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学生野球界でも異色の存在!?芦屋学園ベースボールクラブとは

2017 2/16 10:10
野球
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Photo by mTaira/Shutterstock.com

高校野球界の中でも異色の存在である「芦屋学園」。 何と高野連に所属せず、独自のシステムで選手たちを育てているというのです。 しかも2016年のドラフトでは、育成ながら選手が指名されるなど、着実に結果を残しています。 今回はそんな芦屋学園の秘密に迫っていきましょう。

野球連盟に所属しない芦屋学園

芦屋学園ではあえて「野球部」ではなく「ベースボールクラブ」を名乗っています。というのも、芦屋学園のチームは、野球連盟に所属していないからです。高校は高校野球連盟に、大学は大学野球に所属せず、独自の活動を行っています。そのため、野球部ではなく、ベースボールクラブと名乗っているのです。
そして、そのベースボールクラブに所属する生徒を2013年から募集し始め、2014年の4月から本格的に活動をスタートさせました。

芦屋学園独自の育成システム

では、その独自の育成システムとはいったいどんなものなのでしょうか。
その最大の特徴は、独立リーグのチームと提携しているということでしょう。芦屋学園では、関西独立リーグに所属している「兵庫ブルーサンダース」と提携し、芦屋大学ベースボールクラブをチームの2軍として受け入れてもらっています。大学生はブルーサンダースの選手たちと合同で練習したり、社会人チームやクラブチームと練習試合をして実戦経験を積んでいるのです。
高等部はあくまで育成専門の3軍として考えられており、実戦練習よりも体の使い方やフォーム固めなど、基礎的な練習を徹底的に叩き込まれます。しかし、十分に実力がついてきたと首脳陣に認められれば、高校に在籍しながら大学の練習に参加したり、さらにはブルーサンダースの試合に出場することもできるのです。
また、コーチにも元プロ野球選手を招聘しており、非常にハイレベルな指導を受けることができます。恵まれた環境で長期的な指導を行うことができるのが芦屋学園の魅力です。

野球連盟に所属しないデメリット

しかし、野球連盟に所属していないということは、やはりデメリットもあります。特に高等部が高野連に所属していないという影響は非常に大きいです。
まず、高野連主催の大会に出場することができないので、甲子園には絶対に出場できません。やはり甲子園といえば全高校球児の夢ですから、この高校を選んだ時点で出場できなくなるというのは、生徒たちにとっても大きな決断かと思います。また、大会だけでなく、高野連に所属している他の高校との試合を組むこともできません。
実践機会の不足というのは、2軍や1軍に上がることで解消されるのですが、やはりテレビなどで活躍する同級生を見て、焦る気持ちが生まれてしまうということはあり得るかもしれませんね。

2016年はプロ入りの選手も

しかし、そんなデメリットの中でも着実に成果を出しつつあります。2016年のドラフトでは、兵庫ブルーサンダーズからドラフトで2人の選手が指名されました。楽天の育成ドラフト3位で指名された向谷(むかいたに)拓巳選手、そして巨人の育成ドラフト3位で指名された山川和大選手の2人です。山川選手は、芦屋学園で指導を受けてきた選手になります(向谷選手は広島・広陵高校からの入団)。
当時はまだベースボールクラブが発足していなかったので、高等部では軟式野球部に所属していたのですが、そこで最速130km/hを記録するほどの選手でした。さらに芦屋大学に進学後は、オリックスや中日で2軍投手コーチを務めた経験もある池内豊監督の指導によってさらにその素質を伸ばし、一躍プロのスカウトが注目するほどの選手へと成長したのです。

芦屋学園のシステムで力をつけた山川和大選手

この頃になると、芦屋学園と神戸ブルーサンダースとの提携も始まっており、山内選手もブルーサンダースの一員として試合に出場していました。 最速は147km/hを記録し、2014年のドラフトでは指名選手の候補としても挙がっていたのですが、当時山内選手はまだ芦屋大学の2年生。NPBの規約では、学生を指名する場合は「3月に卒業見込みの選手に限る」とのことだったので、ブルーサンダースと芦屋大学の両方に籍を置いていた山内選手の指名はいったん見送りとなってしまいました。
しかし、山内選手はこれに落胆することなく、さらに自分に磨きをかけ、最速は152km/hにまで成長。そして4年生となり、満を持して2016年のドラフトで指名を受けたのです。

まとめ

まだスタートしたばかりながら、一歩一歩着実に成果を上げている芦屋学園。 将来的には「メジャーリーガーを輩出する」ことが目的だそうです。 その姿を大会などで見ることはありませんが、今後も注目していきたいところです。