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「幻のノーヒットノーラン」増居、「190センチの大器」横川 注目の高校生左腕投手

2018 7/4 12:58青木スラッガー
高校野球,サウスポー,横川凱,増居翔太,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

大化け期待の190センチ大型左腕・横川凱(大阪桐蔭)

高校野球,サウスポー,大阪桐蔭,横川凱,ⒸYoshihiro KOIKE

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現在、日本球界を代表する左腕である西武・菊池雄星は近いうちのメジャー挑戦が確実視されている。現在のプロ野球には、まだ菊池と並び立つ絶対的左腕エースはいない。将来その座に収まるポテンシャルを秘めた金の卵は、2018年ドラフト指名候補「ミレニアル世代」の高校生にいるだろうか。

今年のドラフト候補高校生左腕で一番の注目は、センバツを連覇した大阪桐蔭の横川凱だろう。右腕に柿木蓮、さらには二刀流・根尾昂の存在もあるため、センバツまでエースナンバーを背負ったことはないが、実力・素質どちらをとっても今年の投手全体でトップクラス。大阪桐蔭は現阪神の藤浪晋太郎がエースの時も、2番手にオリックス・澤田圭佑がいた。今年は3投手にプロ入りの可能性がある。

その3投手の中で、横川の魅力は身長だ。190センチの長身から、角度のある投球フォームで最速144キロの速球を投げ下ろす。左腕で190センチ台はプロでも少ない。マウンドでの立ち姿があれだけ大きく見える菊池も184センチだ。大型左腕は育成が難しいイメージもあるが、横川は上半身の使い方が柔らかく無駄のない投球フォームをしており、フィジカルの強化次第で大化けしそうな雰囲気がある。

センバツノーヒットノーラン未遂の増居翔太(彦根東)は進学か

高校野球,サウスポー,彦根東,増居翔太,ⒸYoshihiro KOIKE

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今年のセンバツ出場左腕の中では、彦根東の増居翔太が印象的な活躍を見せた。延長10回に失点してサヨナラ負けするも、9回までノーヒットノーランの好投(対花巻東)。センバツでは東北・ダルビッシュ有以来の快挙まであと少しのところであった。相手の反応を見ながらコーナーを丁寧につく投球術はさすが名門進学校の頭脳派左腕。だが決して技巧派ではなく、クロスファイヤーから投じる最速140キロの速球には打者を圧倒する威力もある。

その増居とセンバツ初戦で「進学校対決」として投げ合った生井惇己(慶應)も最速143キロの注目左腕だ。腕の振りが鋭く左打者が恐怖を感じるような力感のあるフォームが特徴。しっかり投げきった中で、100キロ台のドロンとしたスローカーブでストライクを取ることができる。進路が注目の両投手だが、増居の方は現時点で京都大学受験を名言しており、プロに進むつもりはないという。

創成館の川原・七俵「陸コンビ」

本格派としては、センバツ準々決勝まで進んだ川原陸(創成館)がスケールの大きさで目立つ存在だ。身長184センチの長身から、菊池を彷彿とさせるダイナミックなフォームで最速140キロ超えの速球を投げ下ろす大型左腕。初戦の下関国際戦を6回1失点に抑え、2年秋の神宮準決勝・大阪桐蔭戦では4回からリリーフ登板して8回途中まで無失点の好投を見せている。

川原はスライダーやチェンジアップなどの変化球も良く、全体的に完成度が高い。それでも高校に入って投手は2年春からスタートというから、伸びしろも大きそうだ。また神宮決勝・明徳義塾戦に先発して好投したスリークォーター左腕の七俵陸もドラフト候補に挙がり、2人で左の「陸コンビ」として注目されている。

スライダーが武器の浦和学院・佐野涼弥は松井裕樹2世なるか

最速140キロ後半をマークする速球派左腕は今年のセンバツ未出場校に目立った存在がいる。

2年夏に甲子園で投げた山田龍聖(高岡商)は最速148キロの剛腕だ。矢澤宏太(藤嶺藤沢)も最速148キロ。身長171センチと小柄ながら、キレのあるスライダーも武器に神奈川大会で奪三振の山を築いている。草薙柊太(国士舘)は体の開きを抑えた出所の見づらいフォームから最速147キロ。松本晴(樟南)は最速145キロで九州ナンバーワン左腕と評されている。

変化球が売りの左腕としては、速球も最速140キロ超えの佐野涼弥(浦和学院)のスライダーが独特でおもしろい。縦の曲がり大きく、近年大リーグで流行しているパワーカーブのような軌道だ。そのスライダーを武器に埼玉大会では2桁奪三振を何度も記録。高校時代、同じような投球スタイルで奪三振の山を築いた桐光学園の現楽天・松井裕樹のように、夏は甲子園で鮮烈なデビューを飾れるだろうか。