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WBCS U-18ワールドカップを振り返る!注目選手まとめ

2017 10/13 10:05Mimu
野球
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日本は3位となったU-18ワールドカップ

WBSC U-18ワールドカップ、日本は3位という結果に終わった。予選ラウンドではアメリカに完敗、決勝ラウンドではカナダ・韓国に惜敗してしまい、優勝決定戦進出はならず。それでも、3位決定戦ではカナダにリベンジを果たし、3位を確保した。

韓国戦では、勝てば優勝決定戦進出の可能性が残るという中での試合であったが、残念ながら相手投手を打ち崩すことが出来ず、4-6で敗退となってしまった。だがそれに気を落とすことなく、3位決定戦のカナダ戦を8-1と完勝。
先発の三浦銀二選手(福岡大大濠)が7回無失点12奪三振と好投、打線も清宮幸太郎選手(早稲田実業)らのタイムリーで援護し、最後は甲子園優勝投手の清水達也選手(花咲徳栄)が締め、何とか大会を勝利で終えることができた。

投打で圧倒的な存在感を示したアメリカが4連覇

この大会では、アメリカの実力が圧倒的であった。もともとこの大会を3連覇しており、もっとも注意すべき相手ではあったのだが、今年は特に打撃力・投手力、そのどちらでも抜きんでていたように思う。いや、打撃にはやや付け入るところがあっただろうか。日本-アメリカの1戦でも、日本投手陣はアメリカ打線から3投手合計で23奪三振を記録している。4点を取られたとはいえ、内容は悪くなかった。

だがそれ以上にアメリカ投手陣が圧倒的だった。先発のR・ウェザーズ選手や、その後の投手たちも全く打てず、そのまま2安打完封負け。ただでさえ150km/hオーバーの威力のあるストレートが、手元で微妙に動くのだ。しかもウェザーズ選手はサウスポーである。
あのピッチングを初対戦で、しかも木製バットで打ち崩すのは非常に難しかっただろう。その後出てきた投手も素晴らしい速球を持っており、最後までアメリカ投手陣を打ち崩すことはできなかった。

ちなみに韓国対アメリカの顔合わせとなった優勝決定戦は、8-0でアメリカが優勝している。これでアメリカはこの大会4連覇を達成。最速158km/h右腕のイーサン・ハンキンス選手が好投を見せての完勝であった。ハンキンス選手はベストナイン、さらに3本塁打を記録したトリスタン・カサス選手がMVPを受賞している。

ミスがもったいない試合が多い

アメリカ戦以外の試合では、もったいないミスでの敗戦が多かった。特にスーパーラウンドのカナダ戦、この試合は序盤からカナダにペースを握られ、1-3とビハインドで中盤に突入したのだが、ここで清宮選手に1発が飛び出し1点差に。さらに6回裏にも2点を追加し、とうとう4-3と逆転した。

だがその直後にショートのエラー、そして3つのバッテリーミスが重なり、4-5と再逆転されてしまう。同点のホームは相手の走塁が素晴らしかったのだが、逆転となる点はランナー2塁から出た2つのバッテリーミスが原因。いずれもワンバウンドのボールを、キャッチャーが捕球することができなかった。

韓国戦でも、ピッチャーの送球ミスもあって、初回に3失点してしまう。打線もすぐさま追いつくが、その追いついた直後にも押し出しなどで2失点。打線もなんとか粘ったが、最後までリードを奪うことができず、4-6で敗退となってしまった。

たしかに慣れないグランドで、土の感触が違ったのだろう。内野手にしても捕手にしても、いつもと違うバウンドで捕球ミスをするシーンは、日本チーム以外でも目立っていた。だがその同じ条件の中で、日本は失点につながるミスが他のチームよりも多かった。

活躍が印象的だった2年生コンビ

打撃の方では、全体的に苦しみながらも、注目された清宮選手は打率.211ながらチーム最多の2本塁打7打点、安田尚憲選手(履正社)もオーストラリア戦ではサヨナラヒットを放つなど、仕事は果たしてくれた。

だが野手で最も印象的だったのが藤原恭大選手(大阪桐蔭)、そして小園海斗選手(報徳学園)の2年生コンビだろう。学年なんて関係ないとばかりに打ちまくり、他のどの3年生よりも打線を牽引していた。
もともと2人は大阪の強豪リトル、枚方ボーイズのチームメイト。藤原選手は外野手兼投手、小園選手は今と同じくショートとして活躍し、3年生の時には全国制覇も果たしている。誰よりも気心が知れた戦友なのだ。小園選手はU-15の日本代表にも選ばれている。

