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日本時代は投手三冠!前田健太はメジャーでもタイトル獲得なるか

2017 4/12 20:20Mimu
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メジャー1年目で16勝を挙げた前田健太

2016年シーズンはメジャー1年目ながら16勝を挙げる活躍を見せた前田健太選手。
そのピッチングはもちろんながら、初登板の試合で初安打となるホームランを打ったというニュースは、多くのファンを驚かせた。結局32試合に登板して16勝11敗を挙げる大活躍を見せた。しかしイニング数は175と日本時代より少なく、被本塁打20。こういった数字を見ると、やはりメジャーは厳しい世界なのだとうかがえる。ポストシーズンでも3試合で1勝もできず、やや苦しんだ。
しかし、前田選手なら来年はもっと成績を伸ばしてくれることだろう。日本にいたころから、新人時代は様々な課題があった。しかし、それらを1つ1つクリアして、徐々に成績を向上させていき、その結果数々のタイトルも獲得している。今回はメジャーでのタイトル獲得を期待する意味も込めて、日本時代に獲得したタイトルを振り返っていこう。

2年目からチームの中心選手として活躍

前田健太選手は、大阪のPL学園高校からドラフト1位で広島東洋カープに入団した。当時はエースで4番。最速は148km/hを記録しつつ、高校通算で27本ものホームランも放っている。変化球も一級品で、キレのあるカーブを投げることから「桑田2世」と呼ばれていた。またコントロールやフィールディングにも優れており、当時から非常に完成度の高い投手だったのだ。
1年目は2軍での育成が中心になるものの、翌08年の4月にはプロ初登板を記録。5月には初勝利、そして9月には初完封と、2年目とは思えないほど順調な1年だった。最終的な成績は9勝2敗で防御率は3.20という数字に。そして2桁勝利を期待されていた3年目だが、最終的には8勝14敗とやや苦しんだ。それでも、29試合に先発し、規定投球回数もクリア。1年間ローテーションを守り抜いたことは大きく評価されている。
2年目に初勝利・3年目は初の規定投球回数到達。となると、次なる課題はもう明白だ。負け数を減らし、勝ち星を増やす(2桁勝利をあげる)。これが翌年以降に残された課題だった。

前年の反省を生かして掴んだ投手三冠

迎えた4年目の2010年なのだが、課題をクリアするどころか驚くほどに見事な成績を残した。28試合に先発し、15勝8敗で防御率2.21、そして174奪三振を記録する。これらの数字はセリーグの投手の中ではNo.1、つまり最多勝・最優秀防御率・最多奪三振の投手三冠を達成したのだ。これは1999年に上原浩治さんが達成して以来11年ぶり、そして21歳での達成は史上最年少記録だった。
さらに6完投に215回2/3という投球回数もセリーグ最多。ほとんどの基準を満たし、沢村賞も受賞する。前年の14敗の反省を生かし、9イニングすべてではなく、勝負どころでいかに相手を抑えるのかを研究していった結果、これほどまでの成績を残すことができた。

ストレートやスライダーもさらに進化 以降も大きな武器として活躍

それだけでなく、新しい武器を手に入れたというのも大きい。1年目に佐々岡真司さんから教わったスライダーにさらに磨きをかけ、決め球として使うことができるまでに精度を高めたのだ。スライダー自体は以前から投げていたのだが、まだまだしっくりときていなかったようで、勝負球には高校時代と同様にカーブを使っていた。
しかし、ようやくスライダーのコツをつかんだのか、狙ったコースへのコントロールや変化量の大きさ、そして球速までもある程度操ることができるようになった。スライダーはこの年以降も、前田選手の決め球として多くの打者を討ち取ることになる。
さらにはストレートもこの年にコツをつかんだという。もちろん今までもストレートには自信があったそうなのだが、4月のヤクルト戦である1球を投げたとき、ある感覚をつかんだそうだ。その感覚とは、脱力した状態から、リリース時に指先に全神経を集中させるというもの。これによって球速、制球力、そしてストレートのキレが増し、理想のストレートが完成したのだ。勝負所でのギアの入れ方、そしてストレートの向上にスライダーの習得。前年の課題を新たな武器で見事にクリアした。

