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【箱根駅伝】16位からの大逆転V、青学大の総合V確率は70% ライバルに残された逆転のシナリオは

2026 1/2 17:00SPAIA編集部
イメージ画像,ⒸPavel1964/Shutterstock.com
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16位からの逆襲、3分24秒の壁を越えて

箱根の山に、新たな伝説が刻まれた。2026年1月2日、第102回東京箱根間往復大学駅伝競走。芦ノ湖のフィニッシュ地点に最初に姿を現したのは、青山学院大学だった。3年連続となる往路優勝。タイムは5時間18分08秒。同校が持っていた記録を5秒更新する、往路新記録での戴冠だ。

この結果を「青学の圧勝」と片付けるのは早計だろう。なぜなら、今回の往路優勝は、スタート直後の「1区16位」という絶望的な位置から這い上がって掴み取った、劇的な勝利だったからだ。勝負の分水嶺は、やはり山上りの5区だった。タスキを受けた時点で、トップとの差は3分24秒。常識的に考えれば、往路優勝には絶望的なタイム差だ。だが、当日変更で5区に投入された主将・黒田朝日は、その常識を覆した。

早稲田大学の「山の名探偵」こと工藤慎作が、トップでタスキを受け取った柴田大地(中央大学)をかわして快走を続ける中、黒田はそれを上回る猛スピードで山を駆け上がった。終盤、ついに工藤を捉えて逆転。従来の区間記録(1時間9分11秒)を1分55秒も縮める、1時間7分16秒という区間新記録を叩き出した。

データが示す「70%」の勝率と「タイム差」の罠

このまま青学大が総合優勝まで駆け抜けるのか。過去のデータが示す「確率」と「条件」に目を向けてみたい。

過去20年のデータを紐解くと、往路を制した大学が総合優勝を果たす確率は約70%に達する。数字の上では、青学大が圧倒的に有利なポジションにいることは間違いない。特に、今回の青学大のように「往路新記録」で制した場合、チーム全体の仕上がりはピークに達しており、復路で大崩れする可能性は低いと考えられる。しかし、ライバル校に「逆転の目」が全くないわけではない。

データによれば、往路終了時点でのタイム差が重要になってくる。過去の事例では、往路優勝校と2位以下のタイム差が「1分以内」であれば、復路での逆転劇は十分に起こり得ている。逆に、タイム差が「3分」を超えると、逆転の確率は限りなくゼロに近づく。いわゆる「セーフティーリード」だ。

今回のレース展開を振り返ると、黒田が工藤をかわしたのは「終盤」である。つまり、2位とのタイム差は決して大きくはないはずだ。3分以上の決定的な大差がついているわけではないため、復路のスタート直後から緊迫した展開が予想される。

メンタル勝負の復路、死角はあるか

青学大には「1区16位」という不安要素もあった。主将の黒田が異次元の走りで帳消しにしたとはいえ、序盤で流れに乗れなかった事実は、選手層や調整にわずかな綻びがあることを示唆していると捉えることもできる。 一方で、5区で見せた「3分24秒の逆転」がもたらす精神的なダメージと勢いも計り知れない。駅伝はメンタルのスポーツである。「3分あっても抜かれるのか」という衝撃は、復路を走るライバル校の選手たちに重くのしかかる。一方で、青学大の復路陣は「主将があれだけやったのだから」と、勢いに乗ってスタートを切ることができる。 1区16位からの逆転劇で往路を制した青山学院大学。70%の確率通りに王者が逃げ切るか、それとも30%の執念でライバルがひっくり返すか。3分24秒を巻き返した黒田の走りが、総合優勝への決定打となるのか。答えは明日の大手町で明らかになる。