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関東一と二松学舎大付の2強を都立の星が追う、東東京の高校野球強豪校を紹介

2020 2/25 11:00山浦和樹
野球イメージⒸmTaira/Shutterstock.com
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ⒸmTaira/Shutterstock.com

圧倒的投手力、守備力で2019年優勝の関東一

2019年、東東京の夏を制したのは名門関東一だった。6試合でわずか4失点という圧倒的な投手力、守備力を武器に頂点まで駆け上がった。過去10年の成績を見ると、毎年3失点以上の試合が少なくとも1試合はあったが、2019年は最多で2失点、それも1試合のみと抜群の安定感を誇った。反対に敗戦した試合はすべて5失点以上しており、敗戦は投壊によるものだと分かる。

夏の甲子園ではなかなかの成績を収めており、2019年には、初戦で日本文理を破るなどで準々決勝へ進出した。2年連続の出場となった2016年は初戦敗退したものの、2015年にはベスト4へ入っている。トータルで見ても甲子園の舞台で数回ベスト8入りしており、全国的な強豪校といえるだろう。しかし、全国制覇はまだなく、決勝進出も1987年のセンバツの一度のみ。ぜひとも2020年は初の甲子園優勝を達成してもらいたい。

独自の育成方針が光る二松学舎大付

ここ数年、関東一と甲子園出場を分け合っているのが二松学舎大付だ。3連覇こそならなかったが、2017年と2018年の2年連続で夏の甲子園出場を果たしている。また、関東一との相性が良く3連勝中。甲子園では目立った成績を収めているわけではないが、2018年には広陵を破るなど、実力は全国の猛者と比較しても遜色ない。

そんな二松学舎大付の練習はなんと月曜休み。土曜日にも授業を行っている影響で練習時間も決して長いとはいえない。それでも、勝つために効率的で実践的な練習を行い、地区を代表する高校になっている。また、選手と選手の距離が近く、ミスをした選手に積極的にアドバイスを送るなど選手同士の信頼関係も厚い。投手はブルペンでの練習日から練習法まで自分で管理する。

練習を通じて選手の積極性と独立心を養い、コミュニケーションと積極性を大事にした効果的な練習で、2年ぶりの甲子園出場を狙う。

2年連続準優勝の小山台

2018、2019年と2年連続で夏の地区大会に準優勝したのが小山台だ。公立高校としては72年ぶりの2年連続決勝進出。強豪ひしめく東東京でその名を広めた。決勝では、二松学舎大付や関東一に敗れたが、3-6、0-4と大敗を喫したわけではない。2018年の準決勝では帝京に、2019年の春季大会では西東京の強豪・早稲田実に勝利するなど、実力の高さは都内上位といえよう。

小山台で興味深いのが、17時下校と定められていることだ。限られた時間を有効活用するために大事にしているのがミーティングで、本音で話し合うことでチームワークを強化している。

また、伝統の野球日誌というものもある。野球の技術はもちろん、精神面や学校で気づいたことなどを記す。それを部員同士で読み合うことで、お互いの考えを理解しときには意見をぶつけ合っている。こうした限られた中での練習を効果的にするコミュニケーションが、小山台を決勝戦の舞台に立たせた。

小山台は2014年春のセンバツに21世紀枠で出場したが、2003年の雪谷以降、東東京での都立高の夏の甲子園出場はない。2020年こそは3年連続の決勝進出はもちろん、夏は初めての聖地進出を果たしたいところだ。

2強に食い込む都立の星と名門

東東京では関東一と二松学舎大付の2強を、都立の星・小山台が追う格好だ。

そのほか、多くのプロ野球選手を輩出し、夏の甲子園では地区最多の出場回数を誇る帝京、2019年に二松学舎大付を破り5年連続ベスト8に入った修徳、2019年ベスト4の上野学園と日大豊山などが2強の構図を崩そうとしている。

果たして2020年の東東京を制覇し、新たな歴史を刻むのはどの高校か。