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今年も「隠し玉」指名はあるか!?注目の高校生右腕投手たち

2018 7/6 10:00青木スラッガー
甲子園,甲子園球場,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

2017年は「隠し玉」もあった高校生右腕投手

今年の高校生右腕投手に、ドラフト1位指名を確実視されている逸材は、今のところ現れていない。一方で、東洋大トリオなど大卒投手に逸材が揃っているだけに、高校生投手の指名はある程度後回しにされる可能性が高い。しかし、同じように高校生投手に1位候補がいないと思われていた2017年ドラフトでは、ソフトバンクが外れ1位にメディアがノーマークだった高校生右腕の吉住晴斗(鶴岡東)を指名してファンを驚かせた。

今年も高校生右腕投手にサプライズな指名はあるだろうか。ひょっとしたらの「隠し玉1位指名」もあるかもしれない、特に注目度の高い10名ほどをピックアップしたい。

勝又・引地・田中 最速150キロ台のスピードキングたち

まずは最速150キロ台の速球派右腕から見ていく。150キロを投げる投手は他にも何名かいるが、特に評価が高いのは勝又温史(日大鶴ヶ丘)、引地秀一郎(倉敷商業)、田中法彦(菰野)の3名だ。

この中で最速は5月に152キロを叩き出した勝又だ。2年生までは外野手をメインにプレーし、打者としても注目される二刀流プレーヤー。投手としては最高学年でエースとなってから急成長し、3年春に最速150キロを超えた。3年生になってからの成長が著しく、このままいけば夏に155キロを超えてくるかもしれない。

一冬で評価を急上昇させた勝又に対し、下級生のときから世代を代表する剛腕投手として広く知られていたのが引地だ。身長180センチの勝又に対し、引地は身長186センチ・体重80キロ台と高校生離れした体格も魅力である。まだ上半身頼りの荒削りな投球フォームで、下半身を使えるようになったときの伸びしろは大きい。

一方、最速150キロの田中は、身長173センチと角度はないものの、コンパクトな投球フォームで球速以上に重そうなボールを投げる。変化球はカーブ・スライダーの他、速球に近い球速のスプリットを扱うなど、投球の幅も広い。三重県にはセンバツで大阪桐蔭相手に好投した最速150キロの定本拓真(三重)もいるが、まだ甲子園に姿を見せていない田中の方が「東海ナンバーワン投手」として注目されている。

「埼玉のダルビッシュ」米倉・変則サイド市川・長身191センチ土居

140キロ台の投手では、「埼玉のダルビッシュ」こと米倉貫太(埼玉栄)が名の知れた存在だ。埼玉栄はかつて東北高校でダルビッシュ有(カブス)を指導していた若生正広監督が指揮を執る。その若生監督が、「高校時代のダルビッシュより上」と評しているのが米倉なのである。ダイナミックかつ全く力みのない投球フォームは、どちらかというと岸孝之(楽天)を連想させる。ギリギリまで体の開きを我慢でき、球速以上のキレを打席で感じそうな投手だ。

米倉が正統派のトップクラスなら、変則派ではサイドの市川悠太(明徳義塾)が一番だろう。サイド特有のキレのあるスライダーが武器で、反対方向に曲がるシンカーをマスターすれば、プロでも勝てる投手になりそうだ。横手投げといっても最速は146キロと力勝負もできる。十亀剣(西武)やシャーザー(ナショナルズ)のような、肘を下げながらも手首をしっかり立てて、ボールを強く叩けるサイドハンドである。

長身タイプでは、土居豪人(松山聖陵)も大器を感じさせる逸材だ。身長191センチのスラリとした長身から140キロ台後半の速球を投げ下ろす大型右腕。手足も長く、投球フォームがしっかり定まったときは、打者にかなり近いところでボールを離しているように見える。まだ体の線が細く力強さには欠けるが、その分プロで体づくりが完了したときの姿が楽しみだ。

最速148キロ「大阪桐蔭ダブル右腕」コントロールの柿木・スライダーの根尾

大阪桐蔭の2人も忘れてはならない。

エースの柿木蓮は、速球・変化球ともに質の良いボールを低めとコーナーに投げ分ける能力が今年の高校生では抜けているだろう。その上、球速も最速148キロとスピードも備えており、ドラフト上位での指名が期待できる。

二刀流の根尾昂も柿木と同じく最速148キロ。遊撃手としての評価が高い根尾だが、センバツではエース級として抜群の投球を見せつけた。特に重要な局面では、「超高校級」といえる縦に鋭く切れる高速スライダーの威力が光った。投手一本でも確実にドラフト指名される逸材だろう。

他には吉田輝星(金足農)、直江大輔(松商学園)、古谷拓郎(習志野)などは140キロ台の速球にまとまった投球フォーム・スタイルでドラフト候補として高い評価を受けている。果たして、今年もこういった選手たちに思わぬ「隠し玉」指名はあるだろうか。少し気が早いがドラフト会議の日が楽しみである。