2017年ワールドカップの第1次候補選手が発表!
2017年9月1日より開催される「第28回WBCS U-18ワールドカップ」の第1次候補選手が6月16日に発表された。春の選抜で優勝投手となった大阪桐蔭高校の徳山壮磨選手や、5月に高校通算100本塁打を記録した早稲田実業の清宮幸太郎選手など、そうそうたる顔ぶれだ。
ここからさらに夏の甲子園の結果なども考慮し、第2次候補選手たちも含め最終的に絞られるのは20人だけだ。そしてその選ばれし20人の選手たちが、カナダで行われる大会に参加することとなる。
そもそもWBCS U-18ワールドカップって何?
WBCS U-18ワールドカップという言葉をあまり聞きなれない方も多いだろう。ここ数年で何度も大会名称が変わっており、現在の「WBCS U-18ワールドカップ」という名称になったのは2015年のことだ。以前は「AAA世界野球選手権大会」という名称が使われていた。
もともとWBSCは「世界野球・ソフトボール連盟」の略名称であり、野球・ソフトボールのオリンピック競技復帰を目的としてIBAF(国際野球連盟)とISF(国際ソフトボール連盟)が統合し、WBSCとなった。これが2013年のことであり、これ以降IBAFが主催していた大会をWBSCが主催することとなり、大会名も変更されたのだ。
2000年までは毎年開催、2002年から2012年までは隔年での開催されていた。ところがWBSC発足にともなって国際試合の再編が行われ、2013年以降は奇数年に隔年で開催となっている(そのため2012年・2013年のみ2年連連続での開催となった)。
偶数年にはBFA(アジア野球連盟)が主催する「U-18アジア選手権大会(旧大会名:AAAアジア野球選手権大会)」が開催されており、こちらがワールドカップのアジア地区予選の役割を持っている。このアジア選手権で上位2~3チームに入ることで、このWBCS U-18ベースボールワールドカップへの出場権を得ることができるというわけだ。
そして、2016年のアジア選手権にて日本は見事に全勝優勝をはたしたため、2017年のワールドカップへの出場権が確保されている。
まだ優勝のない日本……悲願の初優勝目指して
日本の実績を紹介しよう。実は日本は、この大会で優勝したことがない。80年代~90年代までは開催時期が夏の甲子園とほぼ同時期であったため、有望な18歳以下の選手たちを集めることが困難だったからだ。94年から始まったアジア選手権の方では5度の優勝を果たしているが、世界選手権の方では目立った成績を残すことができていなかったのだ(それでも、1982年の第2回大会では準優勝している)。
甲子園出場選手も参加可能となったのは、開催時期が9月になった2004年頃からだ。その際は、当時横浜高校監督だった渡邉元智氏が指揮を執り、準優勝という成績を収めた。
このとき、同年夏の甲子園で優勝した済美高校の福井優也選手(現広島東洋カープ)・鵜久森淳志選手(現東京ヤクルトスワローズ)に、横浜高校の涌井秀章選手(現千葉ロッテマリーンズ)や石川雄洋選手(現横浜DeNAベイスターズ)、東北高校のダルビッシュ有選手(現テキサス・レンジャーズ)などが参加している。
それ以降だと日大三校の小倉全由監督が指揮を執った2012年が6位、大阪桐蔭高校の西谷浩一監督が指揮を執った2013年、2015年の大会で2大会連続の準優勝となった。特に2015年の大会は日本での開催ということもあり、初優勝が期待されていたのだが惜しくも決勝で敗退となってしまった。
過去の優勝は8度!日本も2度優勝を阻まれたアメリカ
2015年の日本初優勝を阻んだのがアメリカだ。2012年・2013年・2015年大会と目下3連覇中。しかも日本は2015年だけでなく、2013年にもアメリカに決勝戦で敗北しており、2大会連続の準優勝に終わっている。これを含めて過去の優勝は8度、2017年大会では4連覇の期待もかかっている。日本からすれば、もっとも警戒すべき相手だろう。
とはいえ、2015年の大会でもそれほど圧倒的な差があったわけではない。確かに相手メンバーはメジャーリーガー予備軍かもしれないが、決して勝てない相手ではないのだ。実際に1stラウンドの初戦でも対戦した際は、仙台育英高校の佐藤世那選手(現オリックスバファローズ)が完封勝利を挙げている。
甲子園で行われた決勝戦では、再び佐藤世那選手が先発した。3回の1死2塁からミスが絡んで1失点してしまうと、さらに4番マイケル・アムダイティスの詰まった当たりがライトへぽとりと落ちた。これで0-2となり苦しい展開となった。一方打線は、相手投手のニコラス・プラットを打ち崩せない。
彼はこの大会に一塁手兼投手としてベンチ入りしており、投手としての情報がほとんどなかったのだ(この年のアメリカには投手野手兼任の選手が11人もベンチ入りしている)。その後何とか1得点を挙げるものの、1-2で敗退してしまった。おそらく今後の大会でも、最も大きな壁として立ちはだかる相手だろう。
優勝回数13度は歴代最多!やはりキューバも強い
もちろんアメリカ以外にも強豪チームはある。特にプロが出場するような国際大会でも強豪国として知られるキューバは、U-18の大会でもやはり強い。この大会で大差となる11度の優勝を果たしており、1984年~1987年までの4連覇も達成している。最後の優勝は2004年のことで、決勝戦で日本と対戦しており、日本先発のダルビッシュ選手を打ち崩して4-0で勝利している。ちなみに、このとき4番を務めていたのがアルフレド・デスパイネ選手(現福岡ソフトバンクホークス)だ。
前回大会では、スーパーラウンド(2ndラウンド)で対戦。この際は小笠原慎之介選手を初めとして5人の継投で相手を完封。さらに平沢大河選手が2本のタイムリーを放つなど打線のつながりがよく、9-0で快勝した。ここ10数年ほど優勝はないが、それでも2013年大会は3位、2015年大会も5位だ。いずれも上位に食い込んでおり、常にレベルの高い野球をしているチームだ。
同じアジア地区で最大のライバルとなる韓国
アジア地域で最も優勝が多いのが韓国だ。1981年の第1回大会を制した初代王者であり、これを含めて5度の優勝を果たしている。2006年・2008年には2連覇も達成した。2016年のアジア選手権では3-1と日本が快勝しているが、やはり侮れない相手には違いない。2017年のワールドカップには、この韓国と日本、そしてチャイニーズタイペイの3チームがアジアから出場となる。
2012年の世界選手権では、第2ラウンドで対決し、大阪桐蔭高校・藤浪晋太郎選手(現阪神タイガース)の好投もあって4-2で勝利している。
しかし、その後行われた5位決定戦で再び対決した際は、花巻東高校・大谷翔平選手(現北海道日本ハムファイターズ)が7回2失点と好投を見せるも、打線が0に抑えられてしまい3-0で敗北。今度は辛酸をなめさせられてしまった。やはりU-18でもライバルとして立ちはだかる国だろう。
以上がWBCS U-18ワールドカップの強豪国だ。どの国も手強く優勝への道のりは非常に厳しいものとなる。だがきっと、日本チームならやってくれることだろう。今回のチームには、それほど期待できるメンバーがそろっているのだ。