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東京オリンピックでマラソン代表選手となる条件である「MGC」とは

2018 2/8 10:18奏希01
マラソン
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今までのマラソン選手の選考方法

オリンピックが行われるたびに選考について文句が出てくる競技がマラソンだ。その理由として一発で代表を決める大会がないからである。
世界陸上で成績上位者になるか、指定された3つの大会の成績上位者から代表が決められているためだ。

3つしかない代表枠に対して選考大会が4つあり、しかも天候やレース展開、他のレース結果を考慮するという非常にあいまいなものだった。それゆえ誰もが納得する選考というのはかつて一度もなかった。

MGCとは

東京オリンピックではこういったあいまいさを無くすために「本当に強いランナーを東京五輪に出場させよう」とMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を開催するに至った。
MGCとは言ってみれば、東京五輪マラソンランナー決定戦のようなもので、2019年9月以降に行われる予定である。

誰でも参加できるというわけではなく、東京マラソンなどの国内主要大会で好成績を残す(日本人3位以内かつ大会ごとに設定されたタイムをクリアすることが必要)、もしくは国際陸連公認大会などで好成績を残ささなければ、出場機会は与えられない。
ちなみにMGCで男女3選手ずつが決まるわけではなく、ここで2選手ずつが決まり、最後の1選手ずつはマラソングランドチャンピオンシップファイナルチャレンジ(2019年冬~2020年春開催予定)で決まる。

MGCのメリット1 強い選手を選出できる

ここでMGCを開催するメリットについて紹介したいと思う。まず「いい記録を持っていてもレースの勝者にならなければ東京五輪に参加できない」という明確なルールがある。

いままでは「積極的なレース展開を考慮して」「暑さに強い」というあいまいな言葉が用いられ、選考があやふやだった。さらに1回のレースで好記録を出した選手がオリンピック出場を果たすといったシンデレラストーリーを作り上げることができた。

しかし、このMGCを適用することで、少なくとも2回のマラソンでいい記録を出さなければ東京五輪に参加することができないという2段構えができている。これにより「速さ」だけでなく「安定感」も兼ねそろえた選手でなければならず、より「強いランナー」が東京オリンピックに出場することになる。

MGCのメリット2 経験値があがる

さらに経験値という面でもMGCには期待ができる。MGCを行うことでよりレベルの高い選手たちが集まるレースを経験できるという強みも生まれる。
今までは自分のコンディション調整がうまくできそうな大会でいい記録を出せばいいという少々甘い考えでよかった。

ところがMGCを行うことで、決められた日に最高のパフォーマンスを出さなければいけない「調整力」も身につくはずだ。高いレベルになればなるほど、当日のコンディションというものが勝負を決定づける。
そしてMGCを行うことでプラスに作用することが期待できる。

MGCのデメリット1 消極的なレース展開が懸念される

しかしMGCが万能な選考方法かというと、そうでもない。MGCでは「相手に勝つ」という戦略をとる選手が多くなることが予想される。そのためスピードレースにならない可能性が高くなる。

オリンピックでは序盤で海外のトップ選手に後れをとれば、間違いなくレースでは勝てない。万が一MGCの勝者がスピードを持たない選手だったら、速い段階でふるいにかけてくる海外選手についていくことができず、そこでレースが終わってしまうという可能性すら出てくる。

もし今まで通りの選考会だったら「他のレースでいいタイムを出されたら自分に出場資格が与えられない」と思う為、勝つだけでなく1分1秒を削り出すレースを行っていた。

MGCのデメリット2 世界記録保持者でも出場できない

一番の懸念事項はいくら速いランナーでも、MGCもしくはそのあとのファイナルチャレンジでアクシデントを起こし勝てない場合だ。
この時にしっかり調整できない選手が悪いと思うかもしれないが、万が一それまでに世界記録を樹立して普段の実力を発揮できたらメダルは確実というくらいの選手が現れたら話は別だ。後々「あの選手を出していれば」という不満は漏れる。

今までならそういった選手は何らかの圧力で出場させることができたと思うが、ここまでルールを決めてしまった以上、例え世界記録保持者でも東京五輪には出場できない。こういったデメリットも受け入れなければいけないのだ。

MGCを行い最強のランナーを

メリット、デメリットを紹介したが個人的にはこのMGCについては賛成である。日本人ランナーは、ニューイヤー駅伝をはじめとして駅伝に重きを置いているきらいがある。
そのためフルマラソンを数えるほどしか経験していないというランナーは少なくない。

自分に合ったカーボローディング(体にエネルギーを蓄える栄養摂取方法)などは、実戦で失敗や成功を繰り返してやっと身に着けることができる。
そのような経験をして、決められた日に最高のコンディションを作り上げる選手が、東京オリンピックの舞台に立つ。MGCは、そういったことまで考えられた緻密なシステムで「東京オリンピックに笑顔を届けるもの」だと期待したい。

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