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「マラソン王国」日本復活へ 世界との差は縮まった?

2018 11/21 11:00SPAIA編集部
ゼッケン付けて走る人,ⒸShutterstock
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2度も日本最高記録が出た2018年

2018年は男子マラソンで日本記録が2度も更新された。 まずは、2月の東京マラソンで2位に入った設楽悠太が2時間6分11秒をマーク。高岡寿成の持っていた記録を16年ぶりに5秒更新した。

さらに10月のシカゴマラソンで大迫傑が2時間5分50秒で3位。日本選手で初めて2時間6分を切り、日本実業団陸上競技連合から1億円の報奨金が贈られた。

男子日本記録

ⒸSPAIA

大迫はナイキ・オレゴン・プロジェクトで世界最新鋭のトレーニングを積んでおり、5000mと10000mで出場した2016年リオ五輪後、マラソンに挑戦。2017年4月のボストンで2時間10分28秒、同年12月の福岡国際で2時間7分19秒と順調に記録を伸ばし、3回目のマラソンで日本のトップに躍り出た。

重松森雄が2時間12分0秒の世界最高記録をマークしたのが1965年。以降、日本マラソン界は世界の先頭集団を走ってきた。70~80年代に宗兄弟、瀬古利彦、中山竹通らの活躍をご記憶の方も多いだろう。高岡寿成が2002年にマークした2時間6分16秒は当時世界歴代4位の好記録だった。

突出しているケニア、エチオピア勢

しかし、その後、ケニアとエチオピア勢が驚異的な記録を連発。キプチョゲ(ケニア)が今年9月のベルリンで出した世界最高記録は2時間1分39秒で、ついに2時間切りさえ見えてきた。4分以上も開きがある大迫のタイムは、実は世界のベスト50にも入っていないのだ。

男子マラソン世界記録

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ただ、世界トップレベルと水をあけられたのは日本だけではない。ケニア、エチオピアのアフリカ勢が突出して強いが、それ以外は拮抗している。

大迫のタイムはアジア記録でもあり、ヨーロッパ記録はファラー(英国)の2時間5分11秒、北中米記録はハヌーシ(米国)の2時間5分38秒、南米記録はダ・コスタ(ブラジル)の2時間6分5秒、オセアニア記録はキャステラ(豪州)の2時間7分51秒となっている。

つまり、世界との差はアフリカ勢との差ということになる。1992年バルセロナで銀メダルに輝いた森下広一以来、日本男子選手は五輪のマラソンでメダルを獲得していない。2020年東京に向け、ケニア、エチオピア勢に1分1秒でも近づくことが課題だ。

女子もアフリカ勢が躍進

一方、女子はどうだろうか。世界最高記録こそ、ラドクリフが2003年にマークした2時間15分25秒だが、2位以下にはケニア、エチオピア勢がずらりと並ぶ。やはりアフリカ選手が世界を席巻しているのだ。

元々高い心肺機能に加え、高額賞金大会の増加などでモチベーションが高まっているのだろう。走ることで貧困から抜け出し、成功者になるというサクセスストーリーを夢見ることは、現代日本では非現実的だ。

女子マラソンの世界記録

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日本女子も高橋尚子、野口みずき、渋井陽子らがしのぎを削っていた2000年代前半は強かった。その3選手の記録がいまだに日本歴代ベスト3を占めているのだから、近年の低迷も仕方ないように見える。

一部には練習量の少なさを指摘する声もある。また、昨年には世界選手権に出場経験のある原裕美子容疑者が万引で逮捕されるというショッキングなニュースもあった。

しかし、復活の兆しがない訳ではない。昨年の名古屋で日本歴代4位の好タイムで2位に入った安藤友香は、独特のフォームで“忍者走り”と話題になった。安藤とともに、世界陸上ロンドン大会に出場した清田真央も期待は大きい。また、今夏のアジア大会では野上恵子が銀メダルに輝いた。

女子マラソンの日本記録

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野口が2005年、ベルリンでたたき出した日本最高記録は当時世界歴代3位だった。あれから13年。東京五輪に向けて、ニューヒロインの出現が待たれる。

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