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今年もスラッガーが充実!2018年ドラフト注目の高校生外野手

2018 7/4 13:39青木スラッガー
高校野球,大阪桐蔭,藤原恭大,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

左の藤原恭大、右の野村佑希が外野手ツートップ

今井達也(西武)など投手の「高校ビッグ4」がいた2016年から一転、2017年のドラフトは清宮幸太郎(日本ハム)ら野手の「高校ビッグ3」が1位指名でプロ入りし、野手大豊作の年になった。今年も野手の1位指名はあるだろうか。打撃でアピールする高校生外野手の2018年ドラフト候補を見ていく。

左右でツートップとなるのは、すでに甲子園の頂点を経験している左の藤原恭大(大阪桐蔭)と右の野村佑希(花咲徳栄)だ。センバツ連覇メンバーの藤原は、左打ちの外野手というプロで飽和気味。さらに、三塁手などにコンバートできないため上位指名になりにくい「左投」という立場ながら、1位候補に挙がる。高校トップクラスの俊足と長打力を兼ね備え、将来のトップバッター候補として各球団から熱視線を注がれている。

上位指名候補の野村は2年夏の甲子園で2本塁打を放ち、4番としてチームを全国制覇に導いた。このとき3番を打ち、2017年のドラフトで2位指名を受け西武入りした西川愛也を真似したという、胸の前でグリップを揺らしてタイミングを取る独特なフォームが特徴的な右の大砲だ。

野村が準々決勝盛岡大付戦で見せた、インローをすくい上げ左翼ポール際上段まで運ぶ本塁打は、高校生ではなかなか見られない打撃だった。懐の深い構えでスイングアークは大きいが、その中でも内角をしっかりさばける点は大きな魅力。最高学年になってもからも順調に本塁打を量産し、高校通算本塁打は50本超えとなっている。

二刀流大谷拓海など……関東の外野手は強者揃い

今年の高校生外野手は、ツートップ「左の藤原」「右の野村」のほかに「二刀流の大谷」も上位候補に入ってくる。2年秋に中央学院を関東王者に導いた、最速145キロ右腕の大谷拓海。エースとしてチームを背負う立場だが、左の強打者としても非凡だ。神宮大会明徳義塾戦でドラフト候補の市川悠太から放った、アウトローの速球をライナーで左翼席に叩き込む本塁打は、高校生離れしたパワーと技術の高さを感じさせた。

ほかにも関東地区の外野手は強打者揃いだ。森下翔太(東海大相模)は名門で1年夏から4番を打つ右のスラッガー。3年春の関東大会花咲徳栄戦では、高校通算49本目となる劇的サヨナラ本塁打を放った。大振りするタイプではないが、大先輩の原辰徳氏を彷彿させるようなリストの強さで鋭い打球を飛ばしている。

神奈川では、横浜の万波中正も1年夏から主軸を打つ右の強打者だ。中学時代にテレビ番組で特集されるなど、入学前からドラフト候補として知られる存在だ。だが、入学後はライバルとして比べられる森下の成長の方が目立っている。最後の夏は甲子園に出て一発を打ちたい。

2年春にセンバツで大会史上2人目となる2本の満塁本塁打を記録し、衝撃デビューを果たしている健大高崎の山下航汰。ここから本塁打を量産し、優勝した3年春の関東大会では高校通算71本塁打目となる一発を放った。左のスラッガーとして世代トップクラスの打者だ。

地方も外野手スラッガーは充実。将来のスピードスター候補も

地方も高校生外野手はスラッガータイプが充実している。中澤樹希也(青森山田)、谷口嘉紀(神戸国際大付属)の右打者2名は、2年夏の甲子園で2打席連続本塁打を放ち一躍注目を浴びた。中澤は2試合で3本塁打。身長170センチと上背はないが、ベンチプレス105キロまで鍛え上げたパワーで飛距離を出している。谷口は左中間深くに1本、ポール際にも1本と広角打法が魅力だ。

左打者では、今年のセンバツでベスト8入りした日本航空石川の上田優弥が長距離砲として注目だ。身長186センチで、100キロ近くの巨体。左打席でゆったりしたオープン気味の構えをとると、どことなく元ヤクルトなどで活躍したペタジーニを彷彿させ、助っ人外国人選手のような威圧感がある。

侍ジャパンU-18代表一次候補入りした蛭間拓哉(浦和学院)は、走攻守三拍子そろった左の強打者。まだ甲子園に姿を見せていないが、2年夏の埼玉大会で4本塁打を記録している。俊足好打タイプとしては、斎藤未来也(関東一)が藤原などを抑え世代トップの俊足を誇り、将来のスピードスター候補として注目されはじめている。

全国各地にいる強打の高校生外野手たち。外野手は捕手・内野手に比べ、よほど打撃が突出しないと支配下指名が難しいポジションである。夏は打ちまくって良いところを見せたい。