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菊池雄星はMLBで活躍できるのか 日本人左腕のMLB移籍1年目成績を振り返る

2018 12/12 11:00勝田聡
菊池雄星,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

菊池のポスティング申請が完了

菊池雄星のポスティング申請が完了し、いよいよ交渉が始まった。報道ではヤンキースやパドレス、レンジャーズなど複数の球団が興味を示しているとされており、どこのチームを選ぶのかに注目が集まっている。

今シーズンMLBで登板した日本人投手の顔ぶれを見ると、ダルビッシュ有(カブス)、田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)、大谷翔平(エンゼルス)、平野佳寿(ダイヤモンドバックス)、牧田和久(パドレス)と全員が右腕。

調べてみると、2017年終了時点のMLBでは既に日本人左腕が不在で、2012年から2015年までプレーした和田毅(現・ソフトバンク)が最後となっている。もし今回、菊池のメジャーデビューが決まれば、2015年の和田以来4年ぶりの日本人左腕となる。

これまでに、海を渡った日本人左腕たちは、MLB挑戦1年目にどのような成績を残してきたのだろうか。

石井一久が初年度に14勝をマーク

日本人メジャーリーガー左腕,

ⒸSPAIA

日本人左腕のメジャーリーガーは9人いるが、その先駆けとなったのが村上雅則。日本人メジャーリーガー第1号のマッシー村上だ。今から50年以上も前となる1964年にサンフランシスコ・ジャイアンツでメジャーデビュー。9試合で1勝1セーブ、防御率1.80という結果を残し歴史に名を刻んだ。

野茂英雄が海を渡った1995年以降、初年度にもっとも成功したと言えるのは石井一久だろう。2002年にドジャースへ移籍した石井は初年度から14勝(10敗)をマークし、先発ローテーションの一角として活躍。シーズン終盤に打球を頭部に受けたことで、規定投球回には届かなかったが十分な成績といえる。

2010年にメッツと契約した高橋尚成は、先発・中継ぎを兼任しながら53試合に登板し、2ケタ勝利(10勝)を達成。2年目以降は中継ぎ専任となったが、1年目は先発としても役割を果たしていた。

中継ぎ陣では岡島秀樹(レッドソックス/2007年)、高橋建(メッツ/2009年)が防御率2点台を記録し、戦力となった。松坂大輔(現・中日)と同じ年にレッドソックスへ加入した岡島は当初、松坂の影に隠れていたが、好投を続けることで首脳陣からの信頼を勝ち取った。66試合に登板し、ワールドチャンピオンにも大きく貢献している。

井川や和田など期待外れに終わった選手も

一方、結果を残すことができなかった選手もいる。2007年にポスティング制度を利用して、ヤンキースへ移籍した井川慶もそのひとり。14試合に登板し2勝3敗、防御率6.25と先発ローテーションとして信頼を勝ち取るに至らなかった。

また野村貴仁(ブルワーズ/2002年)は、中継ぎとして21試合に登板したものの奮わず、防御率は8点台。なにより制球が定まらず、13.2回で与四球は18個と苦しい内容だった。そして和田毅(オリオールズ/2012年)は開幕前に故障を発症し、投げることさえできなかった。

菊池は現時点で先発投手としての評価をされており、中継ぎとして考えている球団はないだろう。しかし、スプリングトレーニングや開幕後の数試合で中継ぎに転向する可能性がないとも言えない。

1年目ではないにしろ前田健太がいい例で、2年目からはチーム事情で中継ぎ起用が増えた。3年目となった今シーズンは8月半ばから全試合中継ぎとして登板し、それはポストシーズンでも変わらなかった。日本では広島のエースとして活躍し、沢村賞を2度も受賞している前田でさえローテーションに入れないことがあるのだ。

自身のパフォーマンスやチーム事情によっても大きく変わる起用法。どのような形になったとしても、結果を残せることに期待したい。