「第2回 WBSC プレミア12」がいよいよ開幕
11月2日(日本時間3日)に開幕する野球の国際大会「プレミア12」。WBSC世界ランキングの上位12カ国が出場する、野球の世界最強国を決める大会だ。11月2日から8日まで1回総当たりのオープニングラウンドが行われ、11日から各グループ上位2チームによるスーパーラウンドを実施。決勝戦と3位決定戦は11月17日に東京ドームにて開催する。
来年の東京オリンピックの前哨戦とも言える本大会。出場国の特徴や注目選手をオープニングラウンドの各グループ(A~C)ごとに紹介していく(3回連載)。
初回となる今回は、前回大会準優勝のアメリカを筆頭にメキシコ、オランダ、ドミニカ共和国が入ったグループAをご紹介。会場はメキシコのエスタディオ・チャロス・デ・ハリスコ、本大会の開幕戦でもあるアメリカ対オランダ(日本時間11月3日午前3時)が初戦となる。
将来性豊かな逸材が選出されているアメリカ
WBCをのぞく国際大会に消極的なアメリカ。今大会に招集されたメンバーもほとんどがマイナーリーガーだが、クレイトン・リチャーズやブルックス・パウンダーズなど、メジャーリーグでの経験を持つ選手も数名いる。また、日本でおなじみのオリックスのピッチャー、ブランドン・ディクソンも選ばれている。
注目すべきは、将来を嘱望される若手の選手たちが数多く選出されていることだ。エンゼルス傘下のジョーダン・アデル(ジョー・アデル)や、ホワイトソックス傘下のアンドリュー・ヴォーン、ブレーブス傘下のドリュー・ウォーターズなど、近い将来メジャーリーグの舞台で活躍するであろう選手が見られるのも楽しみの一つである。
【アメリカ】
世界ランキング2位
監督:スコット・ブロシアス
◎注目選手
・クレイトン・リチャーズ(投手)
2010年と2012年にサンディエゴ・パドレスの先発の一角として14勝をあげた実績のあるサウスポー。今シーズン投げた投球の5割以上をシンカーが占め、ゴロの山を築き上げる技巧派。
・ジョーダン・アデル(外野手)
MLBが選ぶ2019年のプロスペクト(有望株)ランキングで5位に入る逸材。三振の多さは目立つものの、身体能力が高く、長打力もある。エンゼルス傘下のチームに所属しており、大谷翔平やマイク・トラウトともに「チームの顔」になる日も近い?
優勝目指すホスト国メキシコ、阪神・ナバーロらも選出
グループAのホスト国であるメキシコ。地元の声援を後押しに、アメリカやドミニカ共和国といった強豪国と対峙する。ただ、メキシコ代表の目的は地元を盛り上げるだけではとどまらない。監督のフアン・カストロが「目指すは東京で行われる決勝戦であり、来年のオリンピックだ」と発言している通り、今大会での優勝を目指す。
ロースターとしては、NPBから巨人のビヤヌエバや阪神のナバーロが選ばれている。また、中日やオリックスで活躍したマット・クラークも代表入りしている。ライアン・ベルドゥーゴやフェルナンド・サラス、フィリップ・エバンスなど、MLBの経験を持つ選手も多い。また、メジャー昇格は果たせていないものの、2017年のWBCで6打数4安打2本塁打と大活躍した内野手、エステバン・キロスにも注目したい。
【メキシコ】
世界ランキング6位
監督:フアン・カストロ
◎注目選手
・ライアン・ベルドゥーゴ(投手)
台湾の統一ライオンズに所属するサウスポー。2018年には、台湾プロ野球で史上初のパーフェクトゲームを達成している。ちなみに、その試合は9回表まで0対0。9回裏に味方の本塁打で試合が決まる「サヨナラ完全試合」だった。
・フェルナンド・サラス(投手)
メジャー通算496登板、防御率3.91という堂々たる成績を残すリリーフ投手。ただ、今年はメジャーで3試合の登板にとどまり、AAAでも45試合で防御率4.15とパッとせず。フォーシームとチェンジアップのコンビネーションが武器。
「A.J」がコーチ務めるオランダは粒ぞろい
9月に開催されていた東京五輪のヨーロッパ・アフリカ予選では、惜しくも出場の権利を勝ち取れなかったものの、世界ランキング8位はヨーロッパで最も高い。
今大会では、ヤンキースのディディ・グレゴリウスやレッドソックスのザンダー・ボガーツといった現役メジャーリーガーこそロースター入りしていないが、それでもなかなかの粒ぞろいである。残念なのは、日本のプロ野球で活躍するバンデンハークとバレンティンが選ばれていないことだ。
ただ、2013年から14年まで楽天に所属していた「A.J」ことアンドリュー・ジョーンズがコーチを務めている。また、アスレチックスのジュリクソン・プロファーの弟であるジェレミー・プロファーや、ツインズのジョナサン・スコープの弟であるシャーロン・スコープも今回の代表に選ばれている。
【オランダ】
世界ランキング8位
監督:ヘンスリー・ミューレン
◎注目選手
・ジェイアー・ジャージェンス(投手)
メジャー通算53勝、防御率3.72、2011年にはオールスターにも選ばれているオランダのエース。2017年のWBC準決勝では、3回から登板し強力プエルトリコ打線を2回1/3無失点に抑えている。
・ユレンデル・デキャスター(ユーティリティー)
2004年のアテネ五輪にも出場している大ベテラン。40歳は、今大会ロースター入りしているすべての国の野手のなかで最高齢。ただ、9月の東京五輪のヨーロッパ・アフリカ予選では、打率.417、OPS.962とまだまだ衰え知らず。
ベテランと若手のバランスとれた実力国ドミニカ
今大会に出場する国のなかで、世界ランキングは最も低いが、2013年の第3回WBCで優勝した経験を持つ実力国。
監督のルイス・ロハスによると、今回選ばれた選手たちは「ベテランと若手が融合」されており「多様な作戦を行うのに長けている」。確かに今大会のロースターには、エンゼルスなどで活躍したアービン・サンタナや、2010年にア・リーグ新人王を受賞したネフタリ・フェリスといった実績のある選手が招集される一方で、カージナルス有望株のエレウリス・モンテロやDバックス有望株のヘラルド・ペルドモなど、20代前半の若手も数多く選ばれている。
また、中日のエンニー・ロメロや2018年から2年間巨人でプレーしたサムエル・アダメスといった顔なじみの選手も代表入りしている。
【ドミニカ共和国】
世界ランキング12位
監督:ルイス・ロハス
◎注目選手
・アービン・サンタナ(投手)
メジャー通算149勝、オールスター2回選出の右腕。ここ2年間は勝ち星に恵まれていないものの、2017年には16勝、防御率3.28をマーク。以前は150キロ前後のストレートが武器の速球派だったが、いまでは変化球のキレで勝負。
・メル・ロハスJr.(外野手)
2017年から韓国のKTウィズでプレー。スイッチヒッターでありながら、2018年には43本の本塁打を放つなど長打力がある。また、外野ならどこでも守ることができ、ドミニカ共和国の中心的な野手として期待されている。