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東京五輪の前哨戦「プレミア12」とは 侍ジャパンは前回の屈辱を晴らせるか

2019 10/30 06:00浜田哲男
侍ジャパン・稲葉篤紀監督Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

WBCとプレミア12の違い

4年に1度の「プレミア12」第2回大会が、11月2日~17日(現地時間)にわたって開催される。同大会は来年の東京オリンピックへの出場権が最大2チームに与えられることもあり、前哨戦として注目の大会だ。

野球の世界一を決める大会には、同じく4年に1度の「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」もあるが、この2つの大会には様々な違いがある。以下で、その違いについて説明する。

◎主催
WBCは、MLB機構及びMLB選手会によって作られた「ワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)」。プレミア12は、140の国と地域が加盟する野球・ソフトボールの国際組織「世界野球ソフトボール連盟(WBSC)」だ。

◎出場国数
WBCの本選に出場できるのは16カ国。プレミア12は、WBSC世界ランキングの上位12カ国。文字通り、野球の世界最強国を決める大会というわけだが、プレミア12が行われる11月はMLBの選手たちにとっては休養期間にあたり、中南米ではウインターリーグが行われている時期。つまり、シーズン前の3月に開催されるWBCには出場することのあるメジャーリーガーがプレミア12には基本的に参加せず、野球の世界最強を決める大会とは言い難いのが実情だ。

◎ルール
WBCはMLB機構及びMLB選手会が運営していることもあり、投手の球数制限がある。プレミア12に球数制限はないが、今大会より投球間の時間を計測する「ピッチクロック」が導入され、投球間は20秒以内、投手交代や攻守交代は90秒以内と定められた。ピッチクロックの導入は主要国際大会では初めての試みとされ、試合時間の短縮を目的としているという。また、NPBの「リクエスト」制度にあたるリプレー検証も今大会から導入される。

◎無死1・2塁から始まるタイブレーク制
WBCは11回から、プレミア12は10回から適用される。

◎ボールの違い
国際大会の度に議論の起こるボールの違い。WBCでは大きめで滑りやすいといわれるローリングス社製のボールを使用。プレミア12では日本のスポーツ用品メーカーであるSSK社製のボールを使う。これはNPBでシーズン中に使用されているミズノ社製とそれほど大きな違いはないとされる。

日本代表も千賀などが参加を見送り

メジャーリーガーが基本的に参加を見送る大会であることは前述したが、今大会の日本代表のメンバーはどうだろうか。

打者では鈴木誠也(広島)、吉田正尚(オリックス)、坂本勇人(巨人)、秋山翔吾(西武)、投手では今永昇太(DeNA)、山口俊(巨人)、岸孝之(楽天)らそうそうたるプレーヤーが名を連ねた。一方、パ・リーグ首位打者の森友哉や山川穂高(西武)、柳田悠岐(ソフトバンク)、筒香嘉智(DeNA)、菅野智之(巨人)、パ・リーグ最多勝の有原航平(日本ハム)らが外れた。当初は選出され、先発の柱としても期待されていた千賀滉大(ソフトバンク)も参加を見送った。

参加を辞退する選手が相次ぎ、五輪の前哨戦へ臨むにしては少し寂しいところもある。だが、稲葉篤紀監督が「とにかく勝つこと、優勝すること」と語っていた通り、一戦必勝の姿勢に変わりはない。

前回大会の悔しさをバネに

前回のプレミア12は第1回大会ということもあり、WBCの第1回大会と同様、開始当初はそれほどの盛り上がりは感じられなかった。しかし、日本代表が劇的な勝利を重ねて破竹の快進撃を見せると、一気に注目度は高まり、準決勝の韓国戦では日本の野球ファンの多くが固唾をのんで試合を見守っていた。

韓国戦では先発の大谷翔平(当時日本ハム)が快投を見せ、8回が終わった時点で3-0と日本がリード。誰もが日本の勝利を疑わなかったが、最終回に日本のリリーフ陣がまさかの崩壊。3-4と宿敵・韓国に悪夢の大逆転負けを喫した。8回に好投した則本昂大(楽天)を9回も続投させた「回またぎ」登板は、試合に敗れたことでメディアや野球ファンの間で大激論を巻き起こした。

「自分の継投ミス」と敗因を述べた当時の指揮官・小久保裕紀監督に対して非難の声が集まったが、それだけ多くの野球ファンが同大会に熱視線を注いでいた証ともいえる。また、稲葉監督は当時の日本代表で打撃コーチを務めており、ベンチから戦況を見つめていた。同じ失敗は繰り返さないと、今大会にかける想いは並々ならぬものがあるはずだ。

今大会では、グアダラハラ、台中・桃園、ソウルで開催されるオープニングラウンドで、グループBに入った日本。上位2チームに入れば、日本で行われるスーパーラウンドへ進出となるが、同組にはチャイニーズタイペイ、ベネズエラ、プエルトリコと強豪がひしめいており厳しい戦いが予想される。

初戦は11月5日に行われるベネズエラ戦。五輪へ向けた、そして日本野球の誇りをかけた戦いで、稲葉監督がどのような采配を見せるか。前回大会で悔しさを味わった秋山、坂本、松田宣浩(ソフトバンク)らを中心としたメンバーがどんな活躍を見せるか。初めて日本代表の4番を務めることが濃厚といわれる鈴木が、どんな働きをするか。再び始まる熱い戦いから目がはなせない。