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根尾、小園は巨人・坂本になれるか 高まる高卒遊撃手の価値

2018 8/29 07:00勝田聡
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息の長い活躍が見込める高卒遊撃手

第100回全国高校野球選手権大会以前から二刀流として注目を浴びていた根尾昂(大阪桐蔭高)、2年時からU-18日本代表に名を連ねていた小園海斗(報徳学園高)はともに遊撃手としてドラフト1位候補となっている。

ドラフト1位レベルの高卒・遊撃手はうまく育てば、10年以上レギュラーを任せることができるため、チームにとっては大きな戦力となる。今シーズンのプロ野球で見ると坂本勇人(光星学院高→巨人)、今宮健太(明豊高→ソフトバンク)と両リーグを代表する遊撃手はともに高卒だ。

坂本は入団2年目にレギュラーを確保すると、ここまで定位置を譲ることなく第一線で結果を残し続けている。一方の今宮は、入団3年目となる2012年に川﨑宗則の後継者として126試合に出場すると、翌2013年からは完全にレギュラーへと定着。昨シーズンまで5年連続でゴールデングラブ賞を獲得する活躍を見せている。

もちろん、昨年の新人王である源田壮亮(トヨタ自動車→西武)、京田陽太(日本大→中日)のように大卒や社会人出身でも優れた遊撃手はいる。しかし、高卒の早い段階でレギュラーを獲得した選手に比べると、あたりまえではあるが活躍できる期間は短くなってしまう。

コンバートで花開くことも

高校時代に遊撃手でプレーしていながら、プロ入り後にコンバートされ花開く選手もいる。山田哲人(履正社高→ヤクルト)、浅村栄斗(大阪桐蔭高→西武)が最たる例だ。山田は遊撃手としてプロ入りしたが、スローイングが安定せず入団3年目の2013年に二塁へとコンバートされた。同年は5月からレギュラーに定着し結果を残すと、翌年からの活躍は周知の通りだ。

浅村も同様だ。遊撃手として入団したが、守備が安定しなかったこと、そしてチーム事情もあり一塁、二塁とポジションを移っている。唯一の打撃タイトルである打点王(2013年)獲得時は一塁だったが、今シーズンは開幕から全試合で「3番・二塁」として出場中。「山賊打線」の主軸としてチームを引っ張っている。

その他にも川端慎吾(市和歌山商→ヤクルト)、梶谷隆幸(開星高→DeNA)といった選手達も高校時代は遊撃手だった。プロ入り後、遊撃手としてレギュラーを張っていた時期もあったが、それぞれ三塁、外野にコンバートされ遊撃手時代以上の結果を残し、今ではチームの中心選手へと成長した。

また、まだ若く再び遊撃手に戻る可能性はあるが、宗佑磨(横浜隼人高→オリックス)は今シーズンから中堅を守るようになり、平沢大河(仙台育英高→ロッテ)も右翼へとコンバートされつつある。

このように高いレベルでプレーできる高卒遊撃手は、プロ入り後のコンバートにも対応できるだけの高い身体能力を備えていることが多い。だからこそ、ドラフト上位候補に名前が挙がるのである。

今秋の注目候補である根尾や小園は、坂本のように10年単位でレギュラーを張れる遊撃手として育っていくのだろうか。それとも、山田哲や浅村のようにコンバートで花開くことになるのだろうか。いずれにしても1年、2年で答えが出るわけではない。長い目で見守っていきたいところだ。