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夏の甲子園史上初、球速150キロ超が4人! 4年連続で速球投手が優勝に導くか

2018 8/17 20:00勝田聡
甲子園球場,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

今大会4人目の150キロ超!

8月17日の第2試合、金足農(秋田)と横浜(南神奈川)の一戦で吉田輝星(金足農)が魅せた。8回裏に逆転し、リードを奪った直後となる最終回にまさに「ギアを上げた」投球で自己最速タイとなる150キロのストレートを投げ込んだのだ。その一球はボールになったが、3者連続空振り三振を奪い23年ぶりとなる3回戦突破を果たした。

これで今大会150キロ超を記録したのは、吉田で4人目となった。その他の3人は柿木蓮(大阪桐蔭/151キロ)、奥川恭伸(星稜/150キロ)、井上広輝(日大三/150キロ)だ。なかでも奥川と井上はまだ2年生。来年以降にまだまだ球速は上がってくるかもしれない。

スピードガンが普及した1980年以降、1大会で4人が150キロを計測するのは史上初のできごとでもある。

これまでは2009年の菊池雄星(花巻東→西武/154キロ)、今宮健太(明豊→ソフトバンク/154キロ)、秋山拓巳(西条→阪神/150キロ)、2011年の北方悠誠(唐津商→DeNA/153キロ)、釜田佳直(金沢→楽天/153キロ)、大谷翔平(花巻東→日本ハム/150キロ)と3人が最多だった。全員が後のドラフト会議で指名され、プロ野球で結果を残しており、吉田や柿木にもその期待がかかる。

大谷や田中将大も2年時に150キロを計測

4人もの150キロ超が誕生した今大会だが、2年生が150キロ超を計測したことも驚きのひとつだ。過去に2年時の夏に150キロを計測したのは、2005年の田中将大(駒大苫小牧→楽天)、2011年の大谷、2013年の安樂智大(済美→楽天)程度だ。それが同時に2人も誕生したのである。

前述の3人はともにプロ入りを果たし、田中と大谷はメジャーリーガーとなった。安樂は故障で苦しんでいるものの、ポテンシャルは目を見張るものがある。これからの活躍に期待がかかっている。

奥川、井上は早ければ来秋のドラフトでプロ入りを果たすことになるが、どのような成長曲線を描いていくのか楽しみだ。

優勝投手が150キロを投げる?

ここ3年の優勝投手を見ると全員が150キロを記録している。2017年の清水達也(花咲徳栄→中日/150キロ)、2016年の今井達也(作新学院→西武/152キロ)、2015年の小笠原慎之介(東海大相模→中日/151キロ)だ。過去にも2012年の藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神/153キロ)、2005年の田中、1998年の松坂大輔(横浜→西武/151キロ)がそれぞれ優勝投手となっている。

もちろん、ひとりの力で優勝できるわけではないが、150キロ超のストレートがひとつの武器となり、甲子園を勝ち上がっていったことは間違いない。150キロ投手のいるチームが4年連続で優勝することになるのだろうか。

甲子園で150キロを記録することは珍しくなくなってきた。しかし、プロの世界で活躍できるかはまた別の話でもある。当たり前ではあるがストライクゾーンの狭さ、打者のレベルの高さはともに高校野球とは比べものにならない。

高校時代に150キロを投げることができる選手だからといって、プロの世界に対応できるとは限らないのだ。

今大会で150キロを記録した4選手がプロに進むのならば、その壁を乗り越えて次の世代のプロ野球界を引っ張っていく存在となることに期待したい。

※数字は2018年8月17日終了時点