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大人も楽しめる野球漫画「ラストイニング」を紹介!

2017 3/3 09:51
野球監督
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Photo by mTaira/Shutterstock.com

野球漫画は、熱血感あふれるスポ魂ものから恋愛を取り入れたものまで数多くありますが、子どもの時と違って興味が薄れたり、読むのが気恥ずかしいという人は少なくないのではないでしょうか。そこで大人でも楽しめる野球漫画をここでご紹介していきます。

主人公は元インチキセールスマンという異色の「ラストイニング」

野球漫画といえば泥臭く、青春を謳歌しているような雰囲気が多いですが、今回ご紹介する「ラストイニング」は高校野球の常識を覆すようなスタイルで描かれています。
主人公は選手ではなく、現役セールスマン。しかも如何わしい商品を売りつけるインチキセールスマンです。この主人公・鳩ヶ谷圭輔は会社が薬事法違反・詐欺容疑で捜査を受けると、上司に裏切られて拘束されてしまいます。一気に職を失った鳩ヶ谷ですが、窮地を救ったのが、かつての恩師で彩珠学院高校の狭山校長でした。
かつての野球名門校も最近は低迷し、来年結果が出なければ採算の取れない野球部は廃部にまで追い込まれ、彩珠学院高校のOBで13年前の中心選手だった鳩ヶ谷は狭山に懇願され、チームの監督を引き受けるのがストーリーの出だしになります。

選手を3タイプに分けて分析する主人公の鳩ヶ谷監督

主人公の鳩ヶ谷はセールスマンらしく、チームの選手を分析していきます。多くの社会人は、同僚や社外の人に自分なりの経験や直感によるイメージを持っているでしょう。鳩ヶ谷は人のタイプを3種類の動物に例えており、それぞれD(ドッグ)、C(キャット)、M(モンキー)と振り分けました。
このタイプはDが人に従順な犬に例えて、よく言うことを聞いて、集団性を重んじるタイプ。Cは気まぐれだが個人能力は高いタイプ。Mは計算高く表も裏も思考が回るといった具合になっており、各タイプ別に見ても社会人ならなるほどといってしまいそうになります。

努力や根性よりも情報収集による戦略と戦術に重点を置く

「ラストイニング」では努力と根性、気合で何とか打破するという展開がありません。基本的に監督の鳩ヶ谷は情報収集に重点を置き、相手チームに勝利するにはどうやって戦略を練ればいいかイメージしていきます。また、試合中は何とかして相手を出し抜こうと戦術を重ねていき、選手が主役の野球で監督の思考が緊張感を際立たせます。
鳩ヶ谷の思考はマーケティングに通じるものがあり、子どもではわからない手法でも大人になれば納得するものがあります。元高校球児で捕手ということもあって、野球に関する造詣があり、また若い時分に野球賭博のハンデ師を師匠に持っていたこともあって、相手との戦力差を見極める眼力は適格なものがあります。

8勝92敗でも甲子園に行ける

鳩ヶ谷は短期間でしか勝負できない自身にとって、結果を出すために有効な手段はチームにとって勝つための思考を変えることだと考えました。鳩ヶ谷の取り組みに疑問を感じたOB会長に対し、埼玉県で公式戦や練習試合を合わせて何勝すれば甲子園に行ける確率があるかと説明。鳩ヶ谷は99勝1敗でも8勝92敗でも、埼玉県では8勝すれば甲子園に行くことができ、そのためには8連勝することが必要だとして、どちらの勝率でも同じ可能性があると言い放ちます。
一瞬言葉を失うような考え方ですが、確かに甲子園に行くにはどのチームも決勝まで連勝することが絶対条件であり、そのために何をするかを考えるという思考はなかなかできるものではありません。

大人向けのビジネス的野球漫画

上記の通り、「ラストイニング」には爽やかな要素がほとんど見受けられません。時に選手が泥臭く活躍している姿に心を打たれるシーンはありますが、基本的に勝利至上主義として取り組む姿勢は少年向けというよりも大人のビジネスに寄った野球漫画だといえます。
「ラストイニング」では高校野球の裏側にも触れており、記者や用具メーカーを取り込んでの情報交換や転校生の養子縁組、OB会や父母会との戦いなど、おおよそ一般的な野球漫画とはかけはなれた展開をスピーディーに描いています。

まとめ

「ラストイニング」は、スポ根とは違う雰囲気で野球漫画を楽しみたいならぜひともおすすめしたい内容となっています。すでに完結しているので、これから読んでみようという人は、その展開に一気に読み切ってしまうことでしょう。