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野球での監督から選手へのサインが届くまでの秘密の流れ

2016 8/11 21:57
野球・指導者
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野球を観戦している時に、監督やコーチの動きが気になる方も多い。 実際に野球の試合中には監督からのサインによって緻密な作戦が実行されているのだ。 今回は、監督の指示が伝えられるサインの種類や選手に届くまでの流れを紹介する。

野球におけるサインの役割とは?

野球では選手個人の能力だけでなく、監督やコーチによる過去の経験やデータに基づいた指示も試合を決める重要な要素の一つだ。イニング交代時やベンチで打順を待つ間は直接指示を受けることが可能だが、フィールドに出てプレーが始まればそこは選手だけの空間。そのような場合に用いられるのがサインだ。 サインは主に攻撃時に使用され、出塁したランナーや打者に対して伝えられる。その手順としては、ベンチから監督の指示を3塁ランナーコーチに、そして選手に伝えるというもの。あらかじめチーム内で決められたサインのルールを共有していれば相手にバレることなくプレー中も指示を伝えることができるのだ。

守備では捕手を介したサインが使われる

攻撃時には、出塁したランナーや打者に対してサインが送られるが、守備時にはキャッチャーからサインが送られる。 野球のサインと聞いて、キャッチャーが股の下で指を動かしてピッチャーに球種をサインで指示することをイメージする方が多いのではないだろうか。 守備時にはピッチャーへの指示だけでなく、打者や状況に合わせた守備ポジションなどの指示も必要となる。その場合、ベンチからのサインをキャッチャーを介してフィールドの守備陣に伝えられる。

サインの種類1:ブロックサイン

野球で使われるサインは主に2種類。その一つが、ブロックサインだ。 ブロックサインでは、身体を中心に帽子やベルトなど様々な部分を次から次に触っていくことで指示を出す。あらかじめキーとなる場所を決めておき、そのあと触った場所が実行する作戦になる。複雑な動きになるため、相手にバレにくい一方で、味方でも見逃してしまう恐れもある。 サインを出すタイミングも重要で、キャッチャーがピッチャーに返球する時が、相手にベンチを見られることなく確実に伝えることができるチャンスの一つだ。 また、万が一バレてしまった時のために、イニングごとにキーとなる場所を変えたり、キーの後の2番目の場所を実行する作戦にしたりと、工夫することも多々ある。

サインの種類2:フラッシュサイン

もう一つのサインの種類は、フラッシュサインだ。 フラッシュサインとは、ある部分だけを触った時や帽子をとるなどの一つの動作で完結する。ブロックサインと比べて単純なので味方が見逃す恐れがなくなる一方で、相手にも見破られやすいという欠点もある。そのため、少年野球ではよく使われるが、高校野球やプロ野球では複雑であるものの事前に十分な共有をしていれば確実にサインを送れるブロックサインの方がより使われる傾向にある。

サインが伝われば返事もサインで

守備時のサインはキャッチャーから送られると紹介したが、その際サインを受け取った選手は「アンサー」と呼ばれる返事をしなければならない。 アンサーとは、サインを出した人に対して「サインを理解した」という意思伝達をするもの。サインを受け取った後には帽子やベルトをつまむなどする。 攻撃時にはランナーと打者の少人数で済むが、守備時には9人もの選手にサインを伝える必要がある。内野手は前進ポジションをとるのか、ゴロの場合どの塁に優先して送球するのかチームプレーを要求されるので、一人でも見逃してしまえば大きなミスに繋がることもある。そのため、このアンサーは必ず行われ、一人でもアンサーを出していないとサインが取り消されることもある。

取り消しのサインも

万が一、サインが相手にバレてしまった場合、それをかわされるだけでなく逆手にとって作戦を立てられる恐れもある。その場合、「サインを取り消す」というサインも用意されている。このサインを用意しておけば、サインの出し方を間違えた場合も正確なサインに訂正することが可能となるのだ。 また、相手にバレたと想定した作戦をイニングや打順を待つ間に指示しておき、あえてサインを取り消さずに同じサインでも裏の裏をかいた作戦を実行することもできる。

まとめ

何も気にせず観戦していると、個々の選手がその場で考えたプレーをしているように見えるが、実際にはチーム全体でサインを介して緻密な作戦が実行されているのだ。テレビや野球場で観戦しているだけでは知ることのできないものばかりだ。選手だけでなく、監督やコーチの動きにも注目してみてほしい。