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甲子園でのホームランはプロ野球への切符となるか?!

2018 4/10 17:27元井靖行
甲子園球場
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「甲子園でホームランを打った人」

身近な日常会話の中で、ごく近しい関係柄の友人やその周辺の方が「その昔甲子園に出てホームラン打ったことがある」などの話題を耳にしたことがないだろうか。

甲子園に出場した上、その舞台で本塁打を記録するということは、非常に確率の低いことである。それほどの実力の持ち主なら、プロ野球入りをする可能性もあるのではないかと考えてしまう。

甲子園で3本ホームランでもプロには不十分?

現在DeNAに所属する武白志選手(山本武白志)を例にあげる。彼は2015年夏の甲子園で2打席連続本塁打を含む大会3本塁打を記録した。
プレッシャーの中、フルサイズの野球フィールドで硬式球をスタンドに叩き込むことは、決して偶然に成せる技ではない。プロ野球界での成功を約束されたかに見えた。しかしドラフトでは、DeNAの育成選手という厳しい結果に終わった。

育成選手としてDeNAに入団した武白志選手だが、当初より指摘があった守備に対する不安や、打撃の不振が続いていたこともあり、支配下登録は未だ実現していない。

ホームランだけではプロへの道は開けないのだろうか。では、その他選手の場合はどうだったのだろう?

甲子園本塁打記録保持者の野球就職率

まず、武白志選手のように1大会(夏)で3本以上の本塁打を打ったことがある選手を見てみよう。

1大会あたりの最多本塁打記録

※現役学生は除外

ⒸSPAIA

表を見れば判るように、甲子園1大会で3本以上の本塁打を打った選手でプロ野球入りできた選手は、25選手中15人。実に6割程度しかプロ野球入りを果たせていないが、その選手はいずれも打撃手として名を馳せる選手ばかりだ。

では見方を変えて、甲子園で本塁打を“1本でも放ったことがある選手”に絞ってみよう。
これはさすがに数が多いため、2000年から2018年までのセンバツ大会平均本塁打数が15.9本に近い「2010年のセンバツ大会」に絞って見てみる。

2010年選抜大会

ⒸSPAIA

これらのデータは野球を職業にすることが、いかに難しい事かということを示している。
全ての甲子園球児がプロ野球入りしたいかどうかは別として、調べる限り、30選手中26人はプロ野球選手以外の職業に就いている。

職業を野球人と語るためのハードルは非常に高く、甲子園でホームランを打つ程の実力を持っていたとしても、プロ野球入りを果たせるのはほんの一握りの選手だけなのだ。