全国6地区で予選会
女子の日本一を決めるクイーンズ駅伝は、予選会がプリンセス駅伝の一つだけであり、昨年の上位チームがシードされるが、男子は仕組みが違う。
全国で六つの地区予選(東日本、中部、北陸、関西、中国、九州)があり、前年度の成績によるシードもない。
最激戦区の東日本だが、2000年以降ニューイヤーで優勝しているのは、コニカミノルタ、日清食品グループ、富士通の3チーム。ここに、東日本を制した経験があるホンダ、古豪のカネボウを加えた5チームがいわゆる強豪である。
結果から言えば、ホンダが3時間47分55秒で2年ぶり6度目の優勝を飾った。2位が富士通で、3位がDeNAだった。
エースを使わない中で
東日本はあくまでも全国の予選である。理由は様々であれ、強豪はエース使わないことがある。だから、この東日本の結果がそのままニューイヤーに直結するかと言えば、少し違う(参考にはなるが)。
例えば、最終7区で劇的な逆転優勝を飾ったホンダは、ハーフマラソンで1時間0分17秒の日本記録を持つ設楽悠太を使わなかった。これは6位に入ったベルリン・マラソンから2カ月しか経っておらず、疲労を考慮した結果だった。強豪故にできる余裕の配置である。ちなみに、リオデジャネイロ五輪男子マラソン代表の石川末広もメンバーに入らなかった。ホンダはニューイヤーに向け、「余力」を残しての優勝だけに、さらなる上積みが期待できる。
ニューイヤーで2000年以降8度の優勝を誇るコニカミノルタ(コニカ時代も含む)も、青山学院大学時代に箱根駅伝で「3代目山の神」と称された神野大地を起用しなかった。これは、次のレースを考慮してのことである。
神野は12月3日にある福岡国際マラソンで初マラソンに挑むことになっている。調整中の選手は使わないというのは、コニカミノルタの余裕がなせる技である。だから、東日本5位という結果が、そのままニューイヤーに直結するとは言いがたい。
DeNAと日立物流が台風の目に
チーム事情によって、起用は異なる。6位に終わった日清食品グループは、神野と同じように福岡国際マラソンを走る佐藤悠基を1区で起用した。佐藤にはいつものキレがなく、1区6位に終わった。佐藤を起用せざるを得なかったのだろう。ただ、2区を走った村沢明伸も本来の力を出せず、区間10位。この2人が本調子になれば、ニューイヤーも面白いだろう。
検討したのは3位のDeNAと4位の日立物流だろう。
DeNAは、瀬古利彦がいた1980年代の強豪エスビー食品を引き継いだチーム。高校時代から駅伝で有名な上野裕一郎をケガで欠きながら、6区の途中までトップだった。選手層が厚いとは言えないが、ニューイヤーでは面白い存在になるだろう。
最終区間にトップでたすきをつないだ日立物流は今大会の台風の目だった。1区でトップに立ち、流れをつくった。コニカミノルタにいた設楽啓太が移籍し、選手層も厚みを増した。日立物流という名は、あまり有名ではないかも知れないが、今後、強豪になるかもしれない。
駅伝の醍醐味とも言える、全国への出場権争いは今回も面白かった。
警視庁が最終7区で二つ順位を上げて12位となり、2年ぶり4回目の出場を決めた。有力選手を集められない警視庁だが、1区で5位に立つなど、今大会を盛り上げたチームだった。
一方、25年連続でニューイヤーに出場中だった小森コーポレーションは出場権に32秒及ばなかった。1区で22位と出遅れたのが響いた。駅伝は「流れ」というが、それを見せつけられる結果だった。