バントにも種類やパターンがある
バントと聞いて思い浮かべるのは、走者と出塁させるための犠牲バント(送りバント)や、自身が出塁するためのセーフティバント、無死または一死で3塁ランナーを迎え入れるスクイズだろう。他にもプッシュバントやバスターバント、スイングバント(ハーフスイングで結果的にバントと同じような打球になるもの)がある。
また、バントならではの特殊なルールもある。代表的なところでは2ストライク後のファールはストライクとカウントされる。だが、セーフティバント(と判断される行為)によって走者を進めた場合、日本の野球では犠打扱い(MLBでは犠打とされない)で打数もカウントされない。
犠牲バント成功率ワースト1位は巨人
巨人からニューヨークヤンキースに移籍し、国民栄誉賞まで手にした松井秀喜でも過去に送りバントをしている。どうやら、ここぞという局面でバントに頼る攻撃が定番になっているようだが、その成功率はどのくらいなのだろう。
昨年度のデータによると、プロ野球12球団でもっとも犠牲バントの成功率が高かったのは日本ハムの.826で、ワーストの巨人で.703とかろうじて7割を超える程度。パ・リーグではすべての球団が成功率8割超えだったのに対して、セ・リーグで8割を超えたのは中日のみだった。
DH制のないセ・リーグではピッチャーがバントをする機会が多いため、このような結果になっていると推測される。
なぜ転がすだけのバントを失敗してしまうのか
バントは野手の頭上を超える必要も間を抜く必要もなく、来る球をバットに当てて転がすだけ。それだけのことだが、なかなかうまくいかない。
ここで、大事な場面でバントを失敗する理由を挙げてみる。
●そもそもバントの基礎が身に付いていない
●バントの練習量が足りない
●試合でのバント経験が少ない
●緊張して身体が思うように動かない
●膝を柔軟に使えていない
●目線がぶれてしまう
●三塁線、一塁線どちらか一方にしか転がすことができない
●一塁走者を見ることのできない左バッターは基本的にバントが下手
●いいところを狙いすぎて自分自身でプレッシャーを増量している
こうしてみると大半の失敗の原因は練習不足によるもの。少年野球から学生野球に至るまで、バントに練習時間をあまり割かないからだろう。あとは、メンタル面と試合経験の数だと考えられる。「とにかく慣れる」が解決法のようだ。
プロ野球界きってのバント名人 片岡治大
バントの基本スタイルは、「腰を折り、目の高さにバットを構え、膝の伸縮で向かってきたボールにミートをアジャストさせる」だが、このやり方が万能というわけではない。
プロ野球きってのバント名人中、この方法を継承しているのはソフトバンクの今宮健太ぐらいで、成功率歴代NO.1を誇る巨人の片岡治大は右足を3塁ベンチ方向に大きく引く変則アドレスだ。