
第7戦:ドジャース 1-5 アストロズ

総得点だけを見ると、ドジャース、アストロズともに34点と互角だ。
しかし、打ち合いとなった2試合は両方ともアストロズが制する形となった。シーズン中から打ち合いや後半からの逆転勝利を何度も経験している、単純な破壊力だけではなく、ここ1番での集中力。
これこそがアストロズ打線の恐ろしさなのだろう。MVPは5本塁打を放ったスプリンガーが受賞している。

アストロズは2011~2013年まで3年連続100敗してしまうほどの弱小球団だったものの、アリーグへの移動を機に、補強や育成などでチームを整備してきた。
その結果が世界一という最高の形で実ったのだ。彼らはまだまだ強くなっていくだろう。来シーズンも期待していきたい。

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