2017年夏:花咲徳栄高校が制覇
2017年夏の甲子園は花咲徳栄高校が埼玉県勢として初となる夏の甲子園制覇を飾った。決勝では1985年にPL学園高校の清原和博選手(元オリックス他)が記録した1大会5本塁打の記録を更新し、数々の記録を塗り替えた中村奨成選手を中心とした広陵高校と対戦。
この試合で花咲徳栄は14-4と広陵を圧倒。中村選手には猛打賞を許したものの、本塁打を許すことはなく、勝利を収めている。
今年のチームは清水達也選手、綱脇慧選手といった投手陣。プロ志望届を出せば今秋のドラフト会議でも指名が確実となっているの西川愛也選手ら18名のメンバー中13名が3年生だ。新チームでは2年生でありながら、この大会で2本塁打を放った野村佑希選手を中心に戦っていくことになる。
秋季大会で結果を残し関東大会へ駒を進めることができるだろうか。春のセンバツで夏春連覇を狙うためにも秋季県大会で躓いてはいられない。そして、来夏の甲子園では2004年、2005年の駒大苫小牧高校以来となる夏連覇を目指す。
2016年夏:作新学院高校
2016年夏の甲子園は作新学院高校の今井達也選手(現・西武)が快投を演じ、春夏連覇を達成した1962年以来54年ぶりの優勝を飾った。
新チームは今井選手、3試合連続本塁打を放った入江大生選手(現・明大)らが抜け、苦戦が予想されていた。しかし、今井選手とはタイプの異なる軟投派の大関秀太郎選手をエースとし、秋の栃木県大会を制覇。続く関東大会も制すると明治神宮大会へ駒を進めている。
明治神宮大会では初戦で明徳義塾高校(高知県)に敗退。夏の甲子園で破った相手に、雪辱を果たされた格好だ。しかし、関東大会を制したことで春のセンバツ切符を手にしている。
迎えた2017年春のセンバツ。夏春連覇を狙った作新学院は初戦で帝京五高(愛媛県)に勝利するも2回戦で秀岳館高校(熊本県)に敗退。夏春連覇はならなかった。
夏の大会では7年連続で栃木県を制し、再び甲子園の地に戻ってきた。しかし、初戦で強打の盛岡大附属高校(岩手県)に1-4で敗退。夏連覇の夢は初戦で絶たれている。
2015年夏:東海大相模高校
2015年夏の甲子園は小笠原慎之介選手(現・中日)、吉田凌選手(現・オリックス)とダブルエースを擁した東海大相模高校が制している。決勝の対戦相手は、東北勢として初の優勝を目指した仙台育英高校だった。エースは吉田選手とオリックスでチームメートとなる佐藤世那選手だ。両チーム点の取り合いとなったこの試合は10-6で東海大相模が勝利し45年ぶり2回目の夏制覇。その他にも、関東一高のオコエ瑠偉選手(現・楽天)が大ブレイクした大会でもあった。
夏春連覇を目指して臨んだ秋季神奈川県大会。小笠原選手、吉田選手というダブルエースが抜けた新チームは準々決勝で横浜高校に1-10で大敗。横浜高校の先発は藤平尚真選手(現・楽天)だった。藤平選手は8回10奪三振の好投でコールド勝ち。激戦区横浜で夏春連覇はむずかしいということがよくわかる結果となっている。
秋季大会で結果を残すことができずに、春のセンバツに出場はできなかった東海大相模。翌2016年夏の甲子園予選では順調に勝ち上がり準々決勝に進出する。ここでの対戦相手は強豪・慶應義塾高校だった。接戦が予想されたが、思いもよらぬ結末を迎えることになる。慶應義塾は正木智也選手の3点本塁打などで大量11得点。東海大相模は2-11で8回コールドとなった。甲子園連覇を目指すためには、強豪ひしめく神奈川県予選を勝ち抜かねばならない。全国で勝ち抜くより県予選を勝ち抜くのがむずかしい。そう言われるほど毎年のように熱戦が繰り広げられる、「神奈川県大会の怖さ」が出た大会だった。
2014年夏:大阪桐蔭高校
2014年夏の甲子園を制したのは大阪桐蔭高校だった。優勝メンバーには藤浪晋太郎選手(阪神)、森友哉選手(西武)のような超高校級は不在だった。しかし、香月一也選手(現・ロッテ)、青柳昴樹選手(現・DeNA)などドラフト指名された選手もおり、けっして”フロック”ではない優勝だった。この大会は準決勝で翌春のセンバツを制することになる敦賀気比と対戦。平沼翔太選手(現・日本ハム)から12点を奪いノックアウトしている。
大阪桐蔭高校は新チームとなって以降も快進撃を続けることになる。秋季大阪府大会でも優勝を果たし、近畿大会に出場。夏春連覇へ向けて好スタートを切った。しかし近畿大会で初戦となった準々決勝の天理高校戦で2-3と敗戦。春のセンバツに暗雲立ちこめたが、天理高校が近畿大会を制したことで大阪桐蔭に春のセンバツ切符が巡ってきた。
夏春連覇を狙った大阪桐蔭だったが準決勝で敦賀気比と再戦。前年の夏にノックアウトした平沼選手に完封負けを喫し敗退。夢は破れた。
夏連覇を目指した2015年夏の選手権では、準々決勝まで勝ち進むも大阪偕星学園に敗退。甲子園出場はならなかった。近年、無類の強さを誇る大阪桐蔭でも2年連続で夏の甲子園に出場するのは至難の業なのだ。
2013年夏:前橋育英高校
2013年夏の甲子園は2年生エースの高橋光成選手(現・西武)を擁する前橋育英高校(群馬県)が初出場初優勝を果たした。この大会で前橋育英高校は決勝で宮崎県代表として初めて決勝進出を果たした、延岡学園高校と対戦している。
前橋育英は秋季群馬県大会初戦の太田工業高校相手に敗戦。関東大会に出場することもできず翌春のセンバツに出場する夢は9月に絶たれてしまった。
年が明けた2014年春季大会でも前橋育英は初戦の樹徳高校戦で0-10と大敗。甲子園制覇後の新チームで公式戦は未勝利のまま夏の大会を迎えることになる。
夏の群馬大会初戦で松井田高校相手に7-0で勝利し、新チーム結成後公式戦初勝利を飾る。続く対戦は強豪・健大高崎高校だった。健大高崎高校は「機動破壊」と呼ばれる機動力を武器とし、2012年春のセンバツでベスト4。また、前年(2013年)の秋季大会を制し、春の大会ではベスト4と群馬県を代表するチームでもある。この試合で前橋育英は2-6で敗戦。夏の甲子園、二連覇の夢は群馬県予選で途絶えてしまった。
甲子園優勝投手でもありこの年、ドラフト1位でプロ入りを果たす投手を抱えていてもやはり連覇はむずかしいのである。その後、依然として、前橋育英、健大高崎の両校は群馬県でしのぎを削っている。