菊池から新制度が適用
このシーズンオフにポスティング制度を利用し、MLB移籍を目指している菊池雄星(西武)。すでに代理人はスコット・ボラス氏に決定しており、申請書類を提出すれば準備完了となる。自主トレそしてメディカルチェックのためにアメリカへ渡り、11月19日に帰国した。
昨シーズンオフには、花巻東高において菊池の後輩でもある大谷翔平(日本ハム→エンゼルス)、そしてチームの先輩である牧田和久(西武→パドレス)が同制度で移籍している。それ以前にも、前田健太(広島→ドジャース)や田中将大(楽天→ヤンキース)らが同制度を利用した。そのため、ポスティング制度については日本のファンにも馴染み深いものとなってきている。
だが、そのポスティング制度に今シーズンから変更が加わった。ポスティングによる移籍の際に発生する譲渡金が、選手が結んだ契約額に応じて変動することとなったのだ。
譲渡額は3段階の変動性に
前田や大谷に関しては、旧所属球団が2000万ドルを上限とした譲渡金を設定。その設定額を払う意志のある球団が、当該選手と交渉を行うことができる自由競争だった。
それが下表に記載の条件に応じた変動制へと変更された。これに加え、出来高払いの契約を結んだ場合には、出来高分の15%を追加で支払うことになり、マイナー契約の場合は一律25%となる。

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仮に2500万ドルで菊池が契約を結んだとすると、2500万ドル☓20%=500万ドルとなる。この額が獲得球団から西武へ支払われることになる。
この制度となってからの移籍は、今回の菊池が初めてのケースとなるので、実際にどれほどの額が動くのかは不明だ。参考までに、旧制度だった田中と前田をこの計算に当てはめてみる。
2013年オフにヤンキースと7年総額1億5500万ドルで契約を締結している田中の場合、
① 2500万ドル☓20%=500万ドル
② 2500万ドル☓17.5%=437.5万ドル
③ 1億500万ドル☓15%=1575万ドル
①+②+③=2512.5万ドル
となる。
一方、2015年オフにドジャースと8年2500万ドルで契約を締結した前田は、
①2500万ドル ☓ 20% = 500万ドル
となる。
ヤンキースは2000万ドルを楽天に支払っているが、新しい制度だと500万ドル以上多く支払うことになる。逆にドジャースはヤンキース同様に2000万ドルを広島に支払っているが、新しい制度だと1500万ドルの節約となる。このように契約内容によって大きく変動するのだ。
ただし、両選手に出来高が付いているため、各球団への支払いが追加発生する。もちろん、制度変更前のものであり、新制度なら契約内容は違ったものとなっていただろう。あくまでサンプルである。
菊池の契約はどうなる?
11月3日の『Trade Rumors』では「2018-19 Top50MLB Free Agents With Predictions」と題し、今シーズンオフの移籍やその契約が予想されている。その12番目に「パドレスと6年4200万ドルの契約」として名前が挙がっている菊池。現在、アメリカのメディアでは様々な報道がなされているが、どのような契約を結ぶことになるのだろう。
仮に予想通り4200万ドルで契約したとすると、西武に支払われる譲渡金は下記のようになる。
①2500万ドル☓20%=500万ドル
②1700万ドル☓17.5%=297.5万ドル
①+②=797.5万ドル
この金額が高いのか安いのか妥当なのかは、人によって判断が分かれるところだろう。もちろんこれは予想なので、事がこの通り進むわけではない。しかし、菊池の契約と西武への譲渡金が気になるのが正直なところ。今後もその動向を見守っていきたい。