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金足農・吉田と同じ相手に苦杯 北條、田村がプロ6年目で躍動

2018 8/31 15:00勝田聡
甲子園球場,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

今夏を盛り上げた球児たち プロの世界でも輝けるか

第100回全国高校野球選手権大会は、大阪桐蔭(北大阪)が史上初となる2度目の春夏制覇を達成し幕を閉じた。大阪桐蔭の藤原恭大、根尾昂、柿木蓮といった中心選手はプロ志望と見られ、次はプロの世界で敵・味方別れて戦うことになりそうだ。また決勝で敗れた金足農(秋田)のエース・吉田輝星は、進学かプロか表明しておらず動向が注目されている。

ただ、プロの世界は厳しい。高校日本一に輝いた選手が思うように結果を残せず他の選手の中に埋もれていくことはよくある。逆に高校時代に栄冠を逃すも、プロではチームの主力として活躍する選手も多い。

かつて吉田と同じように優勝を逃した上、大阪桐蔭の春夏連覇を目の前で目撃した二人の選手が、プロの世界で花開こうとしている。

甲子園で涙をのんだ北條が6年目にして躍動

大阪桐蔭が初めて春夏連覇を達成したのは2012年のこと。エース・藤浪晋太郎(現・阪神)と1学年下の森友哉(現・西武)のバッテリーを中心としたチームは、大谷翔平(現・エンゼルス)擁する花巻東(岩手)など多くの強豪を下して日本一に輝いた。

圧倒的強さを誇る大阪桐蔭と春夏甲子園で最後に戦ったのが、田村龍弘(現・ロッテ)、北條史也(現・阪神)擁する光星学院(青森/現・八戸学院光星)だった。 その年のドラフトで指名を受けた北條は阪神、田村はロッテに入団。高校時代に世代トップに君臨した藤浪や160キロ右腕として注目を集めていた大谷に比べると、北條と田村の評価が低かったのは間違いなく、プロ入りしてからもそれは変わらなかった。

しかし6年目となる今シーズン、ふたりがチームの主役になりつつある。

北條は開幕から出遅れたものの6月に2度目の一軍昇格を果たすと、そこからは登録抹消なく一軍に定着。後半戦に入ると「2番・遊撃手」として完全にレギュラーを奪取し、鳥谷敬がコンバートされてから不在となっていた遊撃のポジションを手に入れたのだ。試合数はまだ少ないものの打率も3割を超えており、守備の安定感も増した北條は「虎の未来」といっても過言ではないだろう。

ロッテの田村も正捕手の座を確保

田村は3年目の2015年に117試合に出場しレギュラー格となったが、吉田裕太やその他の捕手と併用されながらの起用が続いていた。しかし、今シーズンは完全に正捕手として定着しており、初の規定打席到達。このままいけば、捕手登録ながら他ポジションで出場している森や近藤健介(日本ハム)はいるものの、パ・リーグでは「専任」捕手として唯一の規定到達となりそうだ。

高校時代に甲子園の舞台では主役になれなかった二人が6年の時を経て輝こうとしている。甲子園で逃した栄冠をプロの世界で手にすることが出来るのか。

そして今夏の甲子園で最後の最後で力尽き優勝を逃した吉田輝星やその他の選手も同様に、進学、プロとどのステージに進んでも次のチャンスがある。

高校三年生の夏は大阪桐蔭に敗れたかもしれないが、数年後に次の舞台で再び輝く姿を期待したい。

※数字は2018年8月30日終了時点