背番号9番の意味とは?
子供のころに少年野球をやっていた人ならご存知かと思うが、少年野球で9番は通常ライトの守備につく選手がつけることの多い。
今でこそそんなことはないが、かつてライトはチームの中では一番守備が下手な選手が多かったものだ。なぜかというと、右利きの選手の方が多いし、少年野球では流し打ちよりも引っ張る方が多いため、打球がライトに飛ぶ頻度が低かったからだ。
この流れを決定的に変えたのがイチロー選手だ。シングルヒットでランナーが1塁から3塁にいけないよう、ライト守備の重要性が高まったので、今ではむしろ子供たちがライトを守りたがるようになった。
日本のプロ野球における9番の意味
プロ野球界では、特にどのポジションの選手が9番をつけるという決まりはないが、一桁の背番号をつけている選手は主力選手が多い。
また、チームは異なっても、同じ番号をつけている選手はタイプが似ていることも少なくない。アベレージヒッターがいれば、ホームランバッターがいたり、守備のうまいイブシ銀がいたりと、共通点を見ていくと非常に面白い。
ヒットメーカーの系譜
右打者のシーズン最多安打記録をもっているのが、2015年まで阪神に在籍したマット・マートン選手だ。
安打記録は通常、1塁までの距離が近い俊足の左打者の方が有利とされる。実際に上位10人を見てみると、右打者はマートン選手と、ヤクルトや巨人、横浜ベイスターズで活躍したアレックス・ラミレス選手の2人しかいない。残りは全員、左打者かスイッチヒッターだ。
そのマートン選手から9番を受け継いだのが、東京六大学の通算安打記録を48年ぶりに塗り替えた高山俊選手。ともに打率が高く、出塁率がそれほど高くないのが特徴とも言える。
また、千葉ロッテが誇る安打製造機の福浦和也選手も背番号9だ。2015年までに通算1912安打を放っており、2000本安打達成が期待される選手の一人だ。
クラッチヒッターの系譜
球界の盟主と言われる巨人は、背番号9にチャンスに強い選手を輩出している。古くはキャッチャーの吉田孝司で、入団時は正捕手の森昌彦の2番手としてV9を支えた。チャンスに強い打撃で、巨人の捕手としては初めてオールスターのMVPに輝いている。
その引退の数年後に同じく捕手の村田真一が背番号9をつけている。打率はそれほど高くはなかったが、ここぞという場面でのパンチのある打撃が魅力だった。とくに阪神戦ではよく打ったので、阪神ファンからは嫌われていた。
その後、ともに外野手である清水隆行、亀井義行へと受け継がれている。二人ともパンチのある強打者で、他のチームに行けばいつでもクリーンアップを打てると言われていた。
ホームランアーチストの系譜
背番号9と言えば忘れてはいけないのが、ダイエーホークス、ソフトバンクホークスを支えた小久保裕紀選手だ。打撃だけではなく、チームリーダーとしてもチームを引っ張った。現日本代表(サムライJAPAN)の監督でもある。
現役時代はその美しい放物線を描くホームランで、多くのファンを魅了した。同僚の松中信彦選手とのホームランの競演は「MK砲」と言われ、二人がホームランを放った試合は、勝率が.872という驚異の数字を叩き出した。
その9番を3年ぶりに受け継いだのが柳田悠岐選手。小久保選手のイメージを引き飛ばすほどの活躍で、2015年にはプロ野球史上初となるトリプルスリーと首位打者を同時獲得した。これからのさらなる活躍が楽しみな27歳(2016年7月現在)だ。