日本時代は数々のタイトルを獲得

翌2011年は10勝12敗と勝ち星こそ落としてしまうが、2年連続の200イニング超えとなる216回を投げ、防御率は2.46と安定した投球を見せる。そして奪三振も192個記録し、2年連続の最多奪三振を記録した。さらに2012年には防御率を1.53まで引き下げ、最優秀防御率のタイトルを獲得。
ちなみに、この数字は球団記録を57年ぶりに塗り替えるものとなった。この年にはノーヒットノーランも達成しており、前田選手を象徴する1年になったかと思う。2013年も2.10で2年連続の最優秀防御率のタイトルを獲得する。
これ以降も安定した成績を残す。2010年からメジャーへ移籍後の2016年まで7シーズン連続で2桁勝利、150奪三振以上を記録。2010?2012までは3シーズン連続で200イニング以上もクリアしている。また日本最後の年となった2015年にも15勝を挙げて最多勝を獲得。
結局日本にいる間に最多勝2回、最優秀防御率3回、最多奪三振2回という実績を残した。2度の沢村賞や、ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞5回というのも素晴らしい数字だ。

メジャーでもその高い対応力・適応力を発揮

日本では輝かしい実績を残した前田選手だが、メジャーでもタイトル獲得の可能性は十分にあるかと思う。前田選手のすごさは、その対応力・適応力だ。同じ野球というスポーツなのだが、日本とアメリカでは何もかもが違う。ボールはもちろんのこと、ストライクゾーンやマウンドまで、様々なことが違うのだ。日本では考えられないような、厳しい条件の中で投げる必要もある。しかし、前田選手はそれに難なく対応しているのだ。
ボールの違いは日本にいた頃から練習はできるものの、ストライクゾーンは試合に入ってみなければ分からない。マウンドだって、その高さや傾斜の具合、土の固さなどは球場ごとで全く変わってる。日本以上に球場が多く、それぞれでマウンドの特徴が異なっているので、その対応は非常に大変なのだが、前田選手は初めての球場でも見事に適応し、しっかりとしたピッチングを披露していたのだ。中4日の登板間隔や、キャッチャーとのコミュニケーションも全く問題なし。この対応力・適応力が前田選手のすごさだろう。

メジャーでもタイトル獲得なるか 可能性は十分

高い適応力から、前田選手のタイトルは非常に期待できるかと思う。特に防御率は期待できるだろう。2016年シーズンの前だ選手の防御率は3.48、これはナ・リーグで14位の記録だ。しかし、前田選手は日本でも1年目は3.20、2年目は3.36という防御率だった。
そしてそれを3年目には飛躍的に良化させ、2.21で最優秀防御率のタイトルを獲得しているのだ。2016年のナリーグ最優秀防御率はカブスのカイル・ヘンドリックスの2.13だ。前田選手の対応力の高さを見ると、その可能性は十分かと思う。
味方の援護次第では、最多勝も狙っていけるかもしれない。今年のナ・リーグ最多勝はナショナルズのマックス・シャーザーの20勝だ。前田選手の16勝というのは、ナ・リーグでも5位タイの数字だった。運も絡んできるが、1年間しっかりと働くことができれば、可能性は十分あるだろう。
最多奪三振に関しては、少し難しいかもしれない。前田選手の奪三振は179、一方のナリーグ最多奪三振もマックス・シャーザーなのだが、彼は今シーズン284個もの三振を奪っているのだ。さすがの前田選手も、ここから100個というのは難しいかと思う。しかし、それ以外の数字なら、前田選手はメジャートップの世界に食い込んでいくことができるだろう。来年以降に期待していきたい。