合計で26安打を放った2年生コンビ

この大会では、藤原選手が主に1番ライト、小園選手はショートで2番や9番といった打順での出場が多かった。初戦のメキシコ戦では、小園選手がヒットで出塁すると、藤原選手が先制のタイムリーヒット。いきなり2人で先制点を獲得する。
結局この試合では藤原選手が2安打3打点、小園選手は3安打猛打賞。いきなり大きな存在感を放つ活躍であった。

予選ラウンド最終戦となったキューバ戦には、この大会初めて1番藤原・2番小園のコンビを組むと、藤原選手が1安打2四球1打点、小園選手は3安打2打点と勝利に貢献。スーパーラウンドのオーストラリア戦では、味方打線が相手投手を打ちあぐねる中、2人そろって3安打猛打賞を記録した。
結局この大会では、藤原選手が12安打、小園選手が14安打を放ち、チーム1位2位を2年生で独占している。

国際試合ということで、日本球団以外のスカウトたちも集結していたが、この2人はメジャーのスカウトの目にも印象にとまったほど。それだけ、強烈なインパクトを残していた。来年の甲子園でも、彼らの活躍に注目していきたい。

投手陣も全体的に好調

投手陣は全体的に好調であった。開幕戦の先発を任された大阪桐蔭のエース・徳山壮磨選手は、この大会で2勝を挙げ、大会の最高勝率投手になっている。得意のスライダーが冴えわたり、メキシコ戦では7回1失点、オランダ戦では5回1失点と好投。カナダ戦では2回1/3を2失点とやや乱調気味であったが、十分に役割を果たしてくれたといえるだろう。
大会規定により、14回1/3での2勝は最高勝率として表彰されている。

3位決定戦で先発した三浦銀二選手も見事な投球であった。負ければメダルなしに終わるという状況でのカナダ戦。ストレート、スライダー、最高のボールを最高のコースに投げ込み、見事に7回12奪三振無失点と好投した。予選でも南アフリカ戦に先発して5回7奪三振無失点、合計で12イニングを無失点19奪三振という成績を残している。

秀岳館高校の川端健斗選手も忘れてはいけない。予選のアメリカ戦、スーパーラウンドのカナダ戦、韓国戦。登板した試合はいずれも負け試合となってしまったが、徳山選手に並びチームトップとなる14回1/3を投げ、さらに25奪三振と高い奪三振率を誇った。
中京大中京の磯村俊平選手も、4試合10イニングで17個の三振を奪うなど、印象的な活躍を見せている。

大活躍だった秀岳館・田浦文丸

投手でもっとも印象的な活躍を見せたのは、やはり田浦選手だ。予選ラウンドのアメリカ戦では、2回1/3を1安打5奪三振、その後も快投を見せ、続くキューバ戦でも2回2/3を5奪三振、オランダ戦では4回9奪三振。予選ラウンドの3試合だけで、9回19奪三振という成績を残した。
監督からの信頼も絶大で、決勝ラウンドでもオーストラリア戦で1回2奪三振、カナダ戦では2回1/3で6奪三振。これで合計27奪三振、なおかつここまで5試合で無失点という、100点満点以上の活躍を見せていた。

ストレート、スライダー、チェンジアップ、そのすべてがズバズバと決まり、相手打者を翻弄した。特にチェンジアップは相手打者が全く対応できていなかったほどだ。メジャーリーグのスカウトも、やはり田浦選手のチェンジアップを絶賛していたという。
甲子園では、やや体の開きが早く、上位指名は厳しいという噂もあったが、この大会で大きく評価を上げたのではないだろうか。

ただ最後は韓国戦に先発登板して、1回1/3を5失点。その後は川端選手が好リリーフを見せたが、残念ながら敗退となってしまった。中継ぎとして大車輪の活躍を見せていた田浦選手を先発に回す采配に疑問の声も見られたが、それでも「ここは田浦に任せる」と思わせるほどのピッチングを見せていたのも確かである。
夏の甲子園では不完全燃焼に終わった分、この大会では素晴らしいものを見せてくれた。この日本代表メンバーの中でも、唯一大会オールスターに選ばれている。

このように、選手たちはしっかりと仕事を果たしてくれた。残念ながら優勝することはできなかったが、彼らは次のステージに進み、また私たちを楽しませてくれるだろう。野球界の新たな時代を作る選手たちに、今後も期待していきたい。