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【2017夏の甲子園】九州地区出場校レビュー

2017 8/2 12:12cut
高校野球
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福岡県:東筑高校(21年ぶり6回目)

福岡県大会では大本命だった春のセンバツ8強の福岡大大濠高校。そこを決勝で3-1と僅差の末に破った東筑高校が、21年ぶり6回目の甲子園出場を飾った。決勝では初回に1点を失ったが2回に2点を奪い、逆転に成功。3回にも1点を追加し、そのまま3-1で逃げ切った。
東筑高校は西鉄ライオンズでプレーし、オリックス・バファローズなどで監督を務めた仰木彬氏の母校でもある。過去5回の出場では「石田姓」の選手がエースとして3回出場している。今回のエースも「石田旭昇(あきのり)」選手となっており、4回目のエース「石田姓」による甲子園出場だ。
石田選手は福岡県予選で全試合を1人で投げ抜いており、スタミナも抜群。甲子園の舞台でも「石田伝説」を継承することに期待が掛かる。

佐賀県:早稲田佐賀高校(初出場)

早稲田大学の系属校である早稲田佐賀高校が、春夏通じて初の甲子園切符を手に入れた。2010年に開校された同校は創部8年目での出場となった。2013年にも県大会決勝まで進出したが、有田工業高校に延長10回サヨナラ負け。あと一歩のところで甲子園出場を逃していた。ユニフォームは早稲田大学と同じく、えんじ色を基調とし胸には「WASEDA」と入っており認知度は高い。
チームを率いる古賀一則監督は奇しくも決勝で戦った鳥栖高校のOBでもあり、母校を破っての甲子園出場となった。母校の想いも背負い、まさしく佐賀県の代表としてチームをまとめていく。
同じ系属校の西東京の早稲田実業学校は決勝で敗退となり、甲子園での対決はお預けとなったが、えんじ色のユニフォームを甲子園で躍動させる。

長崎県:波佐見高校(16年ぶり3回目)

春のセンバツ優勝経験もある清峰高校との決勝を4-2で勝利し、16年ぶり3回目となる甲子園出場を果たした波佐見高校。2-0と2点リードで最終回を迎えたが、また2点を失い試合は延長戦へと突入。延長10回に川口侑宏選手が左翼へ決勝2点本塁打を放ち、勝ち越しに成功。その裏、清峰の攻撃を0点に封じ込め4-2で勝利した。春季大会では長崎県ベスト8に終わったが、今回は雪辱を果たした。
左腕の隅田知一郎選手、右腕の村上竜也選手と左右の好投手を抱えており、2人の起用法が鍵を握る。両投手ともに140キロ近いストレートを投げ、先発、中継ぎと起用されてきており、得永健監督の采配に注目が集まる。長崎県勢は過去に夏の選手権優勝経験はないが、今年こそ初の優勝を目指す。

熊本県:秀岳館高校(2年連続3回目)

熊本県は昨年の夏と同じく、秀岳館高校が2年連続3回目の甲子園切符を手に入れた。
昨年春夏、今春と3季連続で甲子園出場を果たしている同校だが、いずれも準決勝敗退。今大会で初の頂点を目指す。熊本県予選ではチームを率いる鍛治舎巧監督が入院のため、準決勝、決勝と不在だったが見事に勝ち抜いた。
選手を見渡すと昨年の中心だった九鬼隆平選手(現ソフトバンク)、松尾大河選手(現DeNA)らが卒業したものの、田浦文丸選手、川端健斗選手の両投手が軸となる。野手陣も木本凌雅選手、廣部就平(ひろべ しゅうへい)選手、幸地竜弥(こうち たつや)選手と充実している。
そのなかでも特に注目したいのは、川端選手だ。175センチと決して大きくない身体だが、最速148キロのストレート、スライダー、チェンジアップを武器に三振を奪う。今年のドラフト候補として注目を浴びており、最後の夏でさらなる結果を期待される。

大分県:明豊高校(2年ぶり6回目)

大分県は昨秋、今春に続いて明豊高校が2年ぶり6回目の甲子園出場を果たした。
今大会、明豊高校で注目されるのは橋詰開斗選手だ。決勝で初先発を果たすと大分商業高校を相手に被安打3で完封勝利を達成。トルネード気味のサイドスローで打者はタイミングが取りにくい。ナックル、スライダーなど球速はでないが、タイミングを狂わせることで凡打の山を築く。
今宮健太選手(現ソフトバンク)が在籍していた2009年夏の選手権では、ベスト8まで進出。菊池雄星選手(現西武)擁する花巻東高校(岩手県)に、延長戦の末敗退。春のセンバツでも同様に、花巻東高校に敗れており2季連続で涙をのんだ。今回はベスト8超えを目指したい。

宮崎県:聖心ウルスラ学園高校(12年ぶり2回目)

宮崎県は聖心ウルスラ学園高校が、12年ぶり2回目となる甲子園出場を果たしている。OBには田原誠次選手(巨人)がいる。昨秋、今春の県大会ではベスト8にも残れず今予選ではノーシードとなったが、準決勝で強豪・宮崎日大高校を5-2で下すと、決勝では日向学院高校を7-2で破り切符を手に入れた。
2年生ながらエースを任されている戸郷翔征選手は、準決勝・決勝と2失点完投勝利と大役を果たした。また打撃陣も全6試合で、47得点と強力打線を見せつけている。近年は2012年、2013年と2度の決勝で涙を呑んでおり、今回は3度目の正直となった。前回出場した2005年夏の選手権では、初戦で駒大苫小牧高校に0-5と敗戦。まずは甲子園初得点を目指し、初勝利を手に入れたい。

鹿児島県:神村学園高校(5年ぶり4回目)

鹿児島県は春季九州大会覇者の神村学園高校が、5年ぶり4回目の甲子園出場を果たしている。1965年の創立だが、当初は女子校だったこともあり野球部の創部は2003年となっている。そこから急速に力をつけ2005年には春のセンバツで初出場で準優勝を手にした。以降、鹿児島実業高校、樟南高校とともに鹿児島県内で覇権を争っている。
今大会決勝では、50年ぶりの出場を目指した鹿児島高校を8回の逆転劇で5-2と勝利した。春のセンバツは準優勝と実績のある神村学園高校だが、夏の選手権では同一大会で複数勝利を挙げたことがない。まずは2勝を目指し、そこから県勢初となる優勝まで駆け上りたい。

沖縄県:興南高校(2年ぶり11回目)

2010年に島袋洋奨選手(現ソフトバンク)を擁し春夏連覇を達成した興南高校が、2年ぶり11回目の甲子園出場を手に入れた。全国で最も早く開催される甲子園予選を突破し、最速での甲子園切符となっている。
沖縄県大会決勝では昨秋の県大会覇者、今春3位の強豪・美来工科高校と対戦。この試合では1年生の宮城大弥選手が夏の予選初先発。その大舞台を任された1年生は9回1失点、13奪三振の快投をみせている。
また、試合は打線も爆発し15-1と投打で圧倒した。
チームの鍵を握ることになる宮城選手は、昨年のU-15日本代表にも選ばれており、3試合に登板をした将来のエース候補だ。まだ1年生ながら最速142キロを誇っており、甲子園でも快投が期待される。