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ボルト、最後の世界陸上へ(4) ~偉大なスプリンターを振り返る~

2017 8/3 10:45きょういち
ボルト
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出典 Petr Toman / Shutterstock.com


ボルト、最後の世界陸上へ(3) ~偉大なスプリンターを振り返る~

 身長196センチのウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、2009年世界選手権ベルリン大会の男子100メートルで9秒58をの世界新をマークしたときの歩数は約41歩。平均ストライドは244・4センチで、最大時にはおよそ3メートルにもなる。

 ちなみに、身長175センチの桐生祥秀(東洋大)は100メートルを約47歩、平均ストライド212・7センチで走る。

 ボルトが最高スピードになる時のストライドは2メートル77で、身長の1・4倍になる。世界歴代2位(9秒69)のタイソン・ゲイ(米国)が1・35倍で、日本のトップ選手が1・31倍。ボルトのストライドの大きさは、その長身だけでは説明できない。

肩が揺れるのが、ストライドの秘密か

 ボルトの走りの特徴として、肩が左右に揺れるというのがある。日本陸連関係者に話を聞くと、この肩の揺れに、ボルトの走りの秘密があるのではないかと語っていた。

 足が接地する際に、タイミングよく同じ方の肩がおりている。そうなることで、地面からの反発をより多く得るだけでなく、上へ浮き上がる力を抑え、前に進む推進力に変えているのだという。だから、196センチという身長だけでは説明できないストライドがボルトから生まれている。

 その肩の揺れは、ボルト自身が意図したものか、そうでないかはわからない。それは、ボルトの体に秘密があるからだ。

ボルトが抱える病気

 ボルトは、背骨が横に曲がる病気を抱えているという。ボルト曰く、「X線写真を見せると、よくこれで走れるなと言われる」というほどらしい。この背骨のゆがみが肩の揺れを生んでいるという見方もある。

 でも、もともとは、背骨のゆがみが原因で瞬発系の練習はあまりこなせなかった。若いころは100メートルではなく、400メートルを走ったり、鮮烈な印象を残した2008年北京五輪の直前でも200メートルを主戦場にしたりしていたのは、そのためである。

 今でも、このゆがみが、けがの要因になっている。それを乗り越えるためにドイツのトレーナーのもとで、体幹を鍛えた。ボルトの腹筋の中心部が盛り上がっているのは、そのためではないだろうか。

 いずれにせよ、ボルトは自身の体の背骨のゆがみという「マイナス」を、足の速さという「プラス」に転化しているのである。

実はゲーム好きらしい

 ボルトはどんな人物なのだろう。

 一つには故郷を愛する姿が浮かび上がってくる。森林に囲まれた農村で育ったボルト。その村にはボルトの寄付で医院ができた。保育園はタイル張りになり、小学校にはパソコンが配備され、中学校には食堂が完成したという。

ボルトが通った小学校

▲ボルトが通った小学校では、子どもたちがサッカーに興じていた


 そして、もう一つにはゲーム好きでサッカー好きな姿。

 5年前、ジャマイカの首都キングストンで、ボルトの親友であるレゲエミュージシャンにボルトのことを聞いた。

 その親友によると、ボルトは「テレビゲームや、ドミノが好きなんだ」とのこと。ゲームは「ウィニングイレブン」をしていると言っていた。

 ボルトのサッカー好きは以前から有名だった。最近は引退後に、ドイツのサッカー1部ブンデスリーガのクラブで、日本代表の香川真司が所属するドルトムントの選手になるのでは、などとも噂されているが、当時のボルトはイングランド1部プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドのファンを公言していた。この友人も、「引退後はマンチェスター・ユナイテッドに興味があるみたいだ」と冗談めかしていた。

 友人によると、ボルトの自宅は豪華な3階建て。だだっ広いリビングに知人を招き、パーティーに興じることもしばしば。そのリビングには、DJ用のターンテーブルがあるのだという。

 車好きな一面も有名で、大好きな車(BMW)を乗り回し、何度か交通事故も起こした。

 母国でスポーツバーやカジノを経営する会社の経営にも参画。共同経営者は「陸上は長く続けられないと思っていて先のことを考えている」と話していた。

スポーツバー

▲ボルトが経営するスポーツバー


(続く)

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