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延長再試合だけじゃない!2006年夏の甲子園を振り返る

2017 6/30 12:56cut
高校野球
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個性の強かった出場選手達

早稲田実業・斎藤佑樹選手(現日本ハム)、駒大苫小牧・田中将大選手(現ヤンキース)の決勝戦における、延長再試合が印象的な2006年夏の選手権。この大会は2人の対決以外にも多くの見どころが溢れており、多くの人に記憶に刻み込まれている。
斎藤選手、田中選手以外にも開星・梶谷隆幸選手(現DeNA)、大阪桐蔭・中田翔選手(現日本ハム)、仙台育英・由規選手(現ヤクルト)らも出場。試合には出場していなかったものの大学、社会人を経てプロに入った青森山田・吉田一将選手ら多くの選手達がしのぎを削り2000年以降の甲子園で最もレベルが高かったと感じるファンも多い。
また、プロ入りはしなかったものの代打の切り札として活躍を果たした鹿児島工業・今吉晃一選手、「ほほえみ王子」こと静岡商・大野健介選手ら個性の強いキャラも多く揃っていた。
また、PL学園・前田健太選手(現ドジャース)、光星学院・坂本勇人選手(現巨人)といった現在のスタープレーヤーは地方予選で敗退しこの大会には出場を果たすことができなかった大会でもある。
そんな、2006年夏の甲子園で起こった出来事をご紹介しよう。

マウンドに崩れ落ちたダース・ロマーシュ匡選手

「ダースの夏は!今回も終盤の大逆転で終わりました!」 この実況が印象的だったのは関西(かんぜい)・ダース・ロマーシュ匡選手だ。ダース選手には伏線がある。1年前、2年生として出場した2005年夏の甲子園2回戦。関西は京都外大西と対戦。ダース選手は1-2と1点ビハインドの2回途中からマウンドに上がる。

その裏に関西は3点を奪い4-1と逆転。3回、6回にダース選手は1点を失ったものの味方が大量点を奪い10-4のまま試合は終盤の8回へと突入する。この回、ダース選手そして関西に「甲子園の魔物」が襲いかかる。2度の三連打に四球が絡み6失点。終盤に10-10の同点に追いつかれる。9回には失策も絡み2失点。10-4から10-12と逆転負けを喫してしまったのだ。

そのリベンジを果たすべく夏の甲子園に戻ってきた関西とダース選手。

初戦の相手は佐藤祥万選手が所属する文星芸大付だった。この試合、関西が序盤に得点を挙げ4-0とリードを奪う。一度は追いつかれたものの、7回表に5点を挙げ9-4。8回裏に3点を返されるも9回表に1点を追加し10-7で9回裏を迎える。

9回裏、ダース選手は文星芸大付の攻撃に捕まり1死後に連打を浴びさらに上田剛史選手(現ヤクルト)の失策も絡み10-9。2死走者なしまでこぎつけたもののさらに連打を浴び逆転サヨナラ負け。ダース選手はマウンドで崩れ落ちた。2年連続で終盤に大逆転負けを喫したダース選手はプロ野球の世界でリベンジを目指すが一軍では未勝利に終わっている。

「甲子園の魔物が2度笑った」帝京対智弁和歌山

決勝戦の延長15回再試合には多くのドラマが詰め込まれているが、準々決勝の智弁和歌山対帝京も甲子園史に残る激戦だった。両校には後のプロ野球選手も多く在籍。帝京には中村晃選手(現ソフトバンク)、大田阿斗里選手(元オリックス)、杉谷拳士選手(現日本ハム)、高島祥平選手(元中日)の4人。智弁和歌山には橋本良平選手(元阪神)が所属していた。
試合は終始、智弁和歌山がリードを奪う展開となり8回終了時点で8-4と4点差で9回の攻防を迎える。
9回表帝京の攻撃は2死一、二塁のチャンスで中村晃選手が安打を放つとそこから5連打。打者一巡して沼田隼選手が3点本塁打を放ち一挙8点。9回に帝京が12-8と試合をひっくり返した。
この大逆転劇で試合は終わるかと思われたがそうとはならなかった。帝京の投手陣が乱調に次ぐ乱調。合計6個の四死球、本塁打などで5点を失い最後は押し出し四球でサヨナラゲームとなった。
帝京の大逆転から智弁和歌山の大逆転勝利となり「甲子園の魔物は2度笑った」とも呼ばれている。

「平成の怪物対ハンカチ王子」早稲田実業対大阪桐蔭

2017年現在は北海道日本ハムファイターズでチームメートとして共に戦っている中田翔選手と斎藤佑樹選手。2006年夏の甲子園では雌雄を決している。大阪桐蔭で1年生の時から怪物として注目を浴びていた中田選手と名門早稲田実業のエースとしてチームを引っ張ってきた斎藤選手。2人は2回戦で顔を合わせることになる。
大阪桐蔭は初戦で春のセンバツを制した横浜に11-6で勝利。3連覇を目指す駒大苫小牧を倒す一番手とも見られていた。
この一戦は大きな注目を浴びたが試合は一方的な展開となった。初回に早稲田実業が1点を先制すると3回に4点を加え5-0。その裏に2点を失ったものの斎藤選手はその後を封じ込め完投勝利。被安打6、奪った三振は12個を数えていた。2年生ながら4番を任されていた中田選手は斎藤選手の前に4打数3三振と完全に抑え込まれ姿を消した。
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で主軸を張った中田選手も高校時代は斎藤選手に叩きのめされていたのだ。この試合で斎藤選手の評価は上がり決勝戦まで駒を進める上で勢いづいた。

「ほほえみ王子」に「代打の切り札」

身長168センチと小柄ながらかわいらしいルックスで人気を集めたのは静岡商・小川健介選手だ。斎藤選手らの一学年下となる大野選手は2年生エースとして甲子園に出場。初戦を9回2失点完投勝利。しかし、2回戦で7回4失点で敗戦投手となった。その笑顔は多くのファンを魅了し斎藤選手の「ハンカチ王子」に対して「ほほえみ王子」とも呼ばれていた。

翌2007年に甲子園に戻ってくることはできず、この大会で大野選手の甲子園は幕を下ろすことになる。高校卒業後は早稲田大学、ヤマハと野球部に所属し2017年も現役としてプレー。社会人野球での活躍に期待がかかる。

高校野球では珍しい「代打の切り札」として活躍したのが鹿児島工・今吉晃一選手だ。打席に入るときに気合いを入れ叫ぶパフォーマンスで一躍人気者にもなった。

この大会が初出場となった鹿児島工は準決勝に進出。それまでの3試合全てに代打で出場し3打数2安打の成績を残し準決勝の早稲田実業戦に挑んだ今吉選手。

出番は0-4と4点ビハインドの6回表にやってきた。しかし、斎藤選手の前に空振り三振。このとき今吉選手は斎藤選手の球が見えなかったという。「甲子園はレベルが違った」とも語り高校野球以降は野球をプレーしていない。

「代打の切り札」でここまで名を馳せた選手はその後、出現していない。

このように、多くのタレントが揃った2006年夏の甲子園。この大会に出場した選手達は2017年現在で30歳手前だ。野球を続けている選手たちは中堅にさしかかる年齢だ。一年でも多くケガなくプレーして欲しい。

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