プロ1年目のケンブリッジ
ケンブリッジにとっては、今年は勝負の年でもある。
昨年12月、当時の所属先であり、アンダーアーマーの日本総輸入代理店であるドームを退社し、プロ選手となった。今年2月にナイキと契約。自分の走りがそのまま収入に直結するのがプロだ。5月のゴールデングランプリ川崎の記者会見では「結果を残していかないといけない、という気持ちが強くなった」と語っている。
ケンブリッジにとって、今年はスプリンターとしての地位を確立するための年でもある。
ジャマイカ人を父親に持つケンブリッジのポテンシャルは以前から高く評価されていた。一般的には桐生祥秀(東洋大)と山県亮太(セイコー)の2人の9秒台を争いと見られていた3年ほど前から、関係者では「ケンブリッジが最初に9秒台を出すのではないか」とも言われていた。
ただ、日本大時代はケガも多く、かつ、勝負弱くて一般的にはあまり名前が知られていなかった。それが一変したのが、昨年の日本選手権。持ち前の終盤の爆発力で桐生と山県をかわして日本選手権初優勝。リオ五輪の切符を手に入れた。
今季、追い風5メートルを超える中で9秒98をマークしたとは言え、自己ベストは10秒10で日本歴代10傑に入っていない。安定感も爆発力も、桐生や山県に比べてまだまだ。さらにプロ1年目。日本選手権では勝つことと記録の両面でスプリンターの地位を確立する必要がある。
後半の力はライバルをしのぐだけに、前半でどれだけ食らいつけるかにかかる。そして、ライバルに比べて最もパワーのある走りができる。昨年の日本選手権のように、向かい風、雨という悪条件になると、勝てる要素が増えてくる。
NHKのインタビューでケンブリッジはこう答えている。
「終盤で勝つ」
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